04話 ゾンビとゴブリン
俺の名はリベル
どこにでも居る普通の少年。だが人ではなく、魔物であり死神だ。
「自分のステータスを強く念じてみろ」
「分かった。おお、出来た」
《スキルを修得しました》
《スキル『能力表示』が魂に刻まれます》
「やっぱり俺は弱いな」
「まだ弱くて当たり前だ」
「よし、少し魔界を探索してくる」
「おい待て、その前にこれを読め」
「なんだこれは」
「“魔導書”だ」
「それを読んでなにかなるのか?」
「言っただろ、魔法は理解することで取得できるんだ。“魔導書”には魔法を取得出来るだけの情報が詰まっている」
「なんだ、読むだけで魔法は覚えられるのか。やっぱり簡単じゃないか」
「確かに簡単なものもある。だがこれを読んだところでイメージして、感覚を掴めなければ取得はできない。だから感覚が掴めないやつは行く読み返したところで無駄だ。
“魔導書”は魔法を取得するためのヒントでしかないんだ」
「そうか、長い説明ありがとう」
俺の前に置かれたのは『言語解読』という魔導書だ。
「さ、読むか」
それから30分後
《スキルを習得しました》
《スキル『言語解読』が魂に刻まれます》
よし。
「それじゃいってくる」
「おう、暫くうちに泊めてやるから帰ってこいよ」
「ありがとう」
おれは家を出てこの家に来た道と反対の方向に向かう。
そう、魔物狩りだ。
魔物は魔力のあるところでその場に適した者が生まれる。だが魔物どうしで繁殖もする。
そして人界に生態系が存在するように、魔界にも生態系は存在する。
その生態系が崩れたならばそれを正さなければ。
今回俺はその役目を担っている。
俺はアルから近くの洞窟にゴブリンが大量発生しているという情報を聞いた。
そしてこの山の麓にあるゾンビの村が荒らされて困っているという。
俺は順調に山を下り、村へと着く。
村は木の柵に囲われていて簡素な家が十数軒、畑もある。
そしてそこに居たのは農作業をするゾンビが数名。
俺と1人のゾンビの目が合う。
すると目の合ったゾンビがいきなり叫び出す。
そしてその声を聞いたゾンビ達が反応し、槍や剣を持った者。作業を止め鍬を構える者など。村中のゾンビが俺を睨みつける。
おれはここで『言語解読』発動する。
するとゾンビの話す言葉が分かる。
「お前は何者だ」
「俺はリベルという者だ。この村を襲うゴブリンを退治しに来た。」
「おお! 我々を助けていただけるのですか!」
「そうだ」
(まぁ自分の為でもあるんだけど)
「それは有難い」
「そんなにヘコヘコしないでくれ。それで洞窟はどこにあるんだ?」
「はい、あちらの山の麓にございます」
「分かった。さっそく行ってくる」
「お待ち下さい! 装備も何もなしで向かうおつもりですか?」
「ああ」
「それでは貴方がやられてしまいます。それではこちらをお使い下さいませ」
ゾンビは構えていた錆びた剣をくれた。
錆びてはいるが何も持たないよりはマシだ。
「ありがとう」
「お気おつけて」
俺はゾンビの村をたつ。
ゾンビの村は、アルベルトの家のある山とゴブリンのいる山に挟まれる形である。
洞窟の前まで来た。
茂みに身を伏せる。なぜなら洞窟の入口にゴブリンが左右に分かれ待機しているからだ。
だがこのままでは埒が明かないので、近くに落ちていた石を右のゴブリンに投げつける。
と同時に『言語解読』を発動する
「痛っ! おい、誰かが石投げてきた」
「ゾンビが反撃でもしてきたんじゃないか?」
「笑い事じゃない。顔に石が当たったんだぞ」
ゴブリン達の意識が逸れてるうちに俺は横にズレて隠れる。
そして右のゴブリンに『火球』放つ
「熱い! あぁぁぁぁ!」
「お前かぁ!」
悶える隣のゴブリンを横目にもう片方が俺に気が付き飛びかかってくる。
俺は父に剣術を叩き込まれたがステータスが低く、筋力がなかったので剣を用いた練習が出来ずに木の棒を振っていた。なので本物の剣を持っても感覚の違いから、剣術は無いに等しい。
俺は飛びかかってきたゴブリンの腹を剣で切りつける。
ゴブリンは飛ばされて倒れる。
錆びていたから斬れずに撲殺になってしまった。
すると。
《スキルを獲得しました》
《スキル『闇目』が魂に刻まれます》
そういえばスキルを手に入れた時、自分で得たものは修得。魔導書を読んで得たものは習得。魂の情報を得て取得したものは獲得になるらしい。
そんなことは今はどうでもいいや。
さあドンドン進もう。
そして強くなってやる。
洞窟に入ると直ぐに暗闇にのまれる。なので『闇目』を発動する。
視界が通常と変わらなくなる。
すると洞窟の少し開けたところにゴブリンが50体近くいる。
(これは今の俺には厳しいな)
さて、どうするか。