パーティー崩壊の危機【番外編】
ナオは夜中に目を覚ました。
アランがベッドサイドに座って、ナオの髪を撫でている。
「お前の髪は綺麗だよな。覚えてるか?お前が二つ名を王に報告に行った日。」
「本物のお姫様かと思った。すごく可愛い。俺のお姫様。」私の手を取ると手の甲に唇を寄せて……
「うおわああああ!!」叫びながら起きた。
それが、悪夢の始まりだった。
「……おはよー」「……おはよ」「う……。」「おはよー。」
「なんだか変な夢見ちまった……。」「思い出させないで…私も悪夢を見たんだから。」
「なんか寝足りない感じ……」「俺もっかい寝る……」
二度寝から覚めたナオは、後ろからジュードに抱きしめられていた。「もうちょっと寝ろよ。な?」と言いながら首筋に顔を埋めてきて……
「ぴぎゃああああああ!!」目を覚ました。
アランもフラフラ部屋から出てきて「みんな、よく聞け。二度寝はするな。寝るな。なんかおかしい。」
「リシェル、調べてくれ」
「ベッドにも部屋にも異常はないわね。ナオの部屋も問題ないわ。」
全員リビングに集まり、重いため息をつく。
「呪いもかかってないし、なんなのかしら。…ナオ、寝ないで!」「あ、アランが寝てる!やべぇ。マハト、運ぼう。」
なぜかアランは自室に運ばれていった。
眠さで何も手につかなかった一同は、夜になり、口々に「寝るのが怖い……」と言いながら結局は寝た。
「ナオ」
「ナオ、起きて」
ナオが夜中に目を覚ますと、マハトがいた。綺麗な顔立ちを月の光が照らす。
「僕はナオが好きだ。」「この気持ちは口に出せない。」「君が皆と楽しそうに笑っていれば僕はそれでいい。」
「……はああああ!」もはや半ギレで起床したナオである。
「おはよう!」「おはよう」「おはよう!」「……ッス」
殺意が漲っている。
「家の中にないなら外だ。探すぞ!」
全員で家の周りを回ると、ナオは妙な殺気を感じた。ぐにゃ~っとした殺気だ。木に飛び乗ると、小柄な男の胸ぐらを掴んで降りてきた。ビターン!と地面に叩きつけると、背骨の上に片足を乗せる。「全て吐け。」
皆は、ナオを怒らせないようにしよう……と心の中で思った。
「お、俺は!幻夢のトーガだ!」「そんな二つ名初めて聞いた。」「二つ名ではないけど……。」「じゃあ言うなよ!」
「名前なんてどうでもいいのよ。どうして私の睡眠の邪魔をするのかしら。」「ナオの話し方が怖ぇ……。」
「お前らは寝る前に飲み物を飲むことが多い。俺は見てたんだ。だから砂糖を甘夢糖に入れ替え、俺自身はずっとここで魔法をかけてた。」
「パーティーってのはな!大体男女関係からこじれに拗れて、崩壊していくんだ!Trident forceが解散したら、次の最強パーティーは俺たちのあああああああぁぁぁ!」
ナオが森の方角に向かって全力でトーガをぶん投げた。
「私、寝るから」「僕も」「俺も」「俺も寝る」「私も寝るわ」
甘夢糖をすてようとしたらマハトが「薬の材料にするからもらっていい?」と言って部屋に持って帰った。
マハトはホットミルクに甘夢糖を入れて、「変な奴さえ干渉しなければ、好きな夢を見られるだけなのにね。」と言って、ティーカップに口をつけた。
全員、午後まで起きてくることは無かった。