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キャラメイク その一

第一回目のキャラ設定です。

 ばあちゃんは自分が立っていることに驚いている。でもこれからずっとこの中では自分で歩けるんだけどな。



『ばあちゃん、わかった? じゃあ続けてもいいかな?』


 そういうと、僕の影があるあたりをみてうなづいてる。うん。やっぱり順応性が高いな。


『これからゲームの中のばあちゃんを作るんだよ。まずは姿、形は今のばあちゃんで作るよ。その方が動く感覚を掴みやすいからね。それ以外は自分で作ってみようか』


 そう言ってばあちゃんを促すが、どうしていいのか分からないみたい。

 あっ!

 そういえば、ゲーム自体初めてか!


『ばあちゃん? まずイメージしやすいように右手を前に出してステータスって言ってみて』


 するとめっちゃ素直に真っ直ぐ右手を伸ばしてから唱えている。小さな声で。


『すてーたす』


 ばあちゃんの目の前にはたぶんだけど画面が現れているはず。


 ばあちゃんの白い影は頭を一度振って、僕の方を見てきた。


『うん。今、画面が目の前にあるでしょ?』


 こくこくとうなづく影。


『名前の所が空欄になってない?』


 こくこく。

 なんだかかわいいなぁ。


『そこがばあちゃんの今の名前になるよ。空欄を押さえるとカーソルが出るはずなんだ。カタカナで入れられるようにしてるから、キーボードで使いたい名前を入れてみて。あ、名前はこれから何度か変えるチャンスがあるから適当でいいよ』


 ばあちゃんは真っ直ぐ腕を伸ばしたまま、右手の人差し指でタッチしていた。アイウエオ順にしてあるからわかりやすいとは思うんだ。

 なんて入れたんだろう……こちらからは見られないから……なるほどナビから見えない不自由さは修正事項だね。


 ばあちゃんの後ろ側に立つとその画面が見える。

 彼女は名前を【セツ】と入れていた。

 江雪のセツかなぁ。

 ばあちゃんの友達はユキちゃんって呼んでいたからすっかりそれになると思っていたよ。


 次は種族。これは今回は人族に固定してある。動く事に慣れてもらうためだ。


『次は種族ってあるでしょ?そこは今回は人族のままにしてね。この次は自分の好きなようにしていいから』


『次? またコレを作ることがあるの?』


 ばあちゃんは不思議だと言う感じに聞いてきた。


『うん。今回はね、動きの感覚を覚えて貰うためなんだ。色々やってもらうから楽しんでね』


『そう……』


『性別は変えようと思ったら変えられるけど、あまりオススメはしないよ。動きに不自然さが出るから』


『そ、そうなの?』


『次の項目だけど、スキャンされたばあちゃんの顔や身体が右側に映っているよね。そこは多少変えられるよ。目の色や髪型、髪の長さ、肌の色、目や鼻や耳、唇なんかはその部位をタッチすれば候補が出るし、微妙に変えたいなら横のバーを動かせば変わるよ』


 ばあちゃんがイメージスタイルを触ると、目の前の白い影はその通りになっていった。

 髪と瞳は黒く、目鼻立ちはほぼそのままで。

 いや、少しだけ変えたのかな?二重になっている。

 髪が黒くなるだけで少し若く見える。

 唇の色が明るいだけで元気そうに見える。

 姿勢も少し良くなった気がする。


『ちょっと若くなったね。年齢はどうする?えっと、今回は幅のある設定しか出来ないけど。動きになれるために50代くらいにする?それとも30代?』


『けいちゃん……今の年齢ではだめなの?』


『ううん。別に構わないよ。ただ若い方が嬉しいのかなって思っただけ』


 ばあちゃんは50代を押した。


『これぐらいの時なら運動もそれほど苦手にはなってなかった気がするのよね……』


 なるほど。ある程度動ける時の事を思い出してるんだなぁ。そりゃ今は走ったりしてなかったな。


 次はスキルか……

 身体になれるだけだから……


『ばあちゃん、次のスキルだけど最初は【観察】と【手技】だけは取っておいて。あとの三つは好きなのを取っていいから』


『けいちゃん?スキルって何?』


 あー……そうだった。


『えっと、スキルは技能的なものかな?それを持って色んな事をすると上達するのが早くなったりそれで出来ることが広がったりするんだ』


 ゲームをする人なら説明しなくても良いけれど、全くの初心者なら説明がいるよね。ここも初めのトコに書いとかなきゃな。


『最初は五つしか取れないんだ。でね、この中で戦いとかもあるから普通は戦闘用の攻撃スキルと防御スキルをとる人が多いよ。あと職業を魔法使い系にするなら魔法スキルも何かをとるんだ』


『魔法って……私でも使えるの?』


 えっ?


『う、うん。初期スキルに魔法系を入れているか、魔法使い系の職業を選べば使えるよ』


 ばあちゃんが一歩前に出てくる。


『どんな魔法があるの?』


 マジ魔法が使いたいの?


『えっと……初期魔法には火、水、土、風なんかが有るけど? 使いたいの?』


 ビックリして問いかけた。


『そうね、使ってみたいわ。現実に出来ないことでも出来るのでしょう?』


 思ってもみなかった。ばあちゃんって、こんなにアクティブだったっけ?

 ……そういえば、何かと地域のイベントにもよく出てたっけ。畑の世話をしたかと思ったら公民館で朗読劇とかしたり……祭りの豚汁とかも作ってたよなぁ。


『街の外に出て戦闘とかしたいわけじゃないんだろ?もしかして狩猟とかしたいの?』


『戦闘って……あなた私に何をさせたいわけ?』


『だーからー、それをしないんだったらなんで魔法とか使いたいのさ。だいたいあれは戦うためのスキルだよ?』


『あら、便利には使えないのね』


『便利って……』


『だって井戸水とか汲むの大変なのよ。それに火おこしだって』


『はっ?』


『えっ?ちがうの?』


『なんでそう思うのさ』


『あなたが私のやりたかったことが出来るって言うから』


 ばあちゃんと僕の認識にズレが有りすぎる。


『どういう世界を考えているのさ』


『前に聞いたことがある事からして、狩猟したり、木の実や薬草とかを採取しながら生活するのでしょう? だったら日本でいうと平安より前になるじゃない』


『違うよっ。中世のヨーロッパみたいなやつだよ。畑も有るよ』


『でも現代じゃないのでしょう? 水道はあるの?ガスはどう? お風呂やトイレはどうなの?』


 えっ? ゲームでそこまで考える?


『ばあちゃん、リアルじゃないからその辺は上手くできてるよ。異邦人にトイレは無いよ! そんなの誰も求めてないからっ。あとお風呂は考えて無かったよ。いるの?』


『感覚があるなら汗とかかくんじゃないの? ないなら……わからないわ』


 そっか、お風呂に入りたいんだね……今現在……


『とりあえず、今はないよ。でどうする?』


『便利そうなので水がいつだって使えるのは良いと思うの』


 何がしたいの?


『ばあちゃん……もしなんでも出来るなら何がしたいの?』


『わからないわ。でも……前と同じ生活してみたいなぁ』


 そっか……


『じゃあさ、魔法スキルは無属性をとるといいよ。どれもちょっとずつ使えるけどどれも大したことは出来ないよ。いわゆる生活魔法っていわれるやつだから』


『分かったわ。じゃあ、これを……』


『今回は職業は空欄にしておいてね。それが無いときのスキルの動きを確かめるから』


『ええ』


『この姿でゲーム時間でいう一週間を過ごしてもらうよ』


『一週間だけなのね』


『うん。色んなのを試して貰うから。あと同じようにテスターが入ってるけど気にしないでね。彼らとばあちゃんは違う事を試してもらっているから』


『そう。じゃああまり話しかけない方がいいのかしら?』


『それはどっちでもいいよ。普通にしておいて。話す事があるなら話せば良いし、無理にとは言わないよ。できるならゲーム内で暮らしている住人とは話をしてみて欲しいよ』


『ええ、わかったわ』


『それから僕は今から見えない案内人になるよ。【ナビ】って呼んでもらうと分からないことには答えるから。あと、ばあちゃんは今からは【セツ】になるからね。他のテスター達からは名前が【セツ】って表示されるから。いい?』


『ええ。私は【セツ】あなたは【ナビ】ね』


 こうしてばあちゃんはセツとなった。




 プレイヤー【セツ】


 レベル:1

 HP:5

 MP:5

 職業【⠀】

 スキル【観察】

  【手技】

  【無属性魔法】

  【⠀】

  【⠀】






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