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アランとナオ

「チョーップ!」

謎の奇声が聞こえたと思ったら、ダンジョンからダッシュで出てきた女の子。

さらに「ステータス・オープン!」と叫び、

その後、顔を真っ赤にして両手で覆い、しゃがみ込んでしまった。

なんだろう、あれ。

周りの冒険者もジロジロ見ている中、肩を落として歩き去ろうとする姿が可哀想で、つい俺は声をかけてしまった。

「どうかしましたか?」


彼女はがばっと立ち上がり、まだ俺が何もしていないのにも関わらず「助かりましたぁ…」と泣きそうな顔をして俺に向き直った。「あの、自分のレベルが上がったかどうか、どうやったら見ることが出来ますか?」


はい!?


これが俺の、ナオとの出会いだった。



☆-☆-☆


「串焼き、美味しいです。アランさん、ご馳走様です!」

屋台の串焼きを奢ってやると、それはそれは美味しそうに食べるものだから、俺もつい釣られてしまい、多めに買ってしまった。

よく食べる子だな~とナオを見下ろす。

「アランさんはもう食べないんですか?」

俺の串焼きを見つめる。

「......お腹いっぱいになったから、あげるよ」

「ありがとうございます~!」



とりあえずステータスが見たいらしいので、冒険者ギルドに一緒に行くことにした。



ナオはキョロキョロして、人や屋台や建物を見上げている。

放っておくと危ない子だ、この子は。

「迷子になりそうだから、どこでもいいから掴まって」と言うと、逡巡した後、俺の肩かけのアイテムバッグのヒモに掴まった。

「ぐっ!首が締まるわ!そこじゃないとこにして!」というと、手を彷徨わせてから、最終的には俺の手首をガッチリ掴んだ。



「ギルドまでは遠いんですか?」

「いや、ここは狭い街だからな。ナオはどこから来たんだ?アルスジェイル?モルディアン?」

「モルディアン...ですかね?」

疑問形で答えられてもだな…。



目線を落とすと、妙な靴を履いているのが見えた。

「その靴はモルディアンの流行りか?」

「あっ!そうですそうです!最新の流行です!」

......なんか、ウソが下手な子だな...。



そうこうしているうちに、冒険者ギルドに着く。

「目に焼き付けたいんです...!」としばらく動かなかったが、なぜか目をキラキラさせてようやく中へ入った。




冒険者が一斉に鋭い視線を向けてくるが、全く気付かず、受付に向かい、「すいませーん!」と声をかけていた。強いというか、鈍感というか...。


「ミレーさん、お疲れ様です。」

「あれ?この子、アランくんの連れ?」

「よく分からないんですが、ダンジョン入口で困っていたので連れてきました。それでは、よろしく~...」

去ろうとする俺の手首をガッチリと捕まえたままのナオ...。

俺は渋々、ナオの用事に付き合うことにした。


「初めまして!私、ナオと申します。よろしくお願いします!」とミレーに思いっきり頭を下げたあと、

「ところで、ステータスってどうやったら見れますか?」と早速質問していた。

「ナオちゃん、ここに手を当ててみて。」

「この白い板の部分ですか?」

「そうそう。」


板がパアッと光ったことに驚いたようで、ナオは手を擦りながら板を見ていた。

「えーっと、スギモト ナオ 22 歳」

「22歳!?」

「レベルは3ね。えーと、拳って書いてあるのよね。あと、蹴って...。普通だとナイトとかアサシンとかが出るんだけど、この子...失礼、ナオさんのレベルが低くてはっきりしないみたい。」


「あの、レベルってどうやったら上がりますか?」

「冒険者ギルドに登録して、依頼を受けたり、野生のモンスターを倒したりしても上がるわよ。」


「ステータスはここでしか見れないんですか?」

「冒険者ギルドに登録すると、どこにいても見れるようになるわよ。登録する?」

「よろしくお願いします!」


...なんとも、順調に話が進んでいくが、どうしても危なっかしく見える。

「ミレーさん、他に注意事項とかありますか?」

思わず口出ししてしまった。

「仲間とパーティを組む時はしっかり報酬の分配について聞いてね。ギルドはそういうトラブルには関与しないわ。

あと、一度受けた依頼を放棄するとペナルティがあるわね。」


「大体こんな感じかしら。」

ミレーさんはニコッと笑った。



冒険者ギルドでの登録を済ませると、ナオはやけに大人しくなった。考えこんでいる。

「どうした?まだ分からないことはあるか?」

「あの、お金のことなんですけど...通貨の単位を知りたいんです。」

「あー、1スベインは10ラスだ。金貨は1枚1万スベイン。庶民の間では金貨のやり取りはほとんどないから大丈夫。」

「じゃあ、これはスベインですか?ラスですか?」

「3ラスだな......。」

「......。」


「変な意味で聞くわけじゃないけど、今夜はどこで過ごすんだ?大体一泊30ラスはするぞ。」


ナオはがっくりと肩を落として「野宿です...」と答えた。


☆-☆-☆


「......と、言うわけで!迷子のナオだ。仲良くしてやってくれ。」

「解散。」と逃げようとしたところを捕まる。

「ねぇアラン、この子はモルディアンから来たのよね?」

「......。」

「所持金が3ラスで?」

「......。」

「レベルが3で、ジョブが拳と、蹴?」

「......22歳。」「はぁ!?」

「ナオは22歳だ。」


「うっそおー!!!」

「ちょっと世間知らずすぎて心配だから連れてきたんだ!冒険者志望みたいだからある程度生き抜けるレベルになるまで置いてやってもいいだろう?3ラスだぞ!?こんな小さな......22歳が...」


ナオは、私ってそんなに見てて心配になるくらいの感じなんだ...と内心でガッカリしつつも、「ナオです!よろしくお願いします!」と気合を入れて挨拶した。



「晩飯は食べたか?」

「あ、アランさんに串焼きを頂きました。」

「何時くらい?」

「お昼くらい......でしたかね?」


☆-☆-☆


ジュワアアアッ!と肉を焼きながら

「それは!晩飯じゃなくて、昼飯って言うの!分かる!?昼飯!!」と半分キレながら私の晩御飯を作ってくれているのがジュードさん。職業(?)はスカウトとアサシンらしい。スカウトが何かを聞いたら、斥候みたいなものだと言われた。アサシンは暗殺者だから……忍者みたいでかっこいい。


一人で頷いていたら、目の前にドン!!と大きなステーキが置かれた。「食え!!食ったらさっさと寝ろ!」



「ジュードさん、ありがとうございます!あの、図々しくて申し訳ないのですが、シャワーとか歯磨きとかはできますか?」


「あっちシャワー、歯磨きはこっち、タオルは...タオルは買って返せよ!」と、歯磨きとタオルを渡されてドスドス行ってしまった。

忍んでいない忍びもまたよきかな...。などと考えていると「冷めないうちに食え。」と叱られてしまった。


ぱん!と手を合わせて「いただきます!」と言うと、なんだそれ?と聞かれたので、「食材と食事を食べれることと作ってくれた人への感謝です。」と答えた。多分間違っていないはずなのに、

「お前って変わった奴だな...。」と物理的に距離を取られた。


☆-☆-☆


おそらくシャワーを浴びに来た感じのアランさんを見つけた。「アランさん!泊まらせていただき、ありがとうございます!ここはクラン?とかで借りているお家なんですか?」


「ああ、クランというか、パーティ仲間で借りている家だな。みんなは普通に家と呼ぶけど」


「そうなんですね。……それと、この国の名前ってなんでしたっけ?私ちょっと記憶が...。」

「ここはグランスティンだ。グランスティン、グランスティン。」

「グランスティンですね。ありがとうございます。そして、今晩はどこで寝ればお邪魔にならないですか?あとお家賃はいかほどで...。」


「3ラスが何言ってんだ。部屋は余ってるがベッドがない。ソファーで寝てくれ。」おおお...アランさんの笑顔、初めて見た。

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