11話 仕留める、俺以外が!
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横にいる止水に見られながら、俺は弓の張り具合をチェックする。
そして、手入れがよく行き届いていることに感心して、うんうん、と頷いていると、止水にジト目で見られていた。
言いたいことは、何玄人みたいなことしてやがんだ、だろうか。
「よく手入れしてあるなと思ってな」
「はいはい。分かりましたから早くしてください。あ、余計なことはしないでくださいね、商売道具なんだから」
彼女はどうでも言いように、手をこちらにひらひら振る。
「ああ」
そう言って、その場で弓の弦を後ろに引く。
ぎぃっとしなる鈍い音がなる。
「へ? 嘘……」
横から唖然としたような声と、止水の驚く顔が目に入る。俺は気にすることなく、昔を思い出しながら狙いを定める。そして、タイミングを待つ。
いまだ、そう思うや否や、遥か向こうにある的に向かって放った。
放たれた矢は光のように一直線に、キマイラに向かって進む。
矢は、いま正に、剣を振り上げて斬りかからんとしていた貴崎に向かって、振り上げようとしていたキマイラの前足に刺さる。
刺さった矢の痛みで僅かに前足を振り上げるタイミングが遅れ、貴崎の剣が獅子の頭を切り裂き、血が宙に散った。
「嘘……」
その様子を見た止水は信じられないといったように、俺とキマイラを交互に見る。
「さて、次だ」
そう言って次の矢をつがえる。
狙いを定め、矢を放つ。
矢は、口からブレスを放とうとしていた山羊の頬に刺さり、顔の向きが変わる。
その隙に男性の剣士が山羊の首もとを切り裂いた。
悲鳴のような叫び声をあげるキマイラ。
それから何度か矢を放ったあと、もう良いだろと判断した俺は横で呆ける止水に弓と矢を返す。
「止水、助かったよ。それ、いい弓だな、大切にしろよ」
「え? あ、はい」
何が起きたかまだよく理解できていないのか、呆然としながらも受け止ることを確認してから、俺はコンビニの中に帰って行った。
しばらくしてから、外から歓声が聞こえてきた。




