第1章 1話
明るい朝が来た
「臨也、早く起きなさい、遅刻するわよ。」
「分かってるよ」
臨也は布団から出て、下へ降りた。
リビングには朝ごはんがつくられてある。卵焼きのようだ。
「ちょっと、臨也、あんた今日入学式なんだから早く起きなさいよね。」
「うるせえな~分かってるよ」
この茶色の髪のポニーテールの子は東阪彩香という。
名字は同じだが、血のつながりのない義理の兄弟だ。
そして、俺を起こして、いつもご飯をつってくれているのが俺の義理の母の東阪彩美、そして、彩香の隣に座っているのが義理の父の、東阪凜太朗だ。
彩香と義母は、耳が痛くなるほどうるさいが義父はめったに喋らない。
これが東阪家の日常なのだ。
元々、俺は捨て子だったらしく、義父が俺を拾ってくれたらしいが、あまり詳しいことは聞かされていない。
臨也という名前は義父がつけてくれて、俺もその名前はとてもきにいってる。
ついでに義父の凜太朗は、国の運営委員会の1人らしく、魔術の腕はすごいらしい。
ただただ、俺はこの家族が好きで今まで育ててもらったことを感謝している。
「臨也、早く食べないと遅刻するわよ。」
「はいは~い」
急いで卵焼きを食べた。
今日は高校の入学式なのだ。
この国では、魔術の学習が高校から行われている。
臨也は昔から魔術に憧れていてこの日を待ちわびていたのだ。
臨也は勉強は、とても苦手で高校に入れるか分からなかった。しかし、どうしても魔術をやってみたかったため、なんとか近くの高校に受かったのだった。
もちろん、彩香とは同じ学校である。彩香も魔術をやってみたかったらしく、近くの高校を受けた。
高校からは、学力と魔術の2つが成績となる。しかし、魔術のほうが評価が高くもらえるため、学力がなくても、魔術が出来ているならあまり問題はないのだ。
「ほら、臨也早く行くわよ!」
「分かったよ~」
臨也は用意をして玄関まで降りた。
「あんた、そんなんでほんとに高校で、友達できるの?中学の時から、口数も少なくなったし。」
「別に友達なんて要らないよ。俺は魔術を習えればいい。」
はぁと彩香はため息をついて、行くよ、といった。
臨也は元々、元気な子だったのだ。
ただ、中学の時にその元気な性格が、周りから気に入られなかったらしく、いじめられていたのだ。
そこから臨也は、一時期不登校になり、口数が少なくなってしまったのだ。
ただ、これから入学する学校は臨也をいじめていた子達は入学しないため、臨也も気持ちは楽になっているだろう。
そして、これから中学する学校だが、「宮野沢高等学校」というところだ。
成績は真ん中らへんで、魔術をしっかりと教えてくれるらしい。
義父が高校の校長と知り合いらしく、なかなかいい学校らしい。
「着いたよ!」
校門には入学式と書かれた看板があり、見たことがない人ばかりだ。
「ようやく、魔術が習える。」
臨也の心はワクワクでいっぱいだった。