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そうならないように、声をかけれたら、坊っちゃまは、今まで、苦労なされていませんね。
「マリア、その…ああ言ってしまった手前、その…。こっ婚約者になってくれるか?」
「はい。そのお役目果たさせて頂きます。」
照れくさいのは、わかりますが、坊っちゃまその言い方は、アウトです。
マリア様は、確実に、先程の言い訳の為だけの形ばかりの婚約だと、誤解されましたよ。
お役目とか、言ってますし…。
あの女の最後の余分な言葉もありますからね…。
はぁ…。
マリア様が、俯きながら、「義務と憐み…」と呟いたのは、気のせいでは、ありませんよね…。はぁ…。
それにくらべて………。
「坊っちゃま、天に拳を突き上げて、喜んでいるところ申し訳ないのですが、あなたの心は、伝わってませんよ。全然。」
「な!?なぜだ!?」
「なぜか………はぁ〜。ご自分でお考え下さい。私は、婚約の書類と、手続き、旦那様へのご報告をしてまいります。では…」
突き上げていた拳を力無く、ぶら下げて、この世の終わりの様な雰囲気を醸し出していますが、知りません。私は、忙しいのです。
こうして、晴れてレオン様と、マリア様は、誤解があるものの、婚約なさいました。
それだけでも、私は、一安心です。
ゼンザー令嬢の件は、公爵家の方から、正式なお断りを入れ、上司であるゼンザー氏には、坊っちゃまに嫌味を言われたようですが、ゼンザー氏のミスを坊っちゃまが、カバーしてうやむやにしたようです。
そういうところは、優秀なんですよね…。
さてさて、アリス様が、本家で眼の治療をされてから、3ヵ月が経ちました。
季節は移り変わり、肌寒い季節となりました。
マリア様は、付き添いが無くても歩けるようになり、我々と変わらぬ視力になられました。
坊っちゃまは、相変わらずですが、お二人で、坊っちゃまの休みの日に、お庭を散歩する様になりました。
目にするモノ全てに、感動を覚えているマリア様を案内するのは、なかなか楽しいものです。(体験談。坊っちゃ間が忙しい時は私の趣味…もとい仕事です。)
目にした物の名前や用途など、多岐に渡り質問がくるので、話し下手な坊っちゃまでも、会話が成り立ちます。
これはこれで、素晴らしい事です。
しばらく歩いて居る2人の後ろを距離を取り、ついていきます。
そちらは庭の、小さな池がある場所ですね…。
それ以上奥は、別棟がありますよ、坊っちゃま…。
レオン様は、池の水を手にすくいます。
池の水が、跳ねるように飛び上がり、全てアーチを描くように氷ました。
まさか、マリア様に、こんなに簡単に見せるとは思いませんでした。
私、久しぶりに、ビックリ致しました。
「まあ〜なんでキレイなんでしょう。すごいわ。光が当たって、まるで光のトンネルみたい。
これは、なんですか?なんと言う物なんですか?」
「これは、魔法だよ。」
「まあ。魔法ですの!?魔法って素敵ですのね!」
目を輝かせて、氷のアーチを見守るマリア様の横で、ずっと不安げな雰囲気だった、レオン様が、すごく嬉しそうな雰囲気になりました。
まあ、そうでしょうね…。
子供の頃に、まだ魔法の制御ができないのに、公爵家に遊びにいらしたお子様に、せがまれ、魔法を使ったのですが、失敗して、氷の雨を降らし、お子様達に怪我をさせてしまいました。その後から、怪物とか悪魔と呼ばれはじめてしまいました。
それからは、いく先々で、後ろ指を刺されるので、ご自分の殻に閉じこもってしまい、話をしない坊っちゃまになりました。
ですが、見目麗しい坊っちゃまを周りは、ほっておいては、くれませんでした。
話をしたくないのに、周りは煩くなるため、その原因である、自分の容姿を嫌うようになりました。
ある日、外で遊ばれていた、貴族のお子様達が、納屋にあった、先先代が、初めての狩の記念として、剥製にした、豚の剥製を目にして、皆さん恐怖に泣かれたり、倒れられました。
それを見た坊っちゃまの行動は、早かった…。
豚の剥製の首を切り、中の空洞をさらにえぐり被れるようにすると、それから毎日、それを付けて生活する様になりました。
使用人も、侍女さえも、気持ち悪がるため、公爵様の仕事にも、支障があり、こちらの別邸に、レオン様を慕う者だけを連れて、移り住みました。
裏のお仕事を担っているレオン様の影たちは、レオン様と、兄弟の様に育ってきた為、レオン様から離れる事も無ければ、レオン様を馬鹿にする者もおりません。
なぜなら、彼らは、見た目で人を判断しないからです。そして、レオン様の本当の力を彼らは知っています。特殊な彼らを従えれるのは、代々その膨大な魔を受け継ぐ、我が公爵家の男児のみなのです。
レオン様の力は、風と水、氷に特化した魔法です。
裏のお仕事の情報収集には、持ってこいな能力の風と水と氷…。旦那様は、水と土でしたから、それはもう、羨ましがっいました。
おっと。話が逸れてしまいました。
そんな過去がお有りなレオン様は、あまり人前で魔法を使われません。私達の前ですら…。
それが、先程は、簡単に使われたわけです。
それは私が、膝から崩れ落ちるほどビックリしても、仕方のない話です。
「セバス何をしてるの?」
「膝から崩れ落ちているのでございます。」
「暇なの?」
坊っちゃま、目敏いですね……こっそり、崩れ落ちていましたのに…。
そして、暇とは、失礼な…!
「セバスさんどこか具合でも?寒い中、散歩に付き合わせてしまったから!?どこか痛くなって!?」
マリア様は、本当にお優しい…。
暇人扱いとは大違いです。
「マリア様大丈夫で、ございます。久しぶりに坊っちゃまの魔法を拝見したので、感動したので、ございます。」
「え!?え?魔法とは、レオン様のお力なのですか!?」
目を大きく見開き、ビックリした顔で、レオン様を見るマリア様。
魔法の意味がいまいちわかっていなかったのですね…。
レオン様の、緊張が、一気に張り詰めました。
「まあ。なんてすごいのでしょう!やはりレオン様は、天使様なんですね!?」
マリア様は、レオン様の緊張を知ってか知らずか、レオン様を大絶賛です。
よかったですね。レオン様。怖がられても、気持ち悪がられてもいませんよ。
流石マリア様です。




