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ある公立高校では(女子生徒視点)

本日3話目です。

ある女子生徒視点の話です。

「えーっと、出席を取る前にお知らせを。 日下部 謙二くんは無期限の休学となりました」


 公立館浜(たてはま)高等学校の1-Cの教室にて、担任の先生から報告があった。

 クラスメイトの日下部くんが、今日から休学するという事なのだ。

 多くのクラスメイトがざわつく中、私こと生駒(いこま) 時雨(しぐれ)は冷静だった。

 彼の休学はなるべくしてなったと。


「何故奴の休学を受け入れたんだ! 無理やりにでも学校に来させろよ!」


 その原因である不快なイケメン男子の(みなみ) 池人(いけひと)が担任に激昂した。

 日下部くんの休学のきっかけを作ったのによく言うよ、本当に。


「ダメです。 男性保護法違反になりますので」

「そんなの関係ない! 俺がダメと言ったらダメなんだ!」


 確たる意思を持って拒否する担任の先生に食らいつく南という男。

 この男は、見た目のイケメンで多くの女性を虜にしていた。

 それを他のクラスの男子や日下部くんに対してマウントを取っていた。

 今の時代の日本には、【男性保護法】という法律が施行されており、その中にある【男性同士の交流】に項目にマウント行為を禁止する旨が書かれているのだ。

 しかし、彼は昨日までにその禁止行為のマウントを取っていたのだ。


(奴がここまで食いつくのは、マウントしたい相手がいなくなることを嫌っているのかもね)

 

 私はそう心の中で考えていた。

 あの南という男は、誰かをマウントして見下し、自分を優位にしたいんだろう。

 その相手がいなくなると、マウントが取れなくなるからだ。


(確か、中学生時代の友人のつかさちゃんによれば、彼のお母さんが学校にクレームを入れたりしたけど、対応してくれなかったって言ってたかな)


 私は中学生時代の友人のつかさちゃんからの通話で聞いた話を思い出した。

 あのマウント行為によって、日下部くんは不快感に陥って早退した。

 その後、家族と相談して休学の決意をしたと、つかさちゃんのお母さん経由で聞いたんだっけ。

 そして、学校などにクレームを入れたが、対応してくれなかったとも。


(明確に法律に違反しているのに、それをなかったことにさせる辺り……、あの南という男は危険ね。 あの男、この世界の情勢を理解していない)


 ともかく、私の中であの男は危険人物だと理解した。

 そもそも、モテないとかそういうのではなく、今の男子は過去のME……メンズ・エリミネイトのテロ事件が尾を引いて、大なり小なり女性に対しての不信感を抱いているのだ。

 このクラスの女子にも隠れME思想を抱えているのではという疑念も持っているから、女性に近づこうとしない。

 酷いと敵視すらされるという情勢に、この南は全く理解していない……いや、知ろうともしないだろう。

 全ては自分の為に回っていると……、そう考えているから。


「くそっ! なら、政治家のお袋に言いつけてやる!」


 ヒートアップした後、南はそう吐き捨てて教室を出ていく。


(そうか。 奴の母親は政治家なのか。 なら、あのクレーム無視も納得いく)


 どうも南の母親が政治家をしているためか、その権力を行使して無理やり捻じ曲げているのだろう。

 校長が日下部くんの母親からのクレームを無視したのも、奴の圧力があったからか。

 そうなると、この先生の行く末が心配だが……。


「やれやれ。 こっちは既に姉に報告済なんですがね。 さて、ホームルームに入りますよ」


 先生が何かを呟きながら、ホームルームを始める旨をみんなに告げた。

 しかし、先生も先生でこの余裕は一体……?


 それによる恐怖を感じた私は、ホームルームが終わった後、すぐトイレに駆け込むのだった。

 恐怖を感じて漏らしそうになるなんて思わなかったよ……。



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