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目覚めた世界が私の生きる場所  作者: 月陽
第1章  大切なもの
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88 私のお誕生日


 ホールの中には、お父様を始め、お母様とヴィンスお兄様にフレッドと家族が揃っていた。

 勿論お祖父様にお祖母様もいらっしゃるのは分かるけれど、此処にアル伯父様にオリー伯母様、そしてお従兄様方まで皆揃っていた。


 どうして皆揃っているの、と私は心底不思議で困惑してしまった。

 勿論お父様達に会えるのは嬉しい、嬉しいけれど、皆それなりに着飾っていたので余計に疑問に思う。

 その理由を考えたいたら、いつの間にかお父様が近くに来ていた。



「ステラ、少し見ない間にまた大きくなったな 。それに、一段と可愛くなった」

「お父様。お久し振りでございます。会えて嬉しいですわ。ですけど、皆様お揃いでどうされたのですか?」



 私の言葉で皆はちょっと呆れた感じの雰囲気になった。

 何、私だけ分かってないの?

 今日は何かあったかな⋯⋯。



「ステラ」

「はい、お父様」

「お誕生日おめでとう」



 えっ? お誕生日⋯⋯って私の?

 あっ! そうだった。今日は私の誕生日。

 すっかり忘れていたわ⋯⋯。

 それは皆呆れるよね。



「ありがとうございます、お父様。ごめんなさい、すっかり忘れていましたわ」

「ははっ! やっぱりな。今年は色々とあったからな⋯⋯だけどステラ、今年もステラが元気でこの日を迎えられたことを嬉しく思っているよ」

「お父様⋯⋯ありがとうございます」

「ステラ、お誕生日おめでとう。貴女の元気な姿を見れて嬉しいわ。とても心配したのよ」

「お母様、ありがとうございます。ご心配をお掛けして申し訳ありません」



 私はお父様とお母様にぎゅうっと抱き締められた。

 二人の温もりが暖かく、お誕生日のお祝いも嬉しくて、何よりお父様達にお祝いしてとらえることが本当に嬉しくて涙が出てきた。



「あらあら、だめよ。折角こんなに可愛い姿なのに泣いたら台無しよ」

「嬉しくて⋯⋯」

「あぁ、娘は本当に可愛いなぁ!」



 またお父様に抱き締められた。

 だけど後ろからヴィンスお兄様が不満たらたらで文句を言ってきた。



「父上! そろそろステラを離してください! 私もステラを抱き締めたいです」

「邪魔をするな、ヴィンス! ステラを可愛がるのは親の特権だ!」

「私はステラのお兄様なのだから、私にもステラを可愛がる権利はあります!」



 何故かお父様とお兄様が言葉で喧嘩を始めた⋯⋯。

 理由は私が原因。

 喧嘩はは止めてほしいのですけど、それだけ私の事を想ってくださっているということだから嬉しく思う。



「ステラよ、お誕生日おめでとう。そこのバカな親子は放っておいて此方においで」

「はい、お祖父様」



 私はお祖父様達の元へ行き、抱擁をかわす。

 お祖母様にもお祝いをして貰って、同じくぎゅっと抱き締められる。



「驚いたか?」

「はい、とても驚きましたわ。お祖父様が計画してくださったのですか?」

「発案はアクシィだ」

「お祖母、ありがとうございます。とても嬉しいですわ」

「ふふっ、頑張って計画したかいがあるわね」



 お祖母様にお礼を言って、伯父様達のところへ行く。

 皆揃っていた。

 そういえば、マティお兄様達とこの姿で会うのって初めてかしら?



「ステラ様、この度はお誕生日おめでとうございます」

「ステラ、お誕生日おめでとう」

「ありがとうございます。伯父様、伯母様。来ていただいてとても嬉しいですわ。⋯⋯お茶会の件は途中退席してしまいごめんなさい」

「貴女樣の身の安全が一番ですので、お気にされませんよう」

「そうよ。無事で良かったわ」



 伯父様達とも抱擁を交わして、お兄様達にも挨拶をする。



「「ステラ様、お誕生日おめでとうございます」」



 流石に此処が離宮で、私は元の姿だからか、お兄様達はとても丁寧にお祝いを述べ、頭を下げた。



「ありがとうございます。マティお兄様、レオンお兄様。お兄様方には何時も通り接していただけると嬉しいです」



 私がそういうと、お兄様達はちらりと伯父様に確認して、了承してくれた。

 そしてお兄様達に抱き締められる瞬間、後ろからヴィンスお兄様が抱きついてきた。



「待て! 私との抱擁が未だなのに、マティ達と抱擁を交わすな!」

「ヴィンスお兄様⋯⋯お父様との争いは終わったのですか?」

「父上に勝ったよ」

「お父様に何を仰ったのですか?」

「父上とは血は半分しか繋がってないが、兄である私とは全繋がりがあると言って負かしてきた」



 何だろう、その言い争い⋯⋯。

 大事だけど、何かちょっと⋯⋯いえ、気にしたら負けよね。



「ステラ、お誕生日おめでとう。ステラが無事で良かった」

「ヴィンスお兄様、ありがとうございます。お兄様もご無事で良かったですわ。とても心配致しました」

「私は大丈夫だよ。ステラが近くにいないから心配でたまらない⋯⋯」



 そういうと、ぎゅーっと痛いくらい抱き締められた。

 だけど、やっぱりお兄様が近くにいると嬉しい。



「お兄様、大好きです。だからお兄様も無理はしないでくださいね」

「あぁ、約束するよ」



 その後でマティお兄様達とも抱擁をして、ようやく晩餐が開始となった。

 皆で沢山お話しをしながらのお食事はとても楽しかった。

 食事が終わったら、プレゼントが用意されていた。

 一人ずつ手渡してくれる。

 此処にはいないけれど、ベリセリウス侯爵やセイデリア辺境伯からも届き、後でお礼の手紙を書こうと思う。

 皆それぞれ個性が出ている贈り物だと思う。

 とても嬉しかった。



 お父様達はほどよい時間で王宮へと戻るようで、帰り際には無茶はしないよう、危険を感じたらアルを盾にしろとかいくつか注意を受けた。

 お母様からは元気に過ごして欲しいと、同じく無理はしないように言われた。

 私はフレッドを抱っこさせて貰い、少し大きくなった彼はお母様そっくりの可愛らしい表情をしていた。

 お兄様にも、無理しないようまたお手紙を書くからと言われて、王宮へ戻っていった。


 その後、伯父様達も邸へ戻るということで、お祖父様から、年明け祝いの祭り後、伯父様達のところへ私を送る決定をした事を伝え、伯父様達も戻っていった。



 私はお祖父様達に再度お礼を伝えて、部屋に戻る。

 プレゼントは侍従や侍女達が部屋へと運んでくれた。

 だけど、一つ見慣れない箱が混ざっていた。

 これは⋯⋯?



「モニカ、これは誰からかしら?」

「どこのお方からなのか、当ててみてくださいませ」

(わたくし)の知ってる人、よね⋯⋯」



 誰だろう?

 箱を持って、何となくじっと見る。

 何となく箱から感じる気配を感じとるように、少し解放すると、急にパチッと視界に文字が見える。



 ――何これ!? 文字が浮かんでる!



 驚きながらもその文字を読むと『ヴァレンティーン・ブリッツシュラーク・ヴァレニウスの贈り物』と書かれていた。

 何故急にこんな文字が見えるようになったの?

 ふと力を閉じると文字も消えた。

 何だったのだろう⋯⋯。



「ステラ様?」

「何でもないわ。もしかして、ヴァレンティーン殿下からかしら?」

「流石ですね! 愛を感じます!」

「違うから! モニカ勘違いしないで!」

「照れてるステラ様も可愛い」

「もう⋯⋯だけど、誰が置いていったのかしら?」

「イェルハルド様です」

「えっ!? お祖父様、怒ってなかったかしら? 」

「まぁ、少し⋯⋯いえ、かなり? 渋いお顔はされていましたね」



 ですよね。

 あんなに怒ったいたお祖父様が笑顔で持ってくるはず無いもの⋯⋯。



「それよりも、ステラ様。殿下に贈り物をお開けして、お礼のお手紙を出されませんと!」

「えぇ、そうね」



 モニカはからの圧がすごいけれど、気になっているのは確かだし、今日中にお礼のお手紙も書きたいので、言われるままに開けてみると、とても綺麗な、だけど、あまり目立たないように小粒のシトリンと私の瞳の色、タンザナイトが付いた綺麗なイヤリングだった。

 嬉しいけれど、なんだか恥ずかしいし、一番はこれを付けるのには勇気がいる!

 モニカは「愛されていますね!」と言ってくるので、更に恥ずかしさが増した⋯⋯。

 もう! ヴァン様、もう少し手加減して欲しいですわ。

 私の身が持ちません⋯⋯。

 これ、お祖父様に突っ込まれるのかしら。

 お祖母様は喜びそうよね。

 明日が怖い⋯⋯。



 気を取り直して、ヴァン様へお礼の手紙をしたためて、魔道具に入れて送る。

 さて、ベリセリウス侯爵とセイデリア辺境伯にもお礼の手紙を認めておこう。

 侯爵からは私の瞳の色が付いた綺麗な羽ペンを、辺境伯からはとても可愛らしいペーパーナイフだった。

 お二人とも実用的なものでとても嬉しい。


 お二人の手紙を書き終えたくらいで、ヴァン様のお手紙が早くも届いた。

 とてもドキドキする。

 ヴァン様のお手紙を頂いたペーパーナイフで開けて読んでみる。



『 愛しいエスターへ


  お誕生日おめでとう。

  贈り物を気に入って貰えて良かった。

  普段から付けられるよう、少し控えめにしたので、良かったら付けて欲しい。

  エスターが生まれてきてくれたことに感謝を。



  ヴァレンティーン』



 ヴァン様の言葉が素直に嬉しくて、涙が溢れてきた。

 どうしよう。ヴァン様にすごく会いたい。



「ステラ様!? 如何されましたか?」

「モニカ⋯⋯」



 一度部屋を下がっていたモニカが戻ってきて、私が泣いているのを見て焦り、側まで来てくれたので私は思わずモニカに抱きついた。

 その際にヴァン様のお手紙が目に入ったのか「ステラ様、ヴァレンティーン殿下はとても素敵な方ですね」とそう言いながら私の頭を撫でてくれた。

 暫くして涙が収まり、モニカから離れると「目元を冷やすものを持ってきます」と、また部屋を下がった。

 私は泣いて少し落ち着いて冷静になると、今度はヴァン様のお誕生日を知らないことに青ざめた。

 本人に聞くのはあれだし、お祖父様達知ってるのかな。

 あぁ、けど聞くのが怖い!

 だけど知らないままは駄目よ。

 と、一人で悶々としているところにモニカが戻ってきた。



「モニカ! どうしよう⋯⋯」

「どうされましたか?」

(わたくし)、殿下のお誕生日を知らないわ!」

「ステラ様ったら。お可愛らしいですわ」

「もう! からかわないで!」

「ふふっ。申し訳ありません。殿下のご生誕日でしたら、確か三月でしたかと⋯⋯。因みにヴァレニウスの現在の王家の系譜が更新されていまして、確か此処の図書室にも合ったはずですわ。そこに載っておりますよ」

「明日自分で確かめるわ。ありがとう、モニカ」

「いえ、ステラ様の可愛らしいお姿を見れたので嬉しいです。ようやく殿下への想いに自覚されたのですか?」

「どういうこと?」

「⋯⋯未だなんですか。ステラ様は鈍すぎます」

「酷いわ! 鈍くなんてありません」

「いいえ、鈍すぎます! この件に関しましてはステラ様に勝機はありませんよ」



 何だか酷い⋯⋯。

 鈍いって何!?

 私が膨れているのに、モニカは容赦なく冷たいタオルを目元に当ててくる。

 明日目が腫れていたらお祖母様が心配されるものね。

 暫く目元を冷やし、目元が治まってから眠りについた。

 

ご覧いただき、ありがとうございます。

ブクマ、誤字報告、ありがとうございます。

次話もお読みいただければ嬉しいです。

よろしくお願い致します。

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