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第1話.エルフの姫がドロップキックってどうなんですか?

気分で書きます。(宣言)

 

 佐伯(さえき)あらたは普通の高校生である・・・いやあった。

 物心つく前に両親を亡くしていたあらたは祖父の元で暮らしていたが、

 その祖父というのが自由な人間でトレジャーハンターを生業としていた。

 各国を飛び回っていた祖父から送られてくるお土産の中には部族が作った置物や、黒魔術に使いそうな不気味なものまであった。

 あらたは、祖父と違い平凡な日常を送っていたのだが、あらたの高校入学祝いとして長らく帰ってきていない祖父からメールが届き、家の地下室の『とある鏡』を覗けと一通。

 あらたは怪しんだものの結局は仕方なしに地下室へと向かい鏡を覗き込んだ・・・。


 すると、異世界転移してしまったのである。

 突拍子のないことで無理はない・・・が

 自らもその事に気がついたあらたは、召喚先の国王に日本への帰還を交換条件に英雄として魔王に挑むため鍛錬を積んだ。


 そして数年たち容姿も大人びて、歴代最強の英雄となった。


「これより、アラタ殿の帰還を見届ける。皆術式展開。

 直ちにアラタ殿の故郷である異世界ニホンへの転移術式を起動せよ。」

「ついに・・・か。」


 年に一度だけ開けると言われている異世界へのゲート。

 魔法士達の緻密な魔力コントロールを見ながらあらたは、思考をめぐらせる。




 ・・・・・・長かった。

 かなりかかってしまった。

 いやそもそもよ。なんで俺勝手に呼び出されて交換条件叩きつけられて魔王なんて倒してんの。

 あーやべえ。考えてたらむしゃくしゃしてきたなおい。

 大体なんだよあの魔王。

 くっそ怖かったんだけど。

 娘はわーわーうるさいし。

 この世界にいた勇者は勇者でちょっと頭残念だしさ。


「ちょっと待ちなさいよ!」


 そう声を荒らげたのは、このミデン王国の国王の娘であり、

 ハイエルフのララノア・ミデンである。

 一目見た男たちは目を奪われると言われるほどの美貌を持つ高貴なハイエルフだ。

 白く透き通りそうな程に綺麗な肌、碧眼に綺麗なブロンドのロングヘアー。

 胸は寂しいがサラサラと髪をなびかせるその姿は正しく神秘・・・だがこいつ・・・ちょっときついのだ。

 巷で言うツンデレ・・・だな。


「あんた本当に帰るつもり!?」

「お、落ち着くんだララノア・・・」

「お父様は黙っててッ!」

「・・・はい。」


 おいシュンってなってるぞ!お前こんな大勢の兵士さん方の前で王様の威厳潰してどうするよ。

 さっきまであんなにカッコつけて術式展開。とか言ってた王様の面目丸つぶれよ。


「アラタッ!何か言いなさいよ!」

「お前は本当に元気がいいな・・・。」

「答えなさい!」

「帰るよ。それが王様と取り決めた交換条件だったからな。俺もニホンに戻るためにここまで頑張ったんだし。」

「ここに居れば良いじゃない・・・。」


 一瞬見せたその悲しげな表情・・・。

 何故そのような表情を見せたのかあらたには理解できなかったが、王様が会話に割って入る。


「アラタ殿。転移ゲートが完成致しましたぞ。」

「待ちたまえよアラタ君ッ!!!」

「あんたもか・・・。」

「僕達は、あの日桜の木の下で酒を交し秘密を分ちあった仲じゃないかッ!」

「やめろよ変な言い方すんの。ただ二人で性癖暴露しまくってただけだろ・・・やべえ。思い出してきた・・・死にてぇ。」


 美青年その言葉がぴったりな、碧眼金髪のこいつはララノアの兄であり、やたらと絡んでくる一応友のギルミア・ミデンである。

 次期国王である、ギルミアは人望も厚いが性格がところどころ残念でララノアと同じなのだが若干抜けている。


「君は胸ッ!僕は尻ッ!」

「ギルミア・・・そろそろアラタ殿を帰還させてやっては・・・」

「父上は黙っていて下さいッ!!!」

「・・・・・・。」


 おい父上若干涙目になってんぞ。

 お前何泣かせてんだよ・・・これでも国王なんだぞ。

 家族といえど敬意を払え敬意を。


「それに話の流れ的に黙った方がいいのはギルミアなんだよな・・・。」

「兄上!私の邪魔しないでよね。」

「む、ララノアこそ僕の邪魔をしないで欲しいね。」

「そこ兄妹でバチバチすんなよ。」

「とにかく!僕は」

「私はッ!あっちに帰るなんて」

「認めてないからな!(からね!)」

「致し方なし!恨むのならばワシを恨むのじゃ!」


 王はそう大きく告げると、王自ら二人を抑えアラタを背面から首の可動域限界まで見やる。


「アラタ殿!今のうちにッ!」


 兵士たちも困惑してんじゃねえかよ。

 王自ら、止めるなんて予想してなかったわ・・・。

 けどまぁ・・・。


「ありがと。世話になった王様!」

「こちらこそ勝手に呼び出して申し訳なかった!アラタ殿に神の御加護があらん事を。」

「離してくれぇ!!父上ぇ!!僕はアラタ君とまだ話したいことが山ほどあるんだよぉ!熟女は!熟女はいけるのかいッ!?」


 何言ってんだこいつバカじゃねえの。


 あらたは呆れ顔でゲートをくぐり抜けようとしたその瞬間。


「神の御加護・・・?お父様・・・。それは違うわ。」


 背後から何やら嫌な予感が。


「神の御加護なんて要らないわ!だってこの私ララノアの加護がこれからもアラタを護るのだから!」


 そう言って、小さな体を利用しララノアは王様のガードをすり抜けその奥・・・俺のいる方へと走ってやってくる。


「お前あっち行けよ!もしかしたら二度と戻って来れないかもしれないんだぞ!!」

「アラタと離れるぐらい私は異世界を選ぶ・・・わ・・・よッ!!」

「ぐべぇぇッ!」


 何故かドロップキックでゲートに蹴り込まれたあらた。

 先程までの世界とは変わり何やら懐かしい匂いが漂ってきた。


「・・・・・・どこよここ?」


 ・・・・・・戻ってきたのだろう。意味もなく蹴られて生じた痛みと共に。


「マジでいてぇよ。」

「私を連れていこうとしないあんたが悪いんでしょ。」

「いやそりゃ、普通は連れていこうなんて発想にならねえだろ。」

「あんたの普通を私に押し付けないでちょうだい。」

「酷い返し方だなお前・・・。」


 ぷいっとそっぽ向いたララノア。

 その姿も非常に絵になるほどに美しいのだろうけど、この態度のきつさからどうしても可愛いとは思えないな。


「もしかしたら二度とあちらに戻れないかもしれないぞ。」

「良いわ。あんな変態な兄のいる世界なんてこっちから願い下げよ。」

「それには同意しとくわ。」


 すまんギルミア。


「・・・・・・?」


 ララノアがこちらを見てしばらく沈黙する。


「・・・・・・なんだよ。」

「・・・いや・・・あんた。こんなに若かったかしら?」

「あー本来こっちでは、高校生だしな。」

「コウコウセイ?」


 まぁ、驚くのも無理はない。

 実際俺自身も言われてから気づいた。

 あちらの世界では、5年くらい年月経ってたしある程度顔つきも大人びていたはずなのに、

 こっちに戻ってきた今、若々しく異世界へ行く前の高校生の姿に逆戻りしているのだ。


「あっちで酒飲んだりしてたけど・・・セーフだよな?まぁ、俺自身酒苦手だったしこれからは飲むことは無いけど。」

「何一人でぶつぶつ言ってるのよ。気持ちが悪い。」

「酷くない?」


 しばらく二人で会話をしていたが、どこからかかなり大きめの腹の音が聞こえてくる。


 いやまぁ、俺じゃなかったら一人しかいないんだけどな。

 ほら、目の前のやつ顔真っ赤になってるし。

 肌白いから余計に分かりやすいんだよ。


「・・・なによ!!お腹が空いたんでしょ!?仕方ないから一緒に食べてあげるわよ!!」

「お前なかなかに無茶苦茶だな。」


 とは言っても、五年も家を留守にいていたのだから冷蔵庫の中身など覚えてるはずもない。

 祖父の怪しげな地下室を出ると、二人はリビングへと向かう。


「な、なによここぉ!!あっちの世界と全く違うわ!!」


 家の作りに大興奮のお姫様。


「貴方は、こっちの世界では貴族かなにかなの!?」

「いや、こっちの世界ではこれが普通だから。」

「ねぇすごいわ!!このモンスターはなんて言う名前なの!?」


 ララノアは目を輝かせ冷蔵庫をパカパカと開ける。


「それは、冷蔵庫って言って食べ物とかを冷やしたり出来る道具だ。」

「この薄い板人が中に入ってるわよ!?」

「聞いてねえな。」


 お姫様はご満悦の様子。

 あらたは冷蔵庫を開け中の材料を確認する。


「・・・・・・卵もねえな。ってか他の材料賞味期限大丈夫か?」


 キッチンに五年前に置いていたスマホの電源がつくか確認し、日付を見やる。


「・・・・・・ん?」


 確認すると日付はあらたが、異世界転移した日の次の日を指していた。


「つまり・・・。」


 俺はあっちで五年ほど月日を経ていたが、こっちでは一日だったと・・・。

 とんでもない精神と〇の部屋みたいだなおい。


「てことは、今は夏休み三日目か。」

「ねぇねぇ!!あの部屋雨みたいな水が出てくるわよ!!私濡れちゃったわ!!」

「あほ!そんな姿でこっちに来るんじゃねえよ!!」


 ララノアは、好奇心に負けどうやらシャワーの蛇口を捻ったらしく濡れて着ていたドレスを脱ごうとしていた。


「ったく。あっちで着替えてこい!」


 あらたは、自分の部屋からできるだけ女性も着れそうな服を選びララノアに手渡す。


「・・・・・・どうやって着るのかしら?」

「・・・・・・は?」

「ここにはメイドも居ないし・・・。」


 まぁ、ここまで来ればわかる通りこんなに偉そうなのにポンコツである。

 あちらでは魔法の才が圧倒的に秀でていたが、こちらでは恐らく魔法を使えないためただのポンコツである。

 魔法も使えず、生活力のないただのポンコツである。


 あらたはため息を吐きながら、出来るだけララノアの素肌を見ないように心がけ何とか着替えさせる。


「へぇ。中々動きやすいのね!」

「はぁ、疲れたわ。」


 しかし・・・なんというか・・・。黒スキニーにダボった服のララノア。

 容姿だけは、絶背の美女と言っても良いララノアの破壊力は凄まじい。


「とりあえず材料も無いから、今からスーパーに買い出しに行くぞ。」

「・・・・・・すぅーぱぁー?なにそれ。」

「食べ物とかを売ってる場所だよ。」

「へぇ、面白そうね!良いわ!行ってあげる!」

「この世界でもその上から目線は変わらずと。」

「なによ!早く行くわよ!」

「へいへいわかりましたお嬢様。」


 あらたは、ため息を吐きながらもララノアに手を引かれ自宅を後にする。


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