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同級生

「叔父上と学園で一緒だっだ……。父はなかなか子に恵まれなかったから、叔父が皇太子になるかもしれないと……将来の叔父の側近候補として学園で一緒に過ごした……」

 え?ジェフはもともとコンラート様の側近になるはずだった?

 子爵令息と位は低いけれど実力があって側近になったと聞いていたけれど……すでに、学生のころには頭角を現したんだ。そして、コンラート様の側近候補になった。

「俺が……11歳となり、シャリアーゼと婚約をしたことで、叔父上の側近候補だったジェフは俺の側近になった」

 ん?お披露目された時からではない?

「なぜ、私と婚約してから、ジェフはコンラート様の傍付きから殿下の側近に?」

 まさか、公爵家が後ろ盾になったことで、王弟殿下が皇太子になるという話が遠のいたからだろうか。

 王弟殿下を皇太子にしたい人間にとって、邪魔なのは、殿下と私。

 殿下がいなくなれば王弟殿下が皇太子、次期国王だ。

 私がいなくなれば、強い後ろ盾が無くなった殿下の皇太子の地位が盤石ではなくなる。そうすると、王弟コンラート様を皇太子にという声も強くなりかねない。

 毒苺ムース事件の黒幕は王弟殿下?

 もしくは、王弟殿下を皇太子にしたいという派閥の者?

「叔父上とジェフは同じ年だから、学園でずっと一緒に過ごしていたんだ。学園を卒業すると二人で騎士学園にも入った。俺が11歳のとき、ジェフは学園を卒業した。だから俺の側近として傍に着くようになった」

 あ、ああ、そういうこと。

「その、ジェフが殿下の側近になる話はいつからなんですか?」

「俺が5歳からだ」

 そうか。5歳までの子は、神からの預かり子といわれる。死亡率が非常に高いため、亡くなっても神様にお返ししたと言うことになる。5歳まで生きれば、生存率が上がるため人の子として産まれたことになる。

「もともと叔父の元で側近候補として学んでいたから適任だろうと」

 そうか。私と婚約したことで皇太子になったわけではないのか。

 すでに5歳で皇太子は殿下に決まるとしていろいろ動いていたんだ。ということは、

「ジェフは叔父上と一緒に過ごしてきたんだ……。だから叔父上がジェフを返せと言うなら……ジェフは……」

 そうか。

 側近になりたい者は数多くいる。

 だけど、ジェフは辞めますなんて口にしたし、王弟殿下とは15歳から20歳までの5年間一緒に過ごした仲なのか。

 そりゃ不安になるよね。

 でも、私の不安は別にある。

「殿下、ジェフのことは1か月後に考えればいいと思うんです。それよりも、その……王弟殿下……コンラート様を皇太子にという派閥ではないのですか?殿下の命を狙ったのは」

 殿下が首を横に振った。

「もちろん、すぐにそれは調査をした」

 あ。そりゃそうだ。

「何も出てこなかったどころか、叔父上が皇太子になるつもりがないと派閥の者に釘をさして回っていたことが分かっただけだ」

 え?

「そもそも騎士学園に通ったのも皇太子になるつもりはなく騎士になるつもりだと見せるためだったそうだ。それにどれだけ皇太子になるために有力な貴族の娘との婚約を進めても拒否し続けているらしい。それどころか生涯誰とも結婚せず子を設けるつもりもないと言っているらしい」

 ああ。なるほど。

 だからもうすぐ30歳となるのに婚約者もいらっしゃらないのか。

「叔父上は、国が相続争いで荒れないように……俺のために、結婚を諦めたのに……」

 そうだね。いくら賢王が治める国も、相続争いで内紛が起きて国があっというまに荒廃してしまうことはある。

 時にはそのすきにと他国から攻め込まれて滅んでしまったり、属国になったりすることもある。

 それを回避するために、王弟殿下は結婚しない意思を示して王弟殿下派に諦めさせたのか。

「ジェフを返せと言うなら……」

 言われたら、返しちゃうね。

 結婚もあきらめさせ、側近まで奪って、何もかも王弟殿下から奪うなんて、そりゃ心苦しいもんね。


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[一言] 波乱万丈の相。 確実に覇王の道を歩もうとしてませんか?弟さんw
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