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遅くなりました。
短いですが投稿します。
読んでくださって、ありがとうございます。
※一部キャラ名の読みを変更しました。
ノックの音がした。
「お嬢、起きてるか」
外からフェリックス氏の声がする。
「どーぞー」
あの後私たちは、旅の疲れも相まって、早速今日はそれぞれ休むことになった。約半年の留学と聞かされていたダッシュウッド城の人たちは、私たちの早々の帰還にびっくりしていた。ダニエル様はグロリア様にデレデレとした顔を向け、アーネスト様はデイヴィッド様の顔を見て本当に嬉しそうだ。彼の隣には、元婚約者兼、現婚約者のリリーさんがいる。彼らがデイヴィッド様の不在を埋めていたらしい。早速デイヴィッド様と三人で、打ち合わせを始めていた。
一方、デイモン閣下とブリジット、エリオット氏と裕貴くんは、それぞれ新居に戻って行った。彼らは新婚だ。男女別の留学生活で色々溜まっているだろう。励んでいただきたい。浮いた話の一つもない私は、寮棟に与えられた自室で不貞寝である。
「邪魔するぜって…あの野郎は?」
「ヴィンちゃん?ヴィンちゃんは山へ芝刈りに行ったよ?」
一応ダッシュウッド領の守護神的なことをしてくれるようなので、下見らしい。
「おいお嬢、女一人の部屋に男なんか入れんなよ!」
何言ってんだ。自分が訪ねて来たんじゃないか。
「えー、だってフェリックス氏、私の旦那様なんでしょお?」
「…!っ、そうだけど!」
「別に大丈夫だよぉ。このお城に、私のこと取って喰おうみたいな人いないじゃん?」
「そんなことねぇよ!」
「だって私を訪ねて来るって言ったら、デイモン閣下とかエリオット氏とか」
「来たら入れんのか」
「え、入れるでしょ」
「ダメだろ!」
何でダメなのか。
「じゃあダニエル様やデイヴィッド坊ちゃんが来たら」
「え、断れなくない?」
「ダメだろ!」
何でダメなのか。あ、デイヴィッド様はちょっとヤバいかも。踏まねぇぞ?
「大体アイツがいない時に男を部屋に入れるなんざ…待てよ、逆にアイツと二人きりで大丈夫なのか?」
「ああ、ヴィンちゃん?ハウスって言ったらちゃんと消えるよ?」
「そうじゃなくて」
「なんか番がどうとか言ってたけど、順番が回って来るまで待ってるって」
「はぁ?!」
なんかお説教モードになってきた。グロリア様、裕貴くんに続いて、フェリックス氏もオカンのようだ。ジェットストリームオカン。
「オカンじゃねぇし!」
散々話が逸れたのち、本題に戻った。
「ちょっと見てくれ」
フェリックス氏がいきなり目の前で脱ぎ出した。ちょ、他の男云々より、フェリックス氏の方がヤバいのでは。
「ヒッ…」
「ああ悪ぃ。これなんだがよ」
彼は背中を向ける。彼の右の肩甲骨に、蝶の羽の痣。間違いない、これは双子姫の胸元にあった痣と、同じ形のものだ。
「帰りの馬車ん中で、痣のこと話してたろ。あと、これ」
彼が差し出したのは、一着の古ぼけたドレス。
「先代が俺を見つけて拾った時に、俺が持っていたらしい」
ドレスの裏に刺繍された、Feliciaの文字。彼はこのドレスに包まれて、孤児院の前に遺されていた。
「フェリシアって、女の名前だろ。だから俺は、男の名前に直して、フェリックスって名付けられたらしいんだが」
フェリシア。イタリア語読みで、フェリーチャ。5のキャラ名は、全員イタリア語っぽい名前になっている。ひょっとして彼は、フェリーチャ姫と何か関係のある生まれだったのだろうか。
アーネスト氏の婚約者さんは、リリー(Lily)さんにしました。(←外伝13初出)
一応学園時代、彼らの代で三席を務めたという裏設定になっています。
Kのキャラはもうすぐ登場させる予定です。
余談ですが、私、話はよくよく妄想して、妄想が膨らんだら、それを議事録のように書き留めるような執筆スタイルなんですけども、妄想が他の方に走ってしまい、6章の筆がなかなか進みません。
何が起こるかは決まってるんですけども…あとちょっと、頑張ります。
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