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生まれて御免  作者: 古泉
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話を戻しますと、小さな頃の私はお喋りな気質が有りまして、御近所の方々とコミュニケーションを図る上では功を奏しておりました。兄よりかは愛敬のある子だったと思い出されます。


嫌いな物が食べられる様になった

傘の開き方を覚えた

母親のお手伝いをした


事細かに誰かに伝える事が好きで、其れを誰かが誇張気味に褒めてくれる事が楽しみの一つでありました。


県西の片田舎に越してからもお喋りは止まず、叔母達や母の職場の方々相手に日中の出来事や覚えた歌を歌って見せたりしたものです。その姿を見た叔母の一人は私に一冊のノートを与え「ここにその日一日あった事を書いていきなさい。お父さんに会った時には其れを見せてあげれば喜ぶわよ」と言って私に日記を書かせる様になりました。


黒い革の様な表紙に、西暦が記された質素な日記帳。今思えば安価な物だとは思えるのですが、当時の私は大人が使う様な洒落た表紙に魅せられて、何故だか誇らしい気持ちになったのです。

また、小学生に上がっていた私は兄には課せられなかった行為に使命感を燃やし、父と家族が会えない日々を埋める架け橋にでもなろうかと、一人奮起したのでありました。


日記を授かった日から、私は一日も欠かす事なく書き始めたのです。

今では三日坊主な私が、笑えるくらいに一生懸命になって

父の為

家族の為

自分の与えられた使命を全うする為に。


此れは今になって思い出しても、余計な事をさせたなと叔母を叱りたい気持ちと、子供と離れて暮らす父の気持ちを汲んで面白いアイディアを提供してくれた感謝の気持ちとで、胸の中が入り乱れた気持ちになるのでした。

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