鏡越しに
鏡越しにあなたをみていた。
少しずつあなたを見ている内にあなたをを知って行って好きになっていた。
どれだけ手を伸ばしても、どれだけあなたを愛していても、あなたにはわたしの手もこの想いも届かない。
…もし、あなたがこちらに気付いてくれたら…同じ想いを抱いてくれたら、どれだけ幸せなのだろうか。
その幸せを手に入れたら、きっとわたしはあなたの事が手放せ無くなってしまうのだろう。
昔から、何処からか視線を感じる時があった。
僕はずっと昔からその視線が何か気になっていた。
家族や友達には、鈍いとかマイペースだとか言われてるけど…何故か昔から僕を見つめる視線には敏感だった。
どれだけ問いかけても返事は返ってこないのに、いつも問いかけてしまうんだ。
「ねぇ、君は何処に居るの?僕もそこに…」
向こうには聞こえないのかも知れないけど僕は問いかけを止めることは無いのだろう。
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「早く僕もそこへ行きたいなぁ…」
何度目かの言葉、何百回と呟いた言葉だけれど、僕の言葉に反応するように鏡が黒く染まっていった。それに、気づいた僕には分かった。いや、"分かってしまった"
昔から僕を見つめる視線それが鏡の向こうに居るのだと
「やっと、会えるね」
そう呟いた僕の言葉は鏡の中に吸い込まれていった…