8話 常連さん
ありがとうございます。日間ランキングに入ることができました。皆様のおかげです。
それでは続きをどうぞ。
今日も平常運転。
レジで客の対応をしていると、客から声をかけられる。
ここはダンジョン前のコンビニ、やって来る人間はほぼ探索者に限られ、固定客もいる。
客は比較的よく見る女性だった。ハロウィンの魔法使いのコスプレのような格好をしている。
「店長、お疲れ~」
「おう、お疲れ様です」
軽めに挨拶を返す。
固定客は大切にしないとね。
「最近はモンスター、溢れてきてないの?」
「あー、そうですね。まあ、出てきてもすぐに探索者に片付けられて、大物はいないかな」
モンスターがダンジョン外に出てくることはあるが、フロアボス並みの大物が出てくることは滅多にない。
「そっか~、店長のカッコいいところ期待してるんだけどな」
大物が出てくると、中々倒せずに店に近づいてくることがあるので、俺も手伝うことがあるのだ。
常連客はそんな俺を一度は見たことがあるので、こんな風にからかってくるのだ。
横から寒気のする視線を感じてみると、美坂がこちらを睨み付けていた。
喋ってないで働けということか。
「かんべんしてくださいよ。こうやってレジしているのが一番ですからね」
「ま、レアだからね、店長のあれは。あ、ありがと」
そう言って、商品を受け取り、じゃあね、と言って彼女は帰っていった。
◇
あれから、貴崎と止水の二人は時々、コンビニに寄っては挨拶してくれるようになった。
二人に話を聞いてみると、いつもパーティーで活動しているわけではなく、大概は別れて行動していて、ダンジョン深部まで潜ったり、特定のフロアにいるボスモンスターを倒すときには集まるそうだ。
けっこう知られた話らしく。
「おにいさんはほんとうに知らなかったんですね」
と、止水には呆れられてしまった。
ああ、あと、あの二人はいつも一緒にいるみたいだ。