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誘拐?

「さぁ、お嬢様、せっかくなので恋愛相談会をしてみませんか?これ、役に立つと思うんですよ!二股かけられてる線とか、不幸な結婚生活待ち受けてる線とか恋愛トラブル線とか」

 それでメイの気がまぎれるのならと、使用人の恋愛相談をすることになった。

 ……結果。

 恋愛怖い!恋愛結婚が幸せなんて妄想だわ!

 政略結婚でも幸せになることもあれば不幸になることもあるけれど……。

 恋愛結婚も幸せが約束されるわけじゃないのね。当たり前だけれど、なんだか恋愛小説ではその後二人は幸せに暮らしましたで終わってるから……。

 憧れてたけど……。怖っ!

 むしろ政略結婚って、いろいろと割り切っている分精神的に楽なのかもしれない……。

 殿下の顔が浮かぶ。

 初めは、私の寿命を70年奪ったということで、憎しみと恐怖の対象でしかなかった殿下。

 私との婚約を望んでいるわけではないのは「こいつでいい」という言葉ですぐに理解した。

 殿下にとっても私は恋愛対象ではなく政略結婚の相手。

 それでも、殿下はぶっきらぼうだけれど何かと気を使ってくれることが分かった。

 毒苺ムース事件があったことで、私の身も心配してくれるし……。

 きっと、恋愛感情はなくとも、殿下と結婚して不幸になることはないんだろうな……。

 と、なんとなくぼんやり考える。

 殿下と……幸せになりたかったな……。

 そんな気持ちが胸にこみあげてきてびっくりした。

 手を見ると、私の結婚線は1本。20歳くらいの位置に1本だけ。

 この線は、殿下のことなのか……別の人のことなのか……。

 ……殿下はどうなんだろう?結婚線……2本あれば、私と結婚した後別の誰かと再婚するということかな。

 いや、待てよ?

 何本もあって、側室を持つという可能性も。

「見ない方がよさそうだわ……」

 手相が当たるか当たらないかは微妙だけれど、知らない方がいいこともありそうだ。

 めちゃくちゃ結婚線がたくさんあったりしたら……引く。

 ちょっと距離を置きたくなるわ。



 3日後。

「申し訳ないです。しばらく来られない……残りの翻訳、別の者を来させる」

 来るなりチャンは頭を下げた。

「え?チャンは来られなくなるの?手相に詳しく、翻訳以外のことも教えてくれるチャンにこのまま最後までお願いしたいのだけれど……」

 チャンは頭を上げると表情を引き締めた。

「そう言ってもらえて光栄。でも、ワタシ、次いつ来られるか分からない」

「何があったの?」

 チャンが表情を暗くする。

「到着した荷、取りに行った店主、行方不明になったと連絡あった」

「店主が行方不明に?」

 何てこと。

「その……行方不明になったのは、店主だけ?」

 商人が荷物を運べば盗賊などに狙われるのは日常茶飯事だ。そのため護衛を雇ったりしているはず。

 一人で荷物を運んでいたわけじゃないだろう。

「店主だけ。護衛たち倒されて転がってた、店の人間逃げ出して知らせにきてくれた。現場に戻ったら馬車も店主もなくなってた」

 メイが首を傾げた。

「荷物を奪うなら店主も護衛と同じように倒してその場に残しておけばいいはずなのに、いなくなってたっていうのは……」

 メイの言葉に思いついたことを口にする。

「盗賊たちの後を追ったのかしら?それとも、盗賊たちに連れ去られた?」

 メイが再び首をかしげる。

「何のために連れ去るんです?」

 連れ去る目的……。

「もし、私が誘拐されたら、何が目的だと思う?」

「シャリアーゼお嬢様を誘拐するなら、命を狙っている」

「それは誘拐するよりも人目がないならその場で殺した方が早いわよね?」

「では、ご主人様に娘の命を助けたかったら言うことを聞けと脅す?」

 うんと頷く。

「私自身を脅す可能性もあるわね。殺されたくなかったら殿下との婚約を解消しろとか?……どちらにしても盗賊がさらったのだとすると、何か要求があるかもしれませんね」

 チャンがそうですねとつぶやく。


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