終わりゆく世界の中で
さび付いた映画館
誰もいない部屋で
流れるエンドロールは
僕らの走馬燈のようだ
ひび割れた道の上
ガラス片を踏みつけ
乱反射する光は
いつかの希望みたいだ
お腹を空かせた
猫が足下で頬をさする
その琥珀色の瞳に映る
世界は今 何色だ
青すぎる空の向こうに
君の残像を見つけた
背伸びをしても手を伸ばしても
届かない所で笑っていた
傾いたビルの中
苔が生えた階段を
照らす緑色の灯り
逃げることはできない
猫と一緒に昇る
足を滑らせないように
鈍い音を立てるドアを開けたら
世界は今 何色だ
見渡す景色の中を
一羽の金糸鳥が飛んでいく
自由を抜けたその先に
見えたものを教えてくれないか
地平線の彼方へと消えるとき
綺麗な歌声が響いてきた
僕らはそれを見送って
太陽は少しずつ海に沈んだ
僕はその場に座り込んで
猫の頭を優しく撫でた
また明日がやってきそうな
そんな気分にさせてくる
その世界の色は 何色だ
赤くなりはじめた空に
僕らの希望を投げた
それは一つだけ上空で
弱くても輝いている
映画館で流れていた
エンドロールの先で
あの青すぎる空の向こうに
君の残像を見つけたい
読んでいただき、ありがとうございました。