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手相で寿命を見る

「お金か、東の国から何かを持って来いというのか分からない。今は何も要求されてない。ただ、ワタシ、副店長してる。店主戻るまで店を守る必要ある」

 そうだよね。手相の話が聞きたいからとわがままを言うわけにもいかない。

「助けられることがあったら、言ってくださいね……チャンにはまだいろいろ教えてもらいたいし……」

 助けられることと言っても、護衛を派遣するとか身代金を貸すとかくらいしかできないと思うけれど。

 あとは犯人逮捕のために公爵家からも捜査に手を抜かないように釘をさすとか?

「ありがとうです。それで、今日は翻訳、できるだけ進める。興味あるところ先にする」

 そういって、チャンさんは今までは前のページから順番に翻訳を進めて行ったのだけれど今日はどこを翻訳してほしいかと見出しを口にしながらページをめくっていく。

「感情線、性格がわかる線。頭脳線、能力がわかる線。次は財運線ね、これは生命線」

 生命線?

「生命線について訳して貰える? 生命線を見ると、何がわかるの?」

 命にかかわることだろうか? だったら、もしかして……。

「寿命、長さで分かると言われてる、他に健康状態、運命を変える大きな出来事ある、事故にも注意」

 メモを取っていたメイの手が止まった。

「お嬢様……」

 メイも同じことを思ったのだろう。

 私の寿命が見える力。手相でそれも分かるというの?

 恐る恐る自分の手の平を見る。

 チャンが私の手を覗き込んだ。

「これは立派な生命線。はっきりした濃い線、健康」

 ニコリと笑って、チャンさんが本に書かれた文字を読んでいく。

「寿命は長さで知ることができる。生命線のこのあたりが50歳、このあたりが70歳手首まで伸びていれば100歳」

 あれ?

 70歳と書かれた点と、100歳と書かれた点の間まで、だいたい80歳くらいまで私の生命線は伸びている。

 だけれど、手元に見える数字は15だ。29歳で死ぬ。どちらが間違っているの?

「私、本当にそんなに生きられる?」

 チャンさんがうんと頷く。

「手相は、変わるもの。生き方で変化していく。はっきりした濃い線も、死にたいと思い続け生きる気力を失うと薄くなる」

「……手相は変化する……じゃあ、寿命も?」

 チャンさんは本から自分の手相を見せてくれた。

「これ、私の生命線、このあたりに鎖あった」

 鎖とは、何か厄介なことを示す線の乱れだ。まっすぐな線が良い線。鎖のように輪っかのような物ができているのはよくない線。

 50歳くらいの場所に鎖が出ていたと言っているけれど。チャンさんの手相はまっすぐ綺麗な生命線で、鎖は見当たらない。

「昔、酒飲みだった。酒辞めたら、鎖なくなった。あのまま飲んでたら体壊してた、思う」

 なるほど。

 生活を改善したら手相が変化したと言うことか。

「寿命も、延びた。長くなった。きっと病気ならないから、健康維持すればそれくらい生きられる思う。でも、長い生命線でも長生きすると限らない。生命線が長いから死なないと無謀なことをすれば怪我や病気であっという間に死ぬ」

 チャンの言葉を聞いてそうかと。

「何もなければ80歳くらいまで、私は生きられるのね……」

 29歳までしか生きられないのは、事件か事故……避けようと思えば避けられる何かが起きるってことだ。

 生命線の長さと、私が目にしている数字がほぼ同じくらいだったら、きっとどうにも避けられない本来の寿命なのだろう。

 ってことはよ、やっぱり私は本来80歳まで生きられるってことよ。

 殿下と婚約したことで寿命は減ってしまったけど、取り返せばちゃんと生きられるんだわ!

 なんとしても、本来の寿命を取り返すんだからっ!



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