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十八話 深淵の主


 十八話 深淵の主



 深淵の底を裂姫を先頭に、紅葉を間に入れ歩いていた三人は何やら怪しげな祭壇を見つけた。


「こんなところに何だろう? 」


 紅葉が不審に思い祭壇に近付こうとするが、後ろにいた銃鬼が紅葉の腕を掴み止める。そして、裂姫がゆっくりと近付いていった。そして、オーケーというように紅葉たちを手招きした。


「あきらかに怪しいですよね 」


 紅葉の疑問も尤もで、当然深淵が現れてから何者かがここに作ったものであるのは間違いない。問題は誰が作ったかという事だ。禍獣が作る訳がないので、作ったのは人間という事になる。


「あのゲーデ教団が怪しいわね 」


「ああ おそらく間違いないだろう 」


「でも、どうやってこんな所まで来たの? 」


 裂姫が、自分たちは飛び降りて来たことなど忘れて疑問を口にする。まあ常識的に考えればこんな所に来れるわけがない。紅葉も腕を組んで考えるが、ロープを継ぎ足しながら降りるとか、およそ現実的でない考えしか浮かばなかった。紅葉は、教団の中に空間を移動できる超技能の持ち主が居ることを知らなかったが、それを目の当たりにした裂姫が気付かないのは、深淵の底が特殊なものであるという認識が強かったからかもしれない。


「祭壇があるって事は、ここで何かの祭事をやるつもりなのよね 」


「そうだろうな 少し調べてみる必要があるな 裂姫、分析頼む 」


 裂姫が分かったと頷き、祭壇と祭壇の周りを調べて回る。どちらかというと天然ぽい裂姫に、そんな分析なんて出来るのと紅葉は疑問に思ったが裂姫は見たことない真剣な眼差しで注意深く祭壇を調べている。


「祭壇自体は普通の祭壇なの でも、ここにポイントが設置されてるの 」


「ポイントって何? 」


「ポイントは位置情報だな この位置の座標を発信する装置だ ここの位置を特定して何かをテレポートする気なのかもしれないな 」


 銃鬼の言葉に、紅葉は頷いたがそれが何に使われるのか想像つかなかった。


「まあ気にはなるが、先を急ごう この深淵を潰すことが先決だ 」


「深淵を潰すって、どうするんですか? 」


 紅葉が、具体的にはどうするのか全然分らないと言うと裂姫が得意げに指を一本立て紅葉の顔を見る。


「深淵の底に居る主を倒せばいいの そうすれば深淵は閉じるの 」


「そんなの初めて聞いたけど本当なの? 」


 紅葉は驚いて訊き返すと、本当なのと裂姫は得意気に言う。考えてみれば、こんな深淵の底に降りた人の話は聞いた事がない。深淵の主など知らないのは当たり前だった。


「深淵の主って、どんな化け物なの? 」


 紅葉は想像もつかないような化け物を想像してみるが、やはり想像つかなかった。


「大きかったり小さかったり、見えたり見えなかったり、形も色々なの 」


 つまり何でもありってことね、紅葉は想像するのを諦めた。その時、裂姫がいきなり”向日葵”を振り、銃鬼がデザートホークの引き金を引いていた。紅葉には何も見えなかったが、空間から血が飛び散る。


「見えない敵っ 」


 紅葉は、さっそく目に見えない敵が現れたと思ったが裂姫は、違うのと言い掌を開いて見せる。そこには1ミリ程しかない小さな虫みたいなものが血を流して死んでいた。


「何、これっ 」


 紅葉が顔を近づけて見ようとすると、紅葉の鼻息で虫みたいなものは何処かに飛んでしまった。


「もう モミジ、鼻息荒いの 」


 裂姫が、しまったという顔をする紅葉を指差して大声で笑う。


「ごめんなさい 」


 紅葉が顔を真っ赤にして裂姫に謝るが、裂姫は笑いが止まらないらしく紅葉の顔を指差したまま笑い転げている。私の顔、そんなにおかしい。紅葉は思わず自分の顔に触っていた。



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