絶望な転生、そして、薄き希望。
はい、物凄い期間が空きましたが、
読んでいただけると幸いです。
転生初めての朝。但し、何時なのかはわからない。
目覚めは謎に良い。
そして、小さな鉄格子の窓から朝日が射し込む。
如月「...凄いな、この体の持ち主。スッと起きれる。」
如月「ちゃんと寝れてるのかな?」
如月「...いや、逆か、ちゃんと寝れてるからスッと起きられるんだ。」
如月「...あ~」
改めて、前世の如月の生活が不健康だったのかを思い知った。
母に怒られる迄夜遅くまで起きていた事、就寝直前迄スマホを観ていた事、
偶に御菓子を食べていた事等。思い当たる節が幾つも見つかった。
如月「けど...」
幾ら下に川があっても、約20mの高さから落ちたらほぼ助からないだろう。
如月「...ママ、パパ。」
前世の家族との記憶が一気に溢れてきた。
父が「あぁ!トラがトラ、ック!」
とかクソみたいなオヤジギャグを言ってたり、
母が「今日の自慢の一品!どうよ!」と感想を求めてきて、
「うん、美味しい。」って適当に返すだけで子供みたいに上機嫌になるし。
外食で私が「あ、この料理美味しい。」って呟いたら、翌日に、
「どやぁぁぁぁ!再現したったで!!あ、教えてええでぇ~」と自信満々な顔で
マジで瓜二つな料理を作って来たり。
今思えば、こんな日常があったから、学校に行くのも苦と感じなかった。
いや、相殺してくれてていたに近い。
如月「(今頃、どうしてるんだろうな...)」
如月「...」
「転生」という言葉に嫌悪を抱き始めた。
家族に会えない、あの日常に戻れないという耐えられない悲しみと絶望、
そして、「転生」に対する突き上げてくる怒り。
如月「...なんで、なんで"生存"じゃなくて"転生"なの!」
如月「どうして!!こんな...こん、な。こんな...!!」
如月「やだ...やだ、やだ!!家族に会いたい!帰りたい!!」
如月「帰して...嫌だ。どうしてぇ...」
射し込む光かも少ない、誰もいない薄暗い倉庫内で、如月だけの啼泣が鳴り響く。
如月「...まだ、」
溢れ出た涙を拭い、力強く立ち上がり。
如月「この世界が、異世界ではないという確証はまだない...!」
如月「どっかのヨーロッパの国の古民家かもしれないし...!!」
如月は、根拠の薄い願望に縋った。
しかし、明らかに自分の体ではない時点で、この答えはほぼ分かりきっている。
それでも、この願望に可能性を信じたかった。
今の状況が、現実だと認めたくなかったから。
如月「...いや、待って。そうやさっきから。」
如月は、あるに気づく。
如月「...人の気配が全く感じない。」
日記の話では、ここは町中のはずである。
ましてや、今の時刻は確実に朝か昼。
しかも、日記の記載的にこのラガハウス区は商店が多いはず。
いくら何でも、こんな活気のない町などあるのだろうか。
しかも、ここの倉庫も暫く使われていないのだろう。
よく視たら棚、木箱にも埃が被っている。
如月「...そうや、」
如月「この木箱の中身ってなんだろ。」
如月は、目覚めてから木箱の中身を確認していない事に気づいた。
木箱は開梱は紐で括り付けられているだけの簡単な物だった。
如月「...あ、よく見たら棚になんか表示ラベルみたいなのあんじゃん。」
如月「(昨日は暗くて気付かなかったな...)」
如月「えっと...」
如月「...夏場用衣服か。」
如月「要らないかな。気温は高くないように感じる。」
近くに落ちていた木箱のことであろう。
倉庫の気温は、ややひんやりとする程である。
棚の表示ラベルをぱっと見で調べて分かったことは、
衣服関連の倉庫だという事。
如月「先ずは、ここから出るか。」
しかし、如月は倉庫の扉を探している最中、不思議なラベルを見つけた。
如月「...風圧式護身腕輪?」
如月は、その不思議な名前の護身具に目を引かれた。
棚には一箱しかない。ラスワンである。
棚の容量は、その小箱が16個入る程だろう。
形は四角形、木箱の大きさは15cm程。
如月「...人気商品か。」
如月は観てみたいと思ったが。
如月「今は関係ない。」
と言い。倉庫の脱出を優先した。
そして、小窓からの光のおかげで、
倉庫の扉を見つけるのは難しくなかった。
如月は、扉の前に立ち。
如月「...オシャレなドアノブ。」
倉庫のドアノブは錆びて、これと言う程の彫刻はないが。
アンティークチックである。
如月「錆びてるの勿体無いなぁ...」
ドアノブのデザインに惜しみさを感じつつ、
如月はドアノブに手置き。ドアノブを押す。
如月「...鍵は流石に開いてるか。」
如月はドアを開けた。
そして、ドアの先には。
如月「...マジかよ。」
そこには、
廊下が一部吹き抜けになっている。
ぱっと見た感じ、老朽化による崩壊だろうか。
床も崩壊しており、廊下としての機能を果たしていない。
しかし、そんな事よりも、如月が驚く光景があった。
それは、吹き抜けから見える外だ。
如月「...こ、こんな場所あるの?」
それは、荒れに荒れた建物が並んでいた。
中には一部崩壊している建物もある。
石畳には、隙間から雑草が生えている。
家々の一階の窓には全て木材板のバリケードみたいなのが、張ってあり。
中には破壊されたバリケードもある。
しかし、誰かがいる痕跡もない、人の気配も一切しない。
如月「...」
如月「そして、ここ何気に二階だったのか。」
崩壊している床から一階が見られる。
如月は廊下を見渡した。
如月「...良かった。階段は直ぐそこか。」
如月は吹き抜けに気を取られていたせいで、階段の存在に気付かなかった。
如月「(...こっから先は行けないか。)」
外に気を取られていたが、
倉庫は廊下の端っこで、階段には行けるが、
それ以外は、2つ程部屋があるようだが、床が崩壊しており、行けない。
そして、階段が使えるか、如月は確認をする。
如月「...うわ、マジか。」
階段も一部崩壊しており、
使えるが既にボロボロ、いつ壊れてもおかしくな状態だ。
如月「...」
如月は、階段を下りるのを少々躊躇った。
明らかに"何かがあった場所"に行くのだから。
そして、如月はあるのを思い出した。
如月「あの護身具...」
倉庫に在った謎の護身具。
明らかに"何かがあった場所"、
ナイフだけでは、流石に心もとない。
如月「...許せ。」
そう言うと、如月は先程の倉庫戻り、護身具のある棚に向かった。
如月「...あったこれだ。」
風圧式護身腕輪という、よくわからない護身具のを手に取り。
括りつけられている紐を解き、開梱した。
そして、中には、
木屑と一緒に宝石と何かの装置が付いている腕時計の様な腕輪があった。
如月「...オシャレなデザインだな。」
アンティーク調で、なにやらムキムキな男の彫刻が描かれている。
如月「...けど、なんだこれ。初めて見るな。」
如月「しかも、小っちゃい。」
その装置のような物だけでも、5cmぐらいの大きさである。
如月「ん?なんだこれ。」
箱の端っこに謎の薄い木板がある。
如月はそれを取り出した。
如月「...これ木簡?」
それは、小さな木板に文字が書いており、内容は、
如月「護身腕輪の使い方...」
木簡式説明書だった。
如月「宝石部分を囲ってある装置を瞬時に90度に回すと、二秒後に発動します...」
如月「...あれ、もう一枚ある。」
如月「えっと...」
如月「風圧式護身腕輪とは、発動時に前方に成人男性が約1m吹き飛ぶ程の強烈な風を引き起こします。」
如月「注意事項、基本前方に飛吹き飛びますが、使用者にも多少の効果は受けますので、ご使用の際はご注意ください。」
如月「風が発生するのは前方約20cm先に発生します。」
如月「ゆっくり回すと発動しません。」
如月「計2回の使用が可能です。」
如月「...い、意味わからん。風で人が吹っ飛ぶ?」
如月「と、取り敢えず、使い方はわかったから持っておこう。」
如月は、護身用腕輪を装着した。
如月「よし、行こうか。」
そして、如月はその場を後にし、
廊下の階段へと向かった。
ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます!
良ければ、ブクマか☆評価をして頂けれると狂喜します('ω')ノ
2022年4.17日追記:順序間違いがあったので、一部修正しました。
あと、もしよろしければ、感想コメントも下さるとうれしいです!