第3話 海と本が頼りです。
エプロン巻きでー長さ調節してっと。
昔ルカチャン人形のお洋服にハンカチ1枚の創意工夫をして服を増やしていたのが、こんなときに役に立つとはと思いながらカラフルな布(一番ダサイ奴)を巻き付ける。
下はスクール水着を着て、貰った…本によるとラーズボンというアジアっぽいズボンで、細くても太くても穿けるよう調節がかなり効くようになっている。あの人に教えて貰った通り着てみると、これは…ジャージよりいいかもしれない。
スカートもやはり肌の露出を少なくしたいので履けないし。
わざわざ着て泳ぐのも安全のため露出を少なくしてるのだ。また、この世界の木綿って水に強くて、泳ぐ際に一番向いてる生地だそうだ。また、怪我にも使えるガーゼとしても役割があるとのこと。
朝早く冷たい海に入水していく。
水泳のゴーグルも勿論着けてだ。海の中にも危ない魔物はいるようだし。
ある程度沖合いまでいき、瓶に水を入れては、またジャングルで拾った大きな木のタライ?に入れる。
タライに入れたいのは山々だが、それだと温泉の徳利おちょこ原理が出来ないのでこの方法をとっている。水汲みに使える瓶も少ないし、少しでもお金を稼げればいいのだ。
海水を汲む序でに、雷の魔法で見たことない魚を何匹か仕留めたらそれも水魔法で捕まえ、袋の中に入れる。……少し痺れた。
この行程を日が昇りきる前に三回繰り返した。体力的にも泳ぎの技術的にもなかなかキツいので、少ないのは仕方ない。
次に、集めた海水を綺麗に洗った壺に布を被せて、なるべく溢さないよう、ゆっくり時間をかけて注ぐ。
その行程を4回か行う。
綺麗な壺が4つほど見つかってよかった。
最後の壺に到着したら、今度は火をつけて熱する。焦げ付かないよう、綺麗な木の枝で鍋を混ぜる。
そして、水が10分の1くらいになったら、また布で濾すと白い結晶が残る。集めた木の板に満遍なく伸ばして、天日干しする。
……怖いぐらい、上手くいったなぁ。
適度に殺菌の意味でクリーンをかける。
本日は海水の量が少なかったので、二回しかできなかったが、まあしかたがない。
待つ時間は、魚を親が捌いていたように切りたいが、難しそうなので鱗を定規で剥いで、そのまま木に刺して焼く。ナイフ…買おう。
初心者編もまずナイフか剣があることがぜんていだったし。残りの時間は、ゆっくりと化学の資料集と教科書、魔導書を読む時間に充てた。
もしかしたら、役立つかもだし。
……発覚した問題として、どうやら常識が違う。人間は空を飛べるし、炎も水も風も本を読むための明かりも魔力さえあればなんとか出来る。病気や怪我も、回復魔法と薬で大抵の事はカバー出来るようだ。しかし、手術や化学技術?は一切進歩していない。未だ手紙と伝書鳥頼りと書いてある。
……まあ何年前の本なのかは、わからないけども、奴隷商人の檻も車ではなく、馬に繋いでいたので、まだ馬車頼りであろうと思われる。
化学以上の問題か……。
ただ、読み込んだお陰で他にも良い魔法を知ることが出来た。本文には記載されてなかったのだが、持ち主の走り書きで、便利な魔法について書かれていたのだ。説明については、「仕舞える、イメージ大事」しか書かれていなかったけども。
それは、「収納」という魔法だ。懐かしいご長寿アニメのロボットが使うポケットみたいな空間に自動で仕舞うことが出来、さらには携帯のフォルダのように整理整頓も、出すことも詳細を見ることも出来る。脳内でだが。
これも、初心者向けなのか、これもにすぐ出来てしまった。容量はわからないけど、とりあえず布や壺、持っていた荷物は全部そこにしまい、整理整頓した。
あ、あと、あと、ステータス?という魔法についても書かれていたが、使ったら目の前に言葉の列が現れた。なんか昔友達がやっていたゲームで似たようなことが書かれていたような気もするが、読んでてもその数字が大きいのかどうなのかわからないし、あまり理解出来ないので、大事な魔法ではないようだ。
ただ、<海を愛し愛された者>という言葉は少し嬉しい。ここの海はとても美しいし、確かに海を見ていたら何故か恐怖も薄れてくるのだ。
さてと、明日も同じことしたら、明後日は探すかなあ。街を。
ユエ サヤマ ♀ 16
level 3
HP 100/100☆
人種 人間
職業 失
攻 7
魔 8∞
守 5+s
速 10
賢 25+d
命 20+s
耐 5+s
運 30※
特殊能力
<包容者>
称号一覧
<∞を持つもの>
<海を愛し愛された者>(+s)
<初心忘れるべからず>(+d)
<カモは美味しい>
状態
<引きずり込まれし者>(※)
ファンタジー難しいなあ…って、ファンタジー要素皆無の小説な気がしてならない。
ついでに、もう二度とステータスの魔法を主人公は使わない気がします。意味を理解できてないものを使う必要性がないという感じですね、はい。