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遅くなりました。
今回も、読んでくださってありがとうございます。
遺跡を何回か周回して城に戻ると、ただちに皇妃様の部屋へ通された。中ではグロリア様と隠密ペアが待っていた。皇国側は、皇妃様と凛々しい感じの女官さん。彼女の腹心っぽい。
「このレポートの内容は、まことですの?」
皇妃の手元には、無印のラブきゅん学園について、パーティーのみんなに説明した時と同じように、事前にまとめた2のノートがあった。えっ、そんなことで呼ばれたん?
「いや、あの内容で呼び出しがかからない方がおかしいというか」
毎度恒例、エリオット氏の小声のツッコミである。
「恐れながら皇妃様。ダッシュウッド男爵夫人の情報は、我々が想像する以上の精度です」
デイモン閣下が答える。ダッシュウッド男爵夫人って誰だっけ。あ、私だ。
「あ、えーっと、どこか分かりにくいところ、ありましたでしょうか」
頭をポリポリ掻きながら愛想笑いする。
「分からないところだらけです、男爵夫人」
女官さんにぴしゃりと言われた。なぜなのか。
「そうなんですよ、その宰相さんが黒幕でね、でもその黒幕の黒幕が、あの学園長さんなんですよぉ」
皇妃も腹心も、言葉を失っていた。目の前のこの、ほんの小娘が、何でもない様子で爆弾発言を繰り返す。
「学園長さんってほら、小さい頃熱出して倒れた時に、前文明のホムンクルスと入れ替わって。宰相さんのお子さんも今ご病気ですけど、学園長さんに治せるよって言われててぇ、でもそれって、記憶を移植したホムンクルス化なんですよねぇ…」
一体この娘は何を言っているんだ。彼女の言葉を、騎士爵夫人が理路整然と補完する。
「人工生物、超古代文明…本当にそんなことが…」
「だってほら、さっき遺跡周回してきましたし」
ゴトリ。どこからともなく、男爵夫人が変わった形の金属杖を取り出し、テーブルに置く。
「!これは…」
紛れもなく、国宝として宝物庫に納められている、魔弾の射手だった。そればかりか、ほらこれも、これも、と次々に置かれる。光の盾も国宝であるが、後は見たことがないものばかりだ。
「やっぱ光の剣でジェ○イごっこだよねぇ」
夫人が小さな筒の横にあったボタンを押すと、光る刀身が現れる。
「夫人、これは一体どこで」
「だから、あの山の近くの遺跡だって」
「そんな…ただちに調査に向かわせねば」
「あー…あそこ結構堅い要塞なんで、大将級を6枚フルで行かないとキツいかなって」
なん…だと…。
大将級の竜を持つ者など、この世界に何名もいない。皇国軍の全軍から集めても3名。国内の冒険者で1名。あるいは、国外で活躍する冒険者の中で、大将級まで進化させた者がいるかどうか。
確認のため、彼らの竜の召喚を許可する。なんと、大将級が4体、中将級が1体。旧友のグロリアと、腹心の2名も、中将級を従えていた。彼らは一体…
そんな中、例の男爵夫人が、俯き加減であらぬ方向を向いている。
「して、そなたの竜は」
皇妃の問いに、グロリアが答える。
「その者には、竜の加護は降りなんだ」
応接室に、何とも言えない沈黙が漂った。
「ううっ、いいじゃん…竜なんていなくてもさぁ…」
アリスがボソボソといじけている。
「まあまあ、お嬢様。光の剣集めて、ジェ○イごっこするんでしょ、ほら」
「違うんだよぉ、光の剣はファションアイテムなんだよぉ。レアドロのクラウ・ソラスが出るまで帰れまテン」
そのファッションアイテムが、国宝に未収蔵の国宝級アイテムなわけであるが。素の攻撃力では、各属性剣を上回るが、属性ボーナスが加算されると、自属性の装備の方が優れている。ちなみに光の剣とクラウ・ソラスは光属性であるが、光の剣は光のダンジョンシリーズのように、属性ボーナスやセットボーナスは付かない。無印の装備と2の装備は、互換性が乏しいようだ。
「とりあえず、光の剣を18本集めて、9人で二刀流ジェ○イごっこするでしょ?クラウ・ソラスはコレクターズアイテムだよ!」
「あ、俺、ジェ○イごっこはいいんで…」
裕貴くんが控えめに挙手。
「私も、剣よりもフライシュッツがいいです」
「いやぁんエリ君かっこいい〜♡」
はい、2名脱落。
「槍は出ぬのか」
「レアドロでゲイボルグが落ちますよ!」
ハズレは光の槍である。
「私は短剣の方が…」
そういえば、アンナさんは暗器や飛び道具が得意だったな。
「道中の小部屋に、消耗品のナイフがいっぱい落ちてるんで、取りながら周りましょうか」
応接室を出て、一行がワイワイと客室へ向かう。応接室に残された皇妃と腹心は、小一時間で三年分くらい老けた気分を味わっていた。
コイツら一体なんなん。
グロリア、あんた結婚してからどないなっとん。
てか、学園長が黒幕の学園に、アンタらホンマに明日から入学するん。
そして、夫たる皇帝や首脳陣に、一体どっから話したらエエねん。
彼女らの戦いは、始まったばかりであった。
ドイツ語がよく分からないまま、ネットで調べながら書いたので、ものすごく時間がかかったという。
意味のない努力。
ちなみにアリスたちの一行には中将級が含まれていますが、無印でのレベルやスキルのシステムと、2の戦闘システムには、若干のギャップがあるため、2の世界基準であれば、あの遺跡の攻略には大将級の竜が必要、という感じです。
後書きで補完すな。
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