表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/17

4話 有名人

どうぞ

ある日の夕方、店番を美坂とバイトの楠木くんに任せて、俺はバックヤードで作業をしていると、店の外、表側が少し騒がしいことに気づく。


店の中を覗いて、ちょうどレジの前で立っていた楠木くんに何かあったのか聞いてみる。


楠木くんは高校3年生で、中性的な顔立ちのおとなしいけれどしっかりものの青年だ。


「楠木くん、なにかあったのか?」


すると、彼は人だかりができている店の外を見ながら。


「なんでも、最上級パーティの一つ、白銀の戦乙女が外にいるらしいですよ」


「なんか中二な名前だな、それ」


聞いてもすごさがわからない俺はそんなことを返す。

そんな興味無さげな俺を見て楠木くんはこちらをチラッと横目で見たあと。


「もう、店長は。なんでもリーダーが銀髪の美少女で、パーティーも女の子だけで構成されたアイドル並みに有名な人達ですよ」


「へー」


とりあえず生返事を返す俺。


「まったく店長はもう少し探索者の有名人について勉強したほうがいいですよ。この店、ダンジョンの前にあるからお客さんはほとんど探索者の人達ですし」


「いやいや、俺は階級に限らず来店されるお客様はみんな平等なんだよ。……いや、ご贔屓にしてくれると、売上が伸びるか?」


そんな俺の言葉を聞いて、楠木くんは、はあ、と嘆息した。


「それより美坂はどうした?」


俺は美坂がいないことに気づいて、周りを見渡す。


「美坂さんは外に見に行きましたよ。サインをもらうんだとか」


「まったく、あいつは。……なあ、楠木くん、外に出て、営業妨害だから集まるなと言うと、空気読めてないかな」


「え!?」


楠木くんは、何を言うんだこいつは、と驚いた顔をした後、こちらに体を向ける。


「店の敷地内なので言っても良いんでしょうけど、まあ、空気は読めてないでしょうね。こんなことは滅多にないですし、この時間は客の入りも多くないですし、ほっといたら良いんじゃないんですか?」


「ま、そっか」


その通りかと思った俺は、そう言って、バックヤードに引っ込んだのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ