1発の弾丸と一つの自然
人類は、進化とともにその生物でもトップの大きさを誇る脳と、知能を持ち合わせている。そのおかげか、年ごとに人の手で造られた技術を進化させ、自らを楽にさせて行った。だが、その代償はかなり大きなものだった。
排気ガス・工業廃水・化学物質汚染・宇宙ゴミ 人類の進歩により、様々な問題が挙げられてきた。それでも、人は己を楽にする欲に負け、自然を汚して行った。
そこに、ある軍団が立ち上がった。
彼らは、銃器や爆弾を用いて企業や軍事施設などを破壊する工作を行い、自分たちのことをこう声明していた
『自然保護軍』
政治家や、企業家たちは自分たちの損害とこの世界規模の軍隊に頭を悩ませ、ついにこう決断に至った。
『奴らを我が軍隊による殲滅を行う』
訓練された兵士と、生半可な訓練で戦場を歩く民間兵。どっちが上かすぐにわかった。
そして、人と人。銃と銃との戦いが世界規模で勃発した。
「ダダダダダダッ」
「キュンッキュンッ」
土嚢に身を預けた。そのすぐのこと。敵から発射された大量の銃弾が、俺の頭を通り過ぎる。
オリーブ色の重たいヘルメットをかぶった頭では、首が悲鳴を上げている。
俺は、政府軍のブラックフェイスだ。黒い顔それは、暗闇に紛れ敵を倒すその姿から命名された政府軍特殊部隊の最底辺のレベルである。
が、一応俺は特殊部隊。そこら辺の一般兵士とは格が違う。
といっても、指示できるのは簡単にリーダー役を務めたり、弾薬をもらったりとそんなものだ。
なぜ、政府軍の特殊部隊がこの一般兵が戦う土壌に駆り出されたのか。それは、やはり敵の数が圧倒的の多く、政府軍では戦力を立て直せないうえに、最近ではPMC・・民間軍事組織が反乱軍を支援している話だ。そのせいか、最近は仲間の死体がちらほらと増え、腐敗臭が俺の心を蝕む。
―――ふと、目を閉じれば周りの声が聞こえてくる。
「手りゅう弾だ!伏せろ!!」
「キュンッキュン! ダダダダダ!」
「撃て! コラ!!敵に背中を見せるんじゃない! おい! 待て――ぐはっ」
「10時方向に狙撃手!! 迫撃砲班用意!!」
「ポンッ」
「ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウウゥウゥゥゥゥ」
「ズドォォォオン!!」
「クソっ!外したぞ! 次弾いそげ!!」
「リーダー! 偵察部隊からの緊急伝達! 西から敵の装甲車が!!近辺の通信兵との連絡も途絶え、増援も呼べません 立ち往生です・・」
「クソっ弾が足りない上に、兵力も医療物資さえない。せめて食べ物だけでも・・戦略は撤退か死か・・それとも・・・死を覚悟して特攻するか・・・だな」
――ヤバイな。俺も行くか。
覚悟を決めて、俺は持っていた狙撃銃をしっかりと握りしめて、土嚢から飛び出した。
「ブラックフェイスが動き出したぞ!! お前等後につづけぇぇぇ!!」
ダダダダダダッ
さらに、銃弾が飛び交う音が高まった。
俺は、仲間の死体の道を踏みつけ、血のにじむような汗をかきながら次の狙撃ポイントへとひたすら走る。
「R P G!!!」
え? ゲーム? いやいや、とんでもない。ミサイルだ!携行できるヤツ!!
「うわあぁぁぁああ!! 全員地面に顔を埋めろ!!」
「キーーーーーン」
あ・? うーん。
気が付くと、先ほど後に続いていた兵士たちが突如飛んできたミサイルによって壊滅し、生き残ったのは運よく俺だけだ。
「くそっ」
肩にかけてある小型無線機を取り出して、本部に連絡し、救援を要請することに。戦場でボッチになれば確実に死ぬ。
「本部! 応答してくれ! こちらブラックフェイス!! 敵と遭遇し、味方全滅!!直ちに救出を求める!!! どうぞ」
「こちら ザーー― 部。 タダイマ、回線が込み合っており――」
――んだと?
5秒ほど、意識が消えうせたが、何とか目が覚めた。
「ヤルか・・ヤラレルカ・・・どっかで聞いた言葉だが、今まさにそれだ」




