由芽とのひと時と婚姻制度
「ただいまー」
「あ、由芽ちゃんかな?」
「帰って来たみたいだな」
しばらく雑談したりゲームを楽しんだりしていると、由芽の声が聞こえた。
学校が無事に終わって帰ってきたようだ。
「お兄ちゃん、ただいまー♪ あ、つかさお姉ちゃんも」
「お帰り、由芽」
「お邪魔してるよ、由芽ちゃん」
ポニーテールを靡かせて、セーラー服姿の由芽が俺の部屋のドアを開けた。
いや、ノックくらいはしてくれよ。
「とはいえ、そろそろ帰らないとね。 お父さんとお母さんも仕事から戻って来るころだし」
「そっかー。 本来は学校だもんね」
「時間が合えばまた遊べるよ。 日曜日とかにね」
しかし、タイミングが悪くつかさはそろそろ帰宅しないといけない。
彼女の両親も仕事が終わって帰って来るころだろうし。
由芽は残念がってたが、本来は由芽の通う学校と同じで5限目まであるはずだからな。
つかさの通う学校が特別なんだろう。 同じ公立なのにな。
「悪いな、帰宅途中にわざわざ」
「いいよいいよ。 ボクはケンくんを支えたいからね。 由芽ちゃんと一緒に」
「そうだったな」
妹の由芽と母さんと同じく信頼できる女子がこの幼馴染のつかさだからな。
このご時世の中で、ずっと一緒に遊んだり、気に掛けたりしてくれたからな。
「じゃあ、またね」
「またね、つかさお姉ちゃん♪」
由芽と俺に手を振りながら、つかさは帰った。
残ったのは俺と妹の由芽。
「じゃあ、お兄ちゃん。 先にお風呂にいくね」
「今日は体育があったのか?」
「うん。 まだ春なのに汗かいちゃってね」
「なら風呂が終わったら、夕食が出来上がってるか教えてくれ」
「うん、いいよー」
そして、由芽も風呂にいくために部屋を出る。
一人になった俺は、スマホを弄って動画でも見る事にした。
(由芽もあと一か月で13歳か)
中学一年生とはいえ、今の由芽はまだ12歳。
しかし、あと一か月になれば13歳になる。
複雑な年頃になるんだろうなと思いつつも……。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ん~♪」
「やれやれ、相変わらず甘えん坊だなぁ」
取り越し苦労なのかは分からないが、由芽が風呂に入り終えたタイミングで夕食が出来たようで、家族で一緒に食べ、その後俺の部屋で由芽がスキンシップをしていた。
もうすぐ13歳になる娘が、今でも俺に甘えているのは理由があるのだろうが。
まぁ、今のご時世では問題はないのだろうな。
なお、由芽はコスプレ用のセーラー服を着ている。
「あと一か月で由芽も13歳になるんだよな」
「うん。 そうなれば、婚約可能な年齢になるからね」
「しかも、下手したら男女比が1:300より悪化するかもしれないから、法改正で一人だけの限定で近親者でもOKになっちまったんだよなぁ」
「あれは私もびっくりしたよ。 ニュースで話題になったし。 でも、これで私もお兄ちゃんの傍にいれるって思うとね」
「まぁ、確かに。 由芽にも助けて貰ってるからな」
俺の膝の上に座ったまま、一夫多妻制と婚姻制度の改正施行について話をする。
今でこそ、日本の男女比は1;300なのだが、未だに男性が女性に対する不信感が募っている現状で、なかなか結婚に踏み切れておらず、同時に出生率も低下している状況に政府も頭を抱えていた。
下手したら、男女比がさらに悪化するかもしれないと、実は去年に、一夫多妻制度と婚姻制度の改正に踏み切ったようなのだ。
改正案が成立されたのが去年の秋で、施行は今年の2月だ。
内容は、一夫多妻制度の婚姻枠を5人から10人に拡大し、女性の婚姻可能年齢を13歳に引き下げ、一人限定でかつ姉か妹限定で近親者でも結婚OKに改正されたのだ。
特に近親婚は、遺伝子の劣化などで物議を醸しだしたが、最終的に近親者は一人のみという形で決着がついた形だ。
「お兄ちゃんは今の現状じゃ、私とつかさお姉ちゃんくらいだよね? 婚姻できる相手っていえば」
「そうなるな。 由芽もつかさも俺にとっちゃ大切な存在だし」
「えへへ♪ じゃあ、私もお兄ちゃんの支えになれるようにもっと頑張るね♪」
由芽の頭を撫でながら、俺は由芽にそう言った。
隠れMEが燻っているかもしれないと、女性に対して不信感を募っている中で、妹の由芽と幼馴染のつかさくらいしか婚姻可能な相手はいないからな。
他の男子は、下手したら婚姻せずに一生を終えるかもしれない事も考えると、俺はまだマシな方か。
「そういや課題は?」
「今日はないよ。 だから、お兄ちゃん、一杯楽しもう♪」
「しょうがないな。 由芽の頼みは断れないし」
そう言いながら、俺は由芽にあんな事やこんな事をして楽しんだ。
由芽も嫌がらずに受け止めて貰えたし、昨日までのストレスは発散できたかな?
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