男女比が狂った理由と謙二の現状
本日2話目です。
何故、男女比が今の時代で狂ったのか?
それはアメリカや中国に落とされた複数の隕石と大きな衛星が起因とされているが、実際には分からない。
ただ、落下して数年後にはその二国を中心に男性の出生率が一気に下がったらしい。
その影響は、日本を始め他の世界各国にも及び、世界の男女比は1:100にまで落ちたそうだ。
「その中で、日本はあの酷い過激派組織のせいでさらに男性の人口が減らされたのよね」
「【ME】だね。 私もそれは腹が立ったよ。 当時のお父さんがそれの被害に遭ったんだよね」
「そうよ。 今はまだマシなんだけど、当時は助けに入った私の母や私以外の女性には敵視していたのよ」
「あれは酷かったからな。 当時の自分の両親を目の前で殺され、自分自身も片腕を折られたからな」
そう。
さらに日本では、女尊男卑が横行し、そこから男子排除の組織ができたのだ。
その組織は【ME】で、正式に【メンズ・エリミネイト】と言われるテロ組織だった。
それによる【男狩り】のせいでさらに人口は減り、 今の男女比1:300になったのだ。
父さんも【ME】による男狩りの被害に遭っており、当時は母さんとばあちゃん以外の女性には敵視していたらしい。
今はマシになってるそうだが。
「あ、そろそろ私は学校に行かなきゃ! 行ってきます」
「気を付けてねー」
そんな話をしている最中に、由芽が学校に向かう時間になったようだ。
食事前にトイレを済ませているようだし、大丈夫だろうけど。
由芽が行ったのを確認してから、父さんはテレビのスイッチを入れる。
丁度、その【ME】に関する忌まわしき出来事がドキュメンタリーとして放送されていた。
「その【ME事件】をきっかけに政府は、色々な法案を可決させたんだ。 男性保護法を始め、一夫多妻制度など一気に数が少なくなった男性を優遇する法案がね」
「同時に入り込んだME思想の政治家を一掃したんだっけか?」
「ああ、そうだ。 しかし、一夫多妻制度などは思うように進んでいないがな。 父さんも春菜と以外は結婚しないと決めてたしな」
「そりゃあそうね。 一夫多妻制度が成立し、ME思想も一掃したといっても、男性が抱えている女性への不信感は消えないばかりか未だに高まってるしね」
だが、今の男子は女性に対する不信感が大なり小なり抱えている。
俺もある意味、そんな感じだ。
「謙二が休学を決意したのは、あの男だな?」
「ああ。 南 池人という男だ。 絵にかいたようなイケメンで女子は次々とその男に靡いていた。 それはいいんだ」
「確か、他のクラスの子やあなたにマウントを取ってたのよね……」
「まぁね」
俺が休学に至った理由も簡単に言うなら、母や妹以外の女性に不信感を抱いている俺や他のクラスの男子にもマウントを取っていた事だ。
その南という男は、多数の女子を我がものにしては、俺や他の男子にマウントを取ったのだ。
それが不快で、俺は学校には行かないと母さんに打ち明けたのだ。
「男性保護法の男性同士の交流の項目で、マウント行為は禁止されてたはずだがな」
「ええ。 私も息子からそれを聞いて、クレームを入れたわ。 でも、進路の件と同様に聞く耳持ってくれなかったわ」
父さん曰く、男性保護法の中にある【男性同士の交流】の項目にはマウント行為を禁止していると記載されていたという。
しかし、母さんがそれを踏まえてクレームを入れても、学校や文部科学省は応じてくれなかったのだ。
「私の友人にその男の事を調査するように頼んでおくわ。 法に違反してるのに、そんなのはなかったかのようにされてるんだし」
「そうした方がいいな。 あの男は、危険な香りがするからな」
父さんと母さんは、南という男に関して警戒を強める事にした。
法に違反してるにも関わらず、罰するどころかそんな法律はないと言わんばかりにあしらわれては、母さんも許せないのだろう。
「まずは、学校に休学を伝えるわ。 謙二は部屋で休んでてね」
「ああ、頼むよ母さん」
朝食を食べ終え、母さんは学校に無期限休学を伝えに電話するようだ。
父さんはリモートの仕事を始め、俺は部屋でゆっくりすることになった。
さて、何をしようかな……?
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