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15/39

15/39  【過ちを犯す刀士:接敵】

 霊峰、なんて仰々しい呼ばれ方をしているものの、実は山の標高自体はたいしたことない。


 山の中腹あたりまではツーリングコースが整備されている。

 そのため今、街の大通りを走っている俺たちのバイクでもある程度は登れてしまうのだ。

 バイクを降りてから山頂までは、歩きで小一時間もかからないだろう。


 霊峰山頂に到着して東を向けば、(くだん)の祠がそこに鎮座してあるという。


「さて、どうしたものか……ん?」


 ぐぎゅるぅうん。歩行者の雑踏やエンジン音に混じって、調子の外れた唸りが耳に届く。


「ぁちゃ~……もしやもしかしてひょっとして〜……聞こえちゃったぁ?」


 音の出どころは明白だった。ハッキリ言ってしまうと、俺の背中にぎゅっと密着する露希の腹から響いてきたのである。


「露希、ちゃんと朝食べたのか?」

「あー聞かない聞かない聞かないでぇ。いやはやぁちゃんと食べたんですけどね」


 ぎゅぎゅぎゅる~ウウッ! 空腹を訴える腹の唸り音は、しつこいくらいに背中へ伝わってくる。


「途中でコンビニにでも寄ろう。最後の日とはいえ、探せば何かしら残ってるだろ」


 露希の腹の虫を鳴かせ続けるのはあまりにいたたまれないので、コンビニの類を見かけ次第、店内のチェックすることにした。


 例によって店員がいるかは怪しかったが、永遠社会なこのご時世、スーパーやコンビニは、もはやそれ自体が無人販売店と化しているので問題はない。


 映画を観に行った日に目撃した、デパ地下に向かう主婦の列を思い出す。

 あの人たちもレジにお金だけをおいて食材を調達したに違いない。なんなら万引きしたところで今日日(きょうび)誰に咎められるでもないのだ。


「とりあえずあそこに入ってみるか」


 霊峰の山頂には、最短で向かえば昼過ぎにはたどり着ける予定だ。


 しかし知っての通り、事が起こるのは明日の朝焼け頃なので、俺たちはそのときが来るまで山頂で待機を余儀なくされる。


 そうなると食料や防寒対策は必須だった。露希のお腹の空き具合はともかく、どちらにせよ寄り道はするつもりだったのだ。


 山頂までの間にコンビニ類を四軒、それからホームセンターで防寒グッズをあらかた調達した。


 そんなわけで、俺たちはかなりの時間を調達に要したのだが、結局は昼下がりに霊峰を登頂していた。本当に小さな山なのである。


 着いて早々、俺は東、すなわち日の出の方角に視線を泳がせると、(くだん)の祠もある。

 かあさんのメールで見た通りの不思議な横長をしていた。


「あの祠、ちょっとわくわくするかも」

「そうか? わくわくというには、少し寂しすぎると思うけど」


 祠はボロボロで、触れれば崩れてしまいそうなだった。


「んーなんというか、廃墟ずきに刺さりそうなわくわく感ってカンジかなっ!」


 わくわくはともかく、この祠の持つ()()びのオーラが、霊峰を観光地たらしめているのは間違いなさそうだ。


 一方、俺にとって想定外だったものもある。

 俺は来て早々、祠よりもまず周囲の山脈に目を奪われた。


 その景観があまりに綺麗だったから……と言いたいところだが、そうではない。

 周囲の山々を注意深く見渡した理由は――――まぁ、後述だ。


「だっはぁ~~~~っ! とーちゃく到着うっ!」

「おつかれ。汗を冷やさないようにな」


 ホームセンターで調達した厚手のタオルを、疲労困憊・満身創痍の露希に手渡す。


 しかし、


「もぅ一生分歩いた~~~。受け取る気力も尽きた~~~~~ん……閃司ぃ、」

「はぁ。どうした?」

「あたしのかわりに汗拭いてくださ~~~……」


 などと両腕を投げ出して(のたま)うので、


「ぃぎゃん」


 ちょっと無造作に、頭全体をボスンと覆うようにタオルを投げてお見舞いしてやる。ちょっと大人げないだろうか。いや、生地柔らかいし平気だろ。


「何よなによぅ……ジョーダンぢゃんよぅ~」

「まったく……ほんとうによく拭っとけよ? 知ってるか、十一月の夜を越すのってめちゃくちゃ震えるんだぞ。寒さで風邪を四、五個引いてもおかしくないくらいには寒いんだぞ」

「ふんふんふーん。ま、永遠を崩す瞬間に風邪引いてましたー、じゃカッコつかないもんね」


 永遠を崩す瞬間、か。そう聞いた俺の脳裏に、湖での一幕が思い起こされる。


 風邪を四、五個引いてもおかしくなかった、水難の相に見舞われたあの日。

 あの日は少年に案内されるがまま、気づけば永遠にヒビの一つ入れてやった、というのが正直なところだ。


 しかしここに、案内の少年はいない。今回は自分の力のみで、また一つ永遠を今世から遠ざけなくては。


 まだまだ永遠の渦中にあるこの世界だが、明日の早朝には永遠を崩すだけの何かが起こるのだ。

 今から約十五時間後に待ち受けているであろうそれを思うと自然、手の平を固く握り締めていた。


「あはは、なんかあれみたいな話じゃん? ほら、『年越しの瞬間に何してましたか?』みたいな。おもろおもろーっ」


 俺の心境などどこ吹く風で、露希の声には緊張感というものがなかった。


「露希」

「んぅ……っ。真剣な顔と声でつゆきって呼ばれるの、まだ身構えちゃうんですけど。なんですか?」

「気を引き締めてくれよ。朝焼けまでの間に何が起こるのか、俺にもわからないんだからさ。なんなら、かあさんのメールにあった光景がほんとうに朝焼けなのかも微妙だし……それに、なにより」


 永遠崩し未知数といえど、よもや身の危険はあるまい――――そう言い切れない要因が、残念ながらこの場所にはあった。


「到着してからずっと、ここの地形が気がかりなんだ」

「へ、チケイ?」


 露希はよくわかっていない様子だ。いまいちピンときていないその表情が、あの少年とダブる。


「周囲の山々との高低差が、ちょっとな。山脈の中でも、ここは他より低く位置してる」

「うんうんうん。そいでそいで?」


 

 俺たちの暮らす盆地の街、その全体像を一言でいうなら、お椀のような形をしている。

 都市部がお椀の底部にあり、郊外の山脈がお椀のふちのように連なっているのだ。


 しかしここ霊峰は、周りの山々に比べて標高が低い。


「――――盆地に溜まりこんだ霊力。そのすべては、俺たちが今いるこの一か所を通って流れ出るしかない」


 満水にしたお椀を想像してみてほしい。


 湖に霊力溜まりが発生していたのは記憶に新しい。盆地北側に位置するひときわ大きな休火山が夕日を浴びることによって霊力が発生、そのまま長大な斜面を流れ落ちる。

 そうして流れ落ちてきた霊力は、お茶碗の形をした盆地内に自然と溜まっていく。


 しかし、いくら盆地の街広しといえど、霊力は無際限には溜まらない。なみなみ注げばいつかは器から溢れ出るものだ。


 満水のお椀、しかしそのフチが一部欠けていたとしたら、当然水はそこから溢れ出す。


「霊力ってアレだよね。窒素、酸素、二酸化炭素といっしょに大気に混じってるってるっていう、アレ。そだよね?」

「イメージ的にはそうだな。モノに宿ったりもするけど。で、ここは盆地が蓄えた霊力の出口なわけだ。盆地中の霊力が流れ込んでくる場所だから、霊力もとびきり濃ゆい」

「はいはいはいぃ閃司センセー! それってやっぱりあれよねっ、霊力溜まりってやつになっちゃってるっしょ? しょ?」

「…………ああ、と」


 露希の言う通り、霊力溜まりが発生してもおかしくなかった。


 湖のときは、これといって訓練を積んでいない少年を“視える”体質にしたくらいだ。


 休火山から流れてくる霊力はそれほどに影響力があり、ここ霊峰も湖と遜色ないレベルの霊力を湛えている。


「それが、発生していないんだ。霊力溜まり」


 そう、普通なら霊力が長い間残留したり、あるいは膨大すぎる霊力を抱えた場所に霊力溜まりは発生するはずなのだ。


 なれば、今いるこの霊峰はかなりのレアケースだった。

 かなりの霊力を蓄えていながら、しかし霊力溜まりが発生しない。


「あらま、そうなん? なら、別にたいしたこと――――」

「だからこそ警戒が必要だ。霊力溜まりが発生しうるだけの霊力があるのに、実際には発生していない……だからこそ、ここは異常な場所なんだ」


 辺りを見回しながら、異常の理由をいくつか考えた。


 霊力のピークである夕方にのみ霊力溜まりが発生するのかもしれない。

 あるいはすでに山中のどこかしらで霊力溜まりが発生していて、そちらにのみ霊力が偏っているのかもしれない。


 どちらかというと、後者のほうが有り得そうなものだが、結論を出すには決め手にかける。


「別の場所ですでに発生していたなら、来る途中に気づきそうなものだけどな……」


 仮説を立てては得心がいかず放棄を繰り返す。

 ヒントはないものかと視線を巡らせて――――あの祠が目についた。


「湖のとき、霊力溜まりは浮島の形をとって具現化していた。なら、あの祠にも似たような現象が起こるかも……」


 たしか、少年に連れられて上陸した浮島は、霊力によって存在を保っていた。


 そして日時計の中空に鎮座する水晶を手に入れた刹那、溜まっていた霊力と共に浮島は霧散したのだ。


 浮島のように、神殿と見紛(みまご)う荘厳さはこそないものの、いかにも何かが祀られてそうな祠を眺めるうち、俺の脳内で一つ考えがまとまった。


「地形によって霊力溜まりが発生、その霊力を原材料に神殿らしきものが顕現、神殿には“根源”があり、“根源”を託したことで役目を終えた神殿は消える……。やっぱり永遠を崩すっていうのは、“根源”を得るまでの一連の流れを辿ることで達成される……のか?」


 都合のよさをふんだんに含めた仮説だと自覚していながら、俺は祠から目を離せなくなる。


「ちょちょちょ閃司!? うわっ、なんちゅうバチ当たりな!」


 思い至ってから、行動は早かった。

 祠まで駆けつけて古ぼけた戸に手をかける。

 朽ちた木戸が(きし)むのにもかまわず引き開け、祠内部を暴いた。


「それっ! そういうイタズラっぽいのっ、あたしは小学生の頃に卒業しました! いーけないんだぁぃけないんだ!」

「くっ……何もないか」


 祠はがらんどうで、俺が期待したような“根源”はなかった。


「そうカンタンにはいかない、か」


 霊力の濃さと“根源”は、無関係じゃないと思う。

 根拠のない直感、しかし他でもない俺の直感だから、正しいだろう。


 慌てるにはまだ早い。むしろ祠に何もなくて良かったかもしれない。


 何もない湖に霊力溜まりによって浮島が現れた。

 ならば、同様に何も持たないこの祠だからこそ、凄まじい現象がこれから起こるのかもしれない。


「霊力溜まり、なぜ発生しないんだ……っ?」

「まーぁまぁまぁ落ち着きなって。ほらほら、戸ぉ閉じよ? あんまベタベタ祠触ると災い降りかかりそうだし、そっとしとこって」


 肩に手を置かれて、俺は少し冷静さを取り戻す。

 たしかに今の時点で考え過ぎた結果、疲労を蓄積してしまうのは上手くない。

 思考に気力を使いすぎて、いざというときに霊力を扱えなくては本末転倒だ。


「露希に集中しろとか言っておいて、俺もまだまだだな」

「いーんですとも、いですとも。同い年ですからいんですよ〜ん」


 現状でジタバタしても得はないな。なにせかあさんのメールいわく、どう転がっても明日の朝には“それ”は起こるのだから。


 一つ息を吐いて心を鎮めてから、適当な岩場に腰を落ち着ける。


 露希と隣り合って座ると、ひとけのない山頂に静寂が訪れる。


「ところで訊いていいか?」

「ん。なんすかぃ?」

「露希はさ。本当のところ、どうして俺についてきたんだ?」


 どうして永遠を崩したいのか、お互いの胸の内をさらし合った。


 俺は無論、露希との未来を見届けたいからだ。

 関係を進展させまいとするもどかしい日々(永遠)から抜け出すためだ。


 一方、露希の動機はあやふやだった。


 閃司を助けたいからーとか、旭賀さんに駆り出されたからーなど、彼女は一応それっぽい事情を喋る。

 しかしいずれの言い分も、旭賀さんを失ってしまう哀しみを凌駕するだけの動機にはなり得ないように思えた。


 それでも、


「何か考えがあってここにいるなら、いいよ」

「ほっ? いいの? 永遠を崩そうとする閃司のジャマとかするかもしれないよ、あたし。永遠バンザイ派よあたし」

「永遠を崩そうとする者VS、永遠を守ろうとする者ってことか、その構図もわからなくはないよ。けど今の露希は、ようやく永遠との向き合い方を探りはじめた……んだと思う。


 旭賀さんが俺について行くようにと、露希に言い付けた気持ちもわかる気がする。


 永遠が始まってから、露希はずっと、旭賀さんの病気と向き合わなくなったからね」


 (きた)る旭賀さんとの死別は、永遠によって解消された。

 死を回避した、とは実に聞こえのいい状況だけど、それを無邪気に喜ぶのは、命ある者として不自然じゃないだろうか。


「楽観を通り越して現実逃避してるように見えるんだ。露希のそういう一面を、旭賀さんは気にかけてたんだろ、きっと。世界が元通りになって旭賀さんがいなくなったとしたら、そのとき露希は自分で自分を支えなきゃならない」

「それはそうかもだけど、ふつー永遠が無くなるとは思わなくない?」


 死んでも元通りな永遠社会の理屈の上でなら、露希の考えもわからなくはない。

 しかし永遠が当たり前になったからといって、そう簡単に割り切れるものだろうか。


 未来がまるっきり失われて、ある日突然、ぽんと手渡された永遠。

 人はそれを、こんなにも微塵も疑わずに享受できるものなのか。


 当たり前だった未来が、またいつ戻ってくるやも知れない。

 そんな希望を思えばこそ、永遠の中でも必死に生きようとするものじゃないのか?


「数か月先で、ジさまは死んじゃう。でも永遠のおかげで、今もジさまはあたしと生きてる。永遠になってどれくらい経ったのかは正直もうわかんないんだけど、以前の世界のまま過ごすよりも、確実に長生きしてる」


 そう続ける露希は、平気な顔をしていた。


「永遠があたしとジさまにくれた時間は、夢でも幻でもない。前の世界じゃどうしようもなかったけど、永遠社会でならずっといっしょに居られて。そう、ずっと……」

「その永遠が、いつか終わるかもとは考えなかった?」


 俺は質問してしまってから気づいた――――永遠と未来、彼女からすれば、どちらがより希望に満ちているかなど、答えるまでもないんだろうな。


 いくら名前で呼び合う仲を保っていようと、俺たちは永遠が訪れて以来ずっと、水面下では平行線だった。


 どれくらいの時間、話し込んでいただろう。

 だんだんと冷え込む空気の冷たさを気にも留めず。

 一見和やかで、しかし探り合うように繊細な言葉の応酬を交わしていると、一太刀。


 二人まとめて屠り去らんとする硬質な気配を、俺は“視”た。


「――――露希っ!」


 濃密な霊力をまとった鋭い気配。

 敵か味方かで二分するなら間違いない、敵だ。

 咄嗟(とっさ)の判断で、露希をその場から突き飛ばす。


「くぉあっ!? 痛ったー! ちょぉ閃司なにすん……ぇ」


 露希が俺を非難しようとして、やめた。

 それはそうだろう。俺と露希を隔てる位置に、一太刀の放った当人が佇んでいる。


「ヘハハハッ……(おれ)の刀を躱すか。虚を突いたつもりだったが……まあいい」


 大木のように背が高く、ぬっとした出で立ちの男。

 俺たちのいた空間を両断した刀を、その手に携えて。


 刀身の鋼、その曇りなき光沢が斬れ味を物語っている。避けねば確実に辻斬りされていただろう。


 ビジネススーツを着込んだサラリーマン風の男。無造作に伸びた髪は浪人の侍を想起させる。


 現代に蘇った侍、俺のみている光景がワイドショーなら、そんな煽り文が似合う。


「……そうか。御前(オマエ)たちだな。()の永遠を斯様(かよう)に曇らせたのは」


 時代錯誤な語彙を口にするが、まさか過去からタイムスリップしたわけじゃあないことは、首から下げた社員証を見ればわかる。


(その)鶴義つるぎ、さんとやら。そんな物騒なもの振るうからには、人違いじゃ済まされないぞ。一体どんな目的があって俺たちを襲うんだ?」


 気を抜けば震えだしそうな拳をきつく握り、どうにか言葉を絞り出した。


 敵意を放つスーツ侍の剣呑な視線と対峙する。よくよく窺うとスーツ侍の睥睨は俺本人ではなく、俺の左腰に吊り下げる水晶へ注がれていた。


「感じるぞ。永遠を構成する特殊な霊力が、()の宝晶に宿っているのを……ヘッ」


 恐怖のあまり焦点がブレそうな俺の視線と、こちらを見下ろすスーツ侍の眼光がすれ違う。


 俺の視線もまた、スーツ侍本人ではなく刀に吸い寄せられていた。


 金槌のように頑健な両手でがっしと握られた刀、その刀身には複雑な紋様が染み付いている。


「あんたのそれは、まさか……」


 刀身の紋様は、まるで地平線を越えんとする朝日の陽炎だ。

 不規則不可思議にゆらめく、熱波のような紋様。


「霊力溜まり、なのか?」


 否。熱波のような、ではない。

 霊力行使で刀に高熱を帯びさせているのか。


「――――っ、霊力の気配が大きすぎる……っ」


 俺は愕然とした。

 こんなことがあり得るのか。

 あたかも本物の太陽と対峙した錯覚に陥る。


 夕方。盆地の街の霊力濃度がピークを迎え、いつ霊力溜まりが発生してもおかしくないこの時刻に、俺は目撃した。


 俺たちを葬らんとする刀身の鋼そのものに、霊力溜まりが発生していた。


「流れてきた霊力を自分の力として扱っている……」


 霊力溜まり。永遠を崩すためには不可欠な要素。


 霊力溜まりが同じ場所に二つ自然発生する、という筋書きは期待できない。


 苗は間引かなければ上手く育たないのと同じで、この場において霊力溜まりは唯一無二だ。


 あろうことか、それがスーツ侍の手中に落ちているとは。


「明日の朝までに、祠に霊力溜まりを捧げなくちゃならないのに……くそっ」


 スーツ侍に気取られぬよう半身になり死角を作ってから、腰の水晶に震える手を添える。


 【予測】を行使しながら、霊力を宿す異能の刀と相対した。







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