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36/39 【露希の霊力行使】

「旭賀さんの死と向き合って、やがて失う。そこで大きく失った分、露希は新しい何かをみつける。そのための未来を……っ、あんたなんかに奪わせはしないっ!」


 俺たちが盆地の街のどこで永遠崩しを始めようと、永遠の守護者たる蝶人間は邪魔立てしてきたはずだ。


 俺たちから水晶を奪い、水晶の刀を奪い、自らの意思のみで儀式を執り行い、永遠を確たるものへと推し進めるために。


「せぇあっ!」


 蝶人間が俺や露希、園鶴義や彼の妹の未来を葬ってでも永遠を希求するのなら、どうあっても食い止めなくては。


 対抗出来るのは霊力を扱えて、なおかつ“根源”を集め終えた俺ただ一人だ。


 霊力を乗せた水晶製の刀身が青白く輝く。

 それを無我夢中で振るった。


「はあぁぁあっ!」


 気合いと共に刀を一払い。蝶人間があたりに撒き散らす太陽の如き熱気を押し戻す。


 俺の練った霊力は通用している、手応えはたしかにある。


 しかし、蝶人間はまだこれといったアクションを起こしていない。周囲の灼熱など、所詮は自然発生したものに過ぎなかった。


 蝶人間がただそこに佇んでいるというだけで、俺は必死の対応を迫られる。

 人と神霊の力量差をまざまざと突きつけられた。


『永遠は総意。彼女の総意』

「言ってろ……まずはその口から斬ってやるぞ!」


 霊力の総量差は見るからに激しい。それでも俺が大胆に前に出れるのは、露希が安全な場所まで下がって水晶を守ってくれているからだ。


 水晶と刀、二つの“根源”が蝶人間の手に渡ってしまえば即、儀式が行われ真の永遠が訪れる。

 そうならないように露希は今頃、斜面のはるか下方、安全圏に逃げてくれているはずだ。


 刀を振るって灼熱を退けながら、猛然と蝶人間との間合いを潰す。

 蝶人間に肉薄した次の瞬間、一振りで葬る意気で刀を振り放った。


「霊力行使・【未来視】……っぁあ!」


 刀身に【未来視】を付与する。死の運命を手繰り寄せる刃で蝶人間の喉笛を攻める。


 直後、蝶人間の翅が片方だけ蠢動(しゅんどう)。瞬間的な羽ばたきが目にも止まらぬ体捌きを生み、俺の刀は空を切ってしまう。


「まだ視えるぞ、【未来視】……!」


 刀のみならず自身の左眼の水晶体でも【未来視】を行使。蝶人間が死滅する未来を辿るよう、【未来視】に準じた斬撃を畳み掛ける。


 一閃、二閃。切り返し。突き。

 灼熱感に耐えながら連続の追撃を敢行する。

 その間、蝶人間の人を模した手足は戦意も無くぶらんと垂れ下がっていた。


 「手足を使うまでもない」と、明らかにこちらを侮っている。実際、俺の必死の追撃は完全にあしらわれて終わった。


『永遠は総意だ。彼女の総意でもあり……』

「またそれか。押し付けがましい神託だ。未来じゃあ絶対流行らないな……ん?」


 ある程度追撃を繰り返した段階で、あらかじめ左眼の霊力行使を【予測】に切り替えていた俺は、蝶人間の反撃タイミングを把握していた。


「来るかっ!?」


 体表のプロミネンスを束ねて槍の如き火柱を形成、霊力を引き絞りこちらに放ってくる。


『……園鶴義の総意でもある』

「! それは……あんたが間違った未来を視せて――」


 蝶人間の火槍に対して俺は身を固めるでも左右に逃げるでもなく向かい合った。


「――(そその)しただけだろっ!」


 渾身の振り下ろしと共に、刀から蒼い炎の熱波を放つ。


 強大な霊力に真っ向から打ち合う形での対応。口が裂けても冷静とは言えない。一歩間違えれば炭になるだろう。


 紅蓮の死相が目前に迫ろうと、園鶴義の太刀筋を思い浮かべれば不思議と上手く行く気がした。


 結果として、俺の直感はこういう場面でも役に立つ。


『………………!』


 俺が放った熱波は飛来する火槍を穂先から裂き断ち、その威力を削がれることなく蝶人間へ襲いかかる。


 蒼い熱波の対処を迫られた蝶人間は、咄嗟(とっさ)に顔を両の腕で庇う。


「よし……どんなもんだ!」


 防御行動直前の慌てた顔を、俺は見逃さなかった。


「永遠は終わる。館長さんは営業再開に向けて準備しているし、女刑事は未来が動き出すことを受け入れた。園鶴義だって妹をそばで支えると、そう決心を固めていたぞ。

 盆地の街に永遠はいらない!

 あんたも覚悟を決めるときだ、蝶人間!」


 つけ入る隙は必ずある。

 左眼で再び【未来視】を行使し、刀を振って灼熱を退け、蝶人間の素っ首に猛然と肉薄した。


**************************


 岩肌に足を取られまいと斜面を下ること数分、あたしは後ろを振り返った。


「……けっこーハッキリ視えるもんなのね。霊力って」


 休火山の頂上付近で、閃司の放つ蒼い炎と太陽を思わせる橙色の炎がぶつかり合っている。


 霊峰で目撃した園鶴義の熱波にしてもそうなんだけど、あれらはただの炎じゃなく霊力由来のモノらしい。


 つまり普通の人は目視できないんだとか。閃司がそう言ってた。


「あたし、すっかり霊力扱える側のヒトになっちゃったってことかぁ……」


 周囲の地面は灰色の岩肌。空も雲が濃い。

 辺りの空気が薄暗いせいで、あたしの目には頂上付近でぶつかり合う炎がより苛烈なモノとして映る。


 あたしはスマホを取り出して、ジさまのパソコンから転送した閃司のお母さんのメールを開いてみる。


「画像、また変わってる……」

 

 うぅ、やっぱり。このままだとマズいよ、閃司。


 家を発つ前に確認した画像はあたしと二人で儀式を行う、まさにその直前って感じの光景だった。閃司の前でロックを外したときと同じやつ。


 なのに休火山に到着した頃には、あの太陽のヒトが一人で儀式を執り行う絵に変わっていた。


「今の状況と照らし合わせると、なんだか閃司が負けちゃうって暗示してるみたいで不安になるよぉ~……」


 異変はそれだけで終わらない。


 あたしは腰に引っ掛けた水晶に目を落とす。

 数日前、閃司は私にこの水晶を預けてきた。

 この数日間、水晶は時折光を放っては、遠い未来の光景を視せてきた。


 そこに映るあたしや閃司は今よりだいぶ大人っぽいから、きっと永遠が崩れ去った先の出来事なんだろうな。


 閃司からは、とくにそういうモノが視えるってハナシは聞いてなかった。けど、この水晶は特別な物なんだってことで納得してる。


 そして現在。未来を報せる水晶が再び光って、閃司が炎に貫かれる光景をあたしに突きつけてくる。


「閃司……、大丈夫だよ、ね?」


 閃司には「逃げろ」「水晶を守れ」って言われてるけど、その未来を視せられたとき、あたしは思わず足を止めてしまった。


 頂上付近で二対の火柱が互いを激しく削り合っている。

 手を握りしめて戦いを見守った。その瞳が、自分でもわかるくらい不安な形に歪んでる。


 不安な気持ちに呼応してか、水晶がひときわ大きく輝く。

 彼を助けてあげてと訴えているような、光り方だった。


**************************


 周囲の岩肌と曇り空は依然として灰一色で、視界の端で捉える地平と空の境界は曖昧だ。

 反面、戦況はわかりやすく傾いていた。


「はあっ!」


 遷移をかいくぐり、一騎打ちの末に園鶴義を死の運命から救った、荒事続きのあの夜に、俺は左手に水晶、右手で刀を操る戦いの型を確立させていた。


 しかし水晶を露希に託している今、その自己流の型は成立しない。


 必要不可欠な【未来視】や【予測】は、左眼の水晶体で行使する。

 犠牲になった左眼の視界を補うために、現実を観測する右眼を中心とした半身の構えを取る。

 片側の視界を失ったかわりに、水晶を持つはずの左手が空いているので、刀は両手持ち。


「せぇあぁ!」


 半身のまま、両手で刀を振るう。

 必要に迫られたとはいえ、我ながら歪な型だった。


 しかしどうだろう、刀身は踊りかかる火槍を正確に打ち据え防ぎきる。片手持ち時では難しい柔軟な軌道で、刀はその切れ味を発揮した。


 良調子はそれだけでは終わらない。


 【予測】を行使し、相手を上回るアクションを起こす……この一連の動作が今まで以上にスムーズに行えるようになった。

 左眼で直接【予測】を行使することで、「手持ちの水晶に霊力を流す」という手間が省けるためだ。

 あとは――――図らずも、水晶に頼らず女刑事の手伝いをしてきたのが良いトレーニングになっているのだ。


 そういうわけで、俺は不気味なほどに攻勢だった。


「行け――――熱波!」


 蝶人間が繰り出す火槍の攻撃にも、パターンは様々ある。


 前後左右を迫り、ときに頭上から降り注ぎ、変化を付け意表を突き、確実に息の根を止めんとする必殺の一撃がここぞと放たれ、そのいずれもを【予測】で上回る俺が蒼い炎を押し付けた。


『永遠は総意。キミの刀では揺らがないよ』

「……っ、まだだっ!」


 不気味な理由はまさにこれだ。

 俺はここまで無傷で戦い抜きながら、同時に決定打を与えられないでいる。

 押しても引いても手応えの無い時間が、無力感を募らせる。


 さらに、思いがけない善戦なのに据わりが悪い理由として、もっと物理的な原因がある。


「あんた、さっき現れたときさ、火口から飛び出してきたよな」


 さっきから、足の裏をゾッとするほどの霊力が脈打つのだ。

 この岩肌の直下、すなわち休火山の内部で何かが起こっているのは間違いない。


「ひょっとして、火山に細工でもしてたのか?」

(たか)き永遠の為なら、どんなことでも』

「ああ……そうだね。園鶴義にしたことを考えればそうだろう、さっ!」


 地中への嫌な予感を振り切り、声に合わせて蒼の熱波を猛らせる。


 そのとき、

 沸き立つ気配か、せり上がる霊力か。

 熱を持って泡立つような、重く粘ついたヘドロが海底で巻き上がるような戦慄。


 嫌な予感は確かな直感となって、俺の左眼を駆けた。


「これは、死相か、!? 一体なんの【予測】だ……ぅ」


 死相は轟音となって表れた。

 死を伴う警告とともに、極大な地響きが火山に生まれる。


 もはやここは休火山ではない――――活火山だ。そう直感させるには十分な異常事態だ。


 途端、あたりは緊迫に包まれる。


『さよならだね。朝望閃司。永遠に』


 決着宣言とも取れる蝶人間の一言を皮切りに、火槍の動きが一変した。


 それまで俺自身に狙いを付けていたはずの火槍の軌道が下を向く。

 ガリガリとした破砕音がその威力を物語る。

 しかし狙いは俺ではないのか、岩肌を浅く削り、砂埃を立てるだけに終わった。


 そんな、牽制と思われる足元への火槍が三発ほど放たれた頃には、辺りは砂煙に覆われる。


「目潰しか。だとしたら無駄だぞ」


 どの方向どのタイミングで次なる火槍が飛来するかは【予測】で判断できる。それは視界を奪われても変わらない。


 火槍を予見していた俺は、それを待ち構えた。

 あと二秒……一秒……回避を準備した。その刹那。


「!? あつっ……」


 予期せぬ突風が吹いた。砂と熱を帯びた強烈な北風が俺の全身を叩いた。

 そして運の悪いことに、砂粒が両目に入ってしまう。


「くっ、こんなときに風が……!?」


 痛みのあまり両の瞼を固く閉じた。狼狽えたせいで霊力コントロールが乱れ、水晶体に結ぶ【予測】の像が歪んだ。


 突風がたまたまとは思えない。こうなることを蝶人間は狙ったと睨むべきか。狡猾だ。


 たった一瞬とはいえ、これが致命的だった。

 視界が奪われたと同時、身が灼熱に呑まれる。


「! ――――っぁ!」


 何もできなくなったところで、火槍の一撃をもろに受ける。悲鳴をあげることすらかなわぬ痛みと熱に全身が支配された。


 肌が千切れ筋繊維が(ただ)れ痛みが骨に到達し、心臓内蔵の血液が沸騰する錯覚さえ覚え、死を覚悟する。


 俺が霊力を扱えなければ、実際に命を落としただろう。


「また命拾いした……これのおかげか」


 以前、水晶の霊力が致命傷を肩代わりしてくれた事があった。園鶴義の熱波をもろに食らったあの日だ。


 あの日同様に、水晶の刀身に込めた霊力の光が目減りしている。今回も霊力がダメージを受け流してくれた。

 とはいえ、立ち上がるとあちこち痛む。きっと体のいたるところに火傷があるだろう。


 その程度で済んだのはよかったが、刀の蒼炎はすっかり燻っている。

 今の一撃でかなりの霊力を削られた。攻撃に転じようにも炎の勢いが頼りなくなっている。


「それでもやるしかない。おい、蝶人間!」


 蝶人間は、再び砂埃を立てんと幾本もの火槍を中空に携える。

 【予測】を行使せずとも、また同じ手で来るのだと判る。


 ()と、同じ手だ。


「それは、俺が園鶴義から退くために使った手だ。さてはあのとき、園鶴義の刀の中で俺が逃げるのをみてたんだろ?」


 園鶴義と初遭遇した際、たしかに俺は砂利を投げて彼の視界を奪った。あれは苦肉の策もいいとこだったな。


 刀の切っ先を突きつけて、なおも蝶人間を挑発する。


「ようするに俺の後追いってわけだ。なら、俺が負ける道理もないさ」


 桁違いの霊力を抱えながら、神霊様のやることが目潰しとは。あんたも必死だな。


「せこいマネするなよ。いきなり襲いかかられて、どうしていいかわからなかった俺とは違うだろ、あんたは?」


 口ではそういうものの、俺は内心で別のことに意識を集中させていた――――くそっ、どうしてだ。


 砂を帯びた熱風を食らってからずっと、俺は【予測】を上手く行使できないでいた。


 火槍を受けた衝撃で砂は取れたはずだが、いまだに眼がゴロゴロする。砂に、霊力行使を阻害するための力でも込められていたのだろうか?


『キミの刀の炎は、まさに風前の灯火。これが最後だね』


 火槍が斜面を破壊し、砂埃を立ち昇らせる。

 視界を煙で遮られる直前、違和感の止まぬ目で俺は捉えた。


「翅! そうか、風か……」


 またも火山に熱風が吹き込む――――まるで蝶人間が意図したようなタイミング。

 これは確定だ。俺は自在に吹き付けてくる熱風のタネを確信した。


「あの翅で霊力の流れを乱して、熱風を起こしていたのか……」


 せめて、霊力行使を封じられる前に気づいていれば。

 今は目の前の状況の対処に全神経を注がねばならないと自覚していながら、そう悔やまずにはいられなかった。


 両眼とも霊力行使は不能となった。

 水晶の刀身を利用して【予測】することは可能だ。

 しかし細長いうえ、そもそも攻撃のために振り回すそれで【予測】をしたところで視認性が最悪なのは言うまでもない。


「…………くっ、そ」


 気づけば、強がりの挑発も言えなくなる。

 砂を帯びた熱風が来る、来る。両の目を片腕で(かば)って対処した。


 当然その間、視界はゼロになる。俺を直接狙う火槍を、気配だけで回避、あるいは刀でいなした。


 火槍が止み、砂埃が晴れる。しかし視界の先には、すでに再び砂埃を巻き起こすため火槍の第二陣を構えた蝶人間が佇んでいた。

 超然と、絶望的な存在感を放って。


 ――――霊力行使が使えるようになるまで、あとどれくらいだ? あと何回、今のような攻防を繰り返せばいいんだ……そもそも、間を置いたからといって再び使えるとも限らない。


 一方的過ぎて、もはや攻防ですらない。


 霊力行使以外に、何かないか。この状況をひっくり返せるだけの一手がないだろうか。

 辺りに目を巡らしても、あるのは火槍によっていくらか削りとられた岩肌と相変わらず雲一色の空。みえる範囲にあるのはそれだけだ。


 あとは地中深くから、先ほどからひっきりなしに地鳴りが響いている。少なくとも吉兆ではなさそうだ。


 これだけ辺りを見回しても、解決の糸口がみつからない。

 ならば。

 なればもう、“ここまで”か。


 俺なりにどうにか頑張って永遠崩しを進めてきたけど、どうやらここで終わりで、頼みの綱の霊力が扱えなきゃ、“ここまで”なのか。


 世の中の全てを悟ったような冷静な頭で、周囲をもう一度見渡し直す。

 色味のない岩肌と空と、この空気の中で燦然と光る蝶人間。

 目に見える一切のものが、俺の諦めを肯定するようだった。
























 だからあたしは、その場のぜんぶに反論してやった。


「閃司、立って閃司!」


 灰色の世界で、あたしの掲げる水晶だけが青く光る。

 蝶人間が放つオレンジ色を炎さえ押し返すこの輝きが、霊力の光が、傷だらけの閃司の中へ流れ込んでいく。


 光はするすると閃司の体に溶け込む、閃司もそれを拒まない。

 きっと上手くいってくれる。


 確かめるヒマはないけど、あのメールの画像だって、二人で永遠崩しをする光景に戻ってくれるはず。


「――――わかってる。あれだけ露希に言って聞かせてた俺がこのザマじゃ、説得力ないもんな……!」
























 露希の持つ水晶を狙ったのか、あるいは露希本人を脅威と認めたのか。

 目潰しのために形成されたはずの火槍、その狙いが俺のはるか後方に切り替わった。


 そうとわかったのは、露希の霊力行使のおかげだった。

 俺の眼は依然として霊力を行使できずにいる。

 ならばなぜ、放たれる前の火槍の軌道を読めたのか。

 言葉にすれば簡単なことだ。ただ、露希の霊力行使が俺の眼に「未来を映した」のだ。


「せぇいっ!」


 刀の一振りで飛来する火槍を切って落とす。露希を襲う全ての火槍を防ぎ、蝶人間に向き直った。


 この先何が起こるのか。露希のくれた光が、それを俺に伝えてくれる。


 厄介な砂の熱風を挫く未来。

 俺たちや水晶に向かい来るあらゆる火槍を把握し叩き切る未来。

 蝶人間を下す未来、俺たち二人が永遠崩しを決行する未来。


 それら未来に至るにはどうすればよいかが、露希の霊力行使によって手に取るようにわかった。


 こうなると、周囲の灰色が違う意味を持つ。

 諦めを突きつけてくる岩肌や雲空の無彩色を、青い霊力で染めてやれる。


「未来は、ある! この瞳に未来が視える限り、永遠なんかが総意なものか!」

『…………!』


 火山の頂上付近で、最後の衝突が起こった。





 

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