外出中のアクシデント
お出かけ前、俺は由芽とつかさにスカートの中を見てしまった事を謝罪したが、二人は俺には見られても構わないらしい。
そういえば、二人はスカートを押さえてなかったな。
少しは羞恥心を持ってもいい筈だが、これも男女比が1:300になってしまったが故なのだろうか。
そんな事を考えながら、最初の目的地である公園に向かっている。
左には由芽が俺の腕を組み、右にはつかさが同じ事をしている。
二人の胸の感触が伝わるが、今はこの方がいいだろうな。
本来なら恥ずかしくて堪らないはずだけど。
「しかし、どこを見ても女性ばかりだな。 男子もいるが、家族らしき女性二人がガードしてるみたいだし」
「男性の場合、基本的に通学などの外出時は家族か婚約者同伴が必須なんだよ」
「確かに、あの時マウント行為をされた時に職員室にて早退を希望した際に電話してくれたんだっけ」
俺の発言に、つかさがそう言った。
あの時のマウント行為をされた際に、俺や他の男子が職員室にて早退を希望した時、先生が頭を抱えながらそれぞれの家族に電話して、わざわざ裏口から迎えに来てもらったんだったか。
「ME思想を掲げた女性が隠れてるかも知れないからね。 一応、99%は駆逐したみたいだけど、隠れME思想者を含めて、何処かには潜んでるからね」
「そうならないように、私達でお兄ちゃんを守らないとね」
「悪いな、二人とも」
「気にしない気にしない♪ ボク達がケンくんに提案したんだし、これくらいはね」
同伴必須の理由も、つかさが言うように何処かに潜んでいるME思想を掲げた女性対策らしい。
そいつらは、男を見ただけで襲いかかり、死ぬまで暴行を行うと、母さんが教えてくれたっけ。
その為に、家族や婚約者同伴で外出したり通学したりする方が安心できるわけだ。
「ボクや由芽ちゃんは、必須科目として体術も習ってるしね」
「なら、頼りにさせてもらうよ」
「任せてよ、お兄ちゃん♪」
なお、女性の場合は男性を守るために小学生の時から体術を習うようだ。
ちなみに必須科目らしい。
男としては情けない感じになるが、このご時世だと俺の場合は、由芽やつかさに頼らざるおえない。
だから、ここは素直に頼らせてもらうとしよう。
「もうすぐ公園に着くみたいだね」
「まずはジュースを買って日向ぼっこでもする?」
「そうしようか……」
「ちょっと、あんた達! 何で神聖な場所に男を連れて来てんのよ!!」
もうすぐ公園に着く所で、不快な声と共に女二人がこっちに来た。
つかさも由芽も不快感で表情が歪んだ。
ひょっとして、あの女達は……?
「そっちこそ、いきなり何ですかね? そもそも、公園に男を連れて来るななんて発言、男性保護法違反なんですがねぇ」
「そんなのは関係ないわ! 私達がルールよ!! 私達の言葉に従いなさい!」
「だが、断る! そもそも、昨日だってこの公園に家族連れの男性がいたんだけど? そっちに絡まずにここっちに絡むあたり、ボクらも舐められたもんだね」
「あ、あんたは……!」
あの不快な女達とつかさが言い合ってるが、女達の方はかなり破綻している。
そして、自分ルールを形成して、男だけを排除しようとしている辺り、あの思想持ちか?
(由芽、あの女達はもしかして?)
(ME思想の女だね。 全く、本当に法律を無視してでも男を排除しようとしてるなんて呆れるね)
由芽に小声で聞いたところ、やはりあの女二人はME思想の女らしい。
男を全て排除するという思想を元に【男狩り】を実行したあの男性排除主義を崇拝する女が、未だに燻っている現実を目の当たりにされた感覚だ。
ちなみに由芽は、スマホでME思想を掲げた女性を発見したら通報出来る専用のアプリを使って通報していた。
昨日あたりに由芽から教えてくれたもので、ME思想の女性を見つけた際に、位置情報と共に簡単に通報できるアプリらしい。
「あんた達のせいで、普通の女性さえも間接的に被害に遭ってる事実も理解しなよ」
「「うるさぁぁぁい!!」」
あ、つかさの発言に発狂して二人の女が殴り掛かってきた。
「はい、そこまで!」
「ひぎっ!?」
「あがっ!?」
つかさも体術の構えをしたが、咄嗟に二人の私服の女性が、先に二人の女とつかさの間に入って、二人の女の腹部を叩きこんだ。
「通報ありがとうございます。 ME思想対策課所属の警察です」
「あら、つかさちゃん、それに由芽ちゃんと謙二くんも」
「雪子おばさん!?」
どうやら、私服の女性二人は警察らしく、ME思想対策課に属していた人達だった。
いわゆる私服警官のようだ。
そして、片方はつかさの母親の妹の雪子さんだった。
警察で働いているってのは聞いたが、まさかME思想対策課に属していたなんてなぁ。
由芽も驚いているし。
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