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遅くなりました。
今回も、読んでくださってありがとうございます。
※誤字報告ありがとうございます!
その後、何とも言えない雰囲気のまま、みんなでダンジョンへ探索に出かけた。例の如く、初級はすっ飛ばして、中級も上級もすっ飛ばして、やり込みプレイヤー用の隠しダンジョンからだ。なお、無印と同じく、パーティーは6名までなので、グロリア様と隠密二人は別行動。宮殿に戻って、皇妃様に今回の遊学の要件を詳しく伝えてもらう。書状ではどうしても第三者の目が入るから、事前に伝えるわけには行かなかった。
皇都近くの大きな岩山。ここから皇都が一望できるということで、観光客に人気のスポットだ。だが一行が訪れたのは、観光のためではない。この山の麓に皇族の霊廟があるのだが、岩壁の一部が隠し扉になっていて、中は超古代文明の遺跡の一部へ繋がっている。ここに国が興り、都が置かれたのには訳がある。この古代文明の遺構が、人が住みやすい気候を生み出しているからだ。今ではそれを知るものはいない。
遺跡の中は、ピラミッドのようでいて、近未来のデザイン。侵入者を阻むロボット兵器が、各所に配置されている。コイツらの攻撃が正確無比で厄介なのだが、要は彼らが侵入者を感知し、迎撃ムーブに入る前に撃ち落とせばいいだけだ。例の中級ダンジョンの、ケイブバットを倒すのと同じ要領である。弓術を取っておいてよかった。なお、直線的な動きは逆に兵器に狙われやすいため、今回は飛翔は封印である。
ここを攻略するには、自分のレベルを上げ、竜を進化させて、竜を使うのがセオリーだ。なぜ皆が皇国を目指し、竜をパートナーに得ようとするか。それは、竜が成長し、使役者の意図を理解できるようになると、主人の魔力を使って、あらゆるスキルを使用できるからだ。
普通、この世界の住民は、自分の生まれ持った属性と、その適性に沿って成長する。そして覚えたスキルを十全に使いこなそうと思うと、相当な経験を要する。例えば私のような風属性が、ウィンドカッターのスキルをレベルマックスにして、風嵐を覚えるためには、55レベル分のスキルポイントをウィンドカッターに全振りしなければならない。だが、他に空歩のスキルを持っている場合、スキルポイントは均等に振り分けられ、ウィンドカッターがスキルマになるのは、レベル110近くになる。飛翔や加速など、他のスキルも持っていると、それはもっと後になる。この世界の若手の騎士がレベル30、わずか一握りのA級冒険者であっても、レベル80程度。割と途方もないことなのである。しかも、生まれつきの成長適性がAGI極振りだと、INTの数値は1レベルにつき1ポイントしか伸びない。よしんば風嵐を覚えたとて、何度も発動できないのだ。
ところが、ここに竜が媒介することで、話が変わってくる。竜は主人の魔力や、他の能力値を取り込み、最適化を行なった上、相応の能力を発揮する。例えば先ほどの風のAGI極が風嵐の行使を望んだ場合、当人がまだ風嵐を習得できていなくても、竜は主人の魔力相応の、出力を抑えた風嵐を起こすことができる。しかも素早さの値も参照するので、発動までの間が短く、ヒット数も上がる。通常、AGI極には魔法スキルは全く期待できないのだが、竜をパートナーにすることで、活躍の場が大いに広がる。不遇キャラにはこれ以上ない救済策なのだ。使い勝手の悪いNPCが不評だった無印と違い、2の戦闘システムが大幅に改善されたのは、そこである。
とはいえ、無印で鍛えに鍛え、レベルが400を超えた私には、今更竜などどうでも良かった。狩られる前に狩る。戦闘とは、実にシンプルなものである。普段は一番おしゃべりな私が、迷路のような遺構をサクサクと進み、無言でマシン共を狩って行く。
そのうち、最初は機嫌の悪い私を慮っておずおずとついてきたメンバーも、少しずつ戦闘に参加するようになった。みんな思い思いに、自分のスキルを使って、竜とともに攻撃を加える。特にDEXモンスターのエリオット氏が、無類の狙撃手ぶりを発揮した。コイツだけは敵に回してはならない。
途中、小部屋を探索すれば、高性能なポーションや便利な消耗品なども落ちているのだが、それらは全部すっ飛ばして、ボス部屋に到着。中にはマシンドラゴンが鎮座している。火のAGI極、デイヴィッドが真っ先に躍り出て、二刀流で舞い踊るようにドラゴンを切り刻んだ。つ○ぎのまい、目前で見ると、息を呑むほど美しい。危うく惚れてしまいそうになった。背後から彼のワイバーンがブレスで援護するが、ほとんど必要なかったようだ。マシンドラゴンは消滅し、後には、近未来的な銃が残された。
後でブリジットが、炎の大剣から片手剣の二刀流にしようか、本気で悩んでいた。
戦闘システム説明回になってしまいました。
ただし、今後はあまり戦闘シーンは入れない予定です。
ひょっとして今回の話は無意味だったのでは…。
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