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目覚めた世界が私の生きる場所  作者: 月陽
第1章  大切なもの
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08 新しい家族

 

 前日に続き伯父様達のお話を聞く。

 今日は私のこれからについての内容みたい。



「早速ですが、ステラ様には最長十三の歳まで此処で過ごしていただくことになりました」

「⋯⋯え?」



 私は予想もしなかった長い期間此処、辺境伯領で過ごすことに驚いた。

 もしかして、王宮から両親や兄から遠ざけられた⋯⋯?

 私がいるのはよくないの?

 私は体調が戻り、一段落すればまた王宮に直ぐ戻れると思っていたからだ。

 私は少なからずショックを受けて動揺してしまった。



「ステラ様、勘違いしてはいけませんよ。陛下も王妃様もとても心配をしておいでです。勿論兄君も。貴女が此処で過ごすのには幾つか理由がございます」



 伯父様は私の考えを直ぐ否定してくれた。

 それを聞きほっとした。

 だけど、それほど長く此処に住むとなるとどんな理由なのか、次はそちらに不安を覚える。



「まず、今回の毒が盛られた理由がまだ判明しておりません。次に背後にいるものに注意せねばなりません。殿下が狙われた理由には検討がつきますが、その理由で暫くの間は此処で学んでいただく事になりました」

(わたくし)が王宮にいると逆に都合が悪い? 相手を油断させるため?」



 そう聞くと、驚きの顔をした。



「⋯⋯左様です。表向きはエステル王女殿下の体調不良が原因で離宮にて長期療養をしている事になります。その間に奴らの目的を見極め、捕らえようと考えております」

「それは、目的が(わたくし)なのかそれともお兄様達か⋯⋯?」

「はい」

「⋯⋯わかりました。暫くの間お世話になります」



 私は伯父様と伯母様に向かって頭を下げた。

 この時私はただ此処の居候、というか、此処で学ぶだけかと思っていたのだけど⋯⋯。



「ステラ様、此処で過ごす間は私達の養女(むすめ)として過ごしていただきます」

「え、あの⋯⋯養女(むすめ)、ですか?」



 私は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。



「そう、養女(むすめ)よ! 名前はアリシア・シベリウス、(わたくし)が名付けたのよ、どうかしら?」

「あの⋯⋯驚きすぎて何と言っていいか分かりませんが、素敵な名前だと思います」

「でしょう! 流石にステラとか姫様呼びは禁止よ。この邸で働くものに関しては徹底的に教育はしているけど、何処から漏れるか分からないもの。念には念をいれないとね」



 確かに、何があるか分からないからね。

 いつもこの部屋で話をするとき、伯父様が何かの魔法を行使しているみたいだし。

 もしかして防音とかそんなのかな?



「分かりました。今日からよろしくお願い致します」



 二人に挨拶をした。



「ふふふ、嬉しいわ! めいいっぱい可愛がるからそのつもりでね! 後、(わたしく)のことはお養母様って呼んでね」

「私のことはお養父様と呼んでほしいな! 養女(むすめ)が出来て嬉しいよ。これからは他の子と同じように接するからね! けど、息子よりも可愛がるから甘えていいんだよ。我が儘も言ってほしいな」

「「だけど、教育には手を抜かないからそのつもりでね!」」



 ハモってる⋯⋯。

 嬉しいけど、ハモったところがちょっと怖い。

 モニカをちらりと見ると、心なしか顔色か悪いし、何かあっのかな。



「あぁ、そうだ! シア、記憶の事なんだけど、今は記憶が戻ったばかりでそちらに引きずられているだろう? 暫くすれば、こちらに馴染むだろうが、出来れば、他の者達の前ではもう少し子供らしい言動を心掛けてくれると助かる」

「子供らしい言動⋯⋯ですか。頑張ります」



 それ、中々難しい⋯⋯

 けど、本当に気を付けないと色々と怪しまれるよね。

 気を付けよう。

 それに伯父様は既に娘に対する口調に変わっている。



「後、これを渡しておく。髪と目の色を変える魔道具だ。後呪術返しの魔石と魔力を押さえる魔石も嵌めているから常に着けていなさい」

「分かりました。ありがとうございます」



 お礼を言うと、お養父様は私の腕に着けてくれた。



「うん、魔道具は巧く作動したみたいだね。髪と目の色が私と同じになったよ。長く話したが、体調はどうだ? あまり無理はさせられないが、先に息子達を紹介しておこうと思うのだけど?」

「大丈夫です」



 その言葉を聞いたアル伯父様、基お養父様が執事へ指示を出す。

 その間にモニカは私達に新たにお茶を出してくれた。

 私には蜂蜜入りの子供向けの紅茶、甘くて美味しい。

 そうこうしていると、アルヴァーが二人の子供をつれて戻ってきた。

 


「二人ともこちらへ」



 お養父様が子供達をこちらに呼ぶ。



「マティ、レオン。今日からお前達の妹になるアリシアだ。仲良くするように。それと二人は兄になるのだから妹を守るように。出来るな?」

「「はい、父上」」

「シア。マティアスとレオナルドだ。二人を兄として頼っていい。上のマティは今年から学園に入学するからあまり一緒にはいられないが、レオンはまだ七歳だから一緒に学ぶといいよ」

「はい、よろしくお願い致します。お兄様とお呼びしても良いでしょうか?」

「「もちろん!」」

「シアはまだベッドから出る許可が出てないから、体調が良ければ話し相手になってあげなさい」

「「はい!」」



 とてもいい笑顔でハモってるし、キラキラしてる!

 二人とも美形である、モテそう⋯⋯。



「あぁ、肝心な事を忘れるところだった。二人とも、シアはエステル王女だよ。そしてこれは、最重要機密だ」

「「「えぇっ!?」」」



 見事に仲良く三人でハモった。

 今度は私も⋯⋯って私までハモったらダメよね!

 うっかりさん、ってそうじゃない!

 待って待って!!

 そんなに最重要機密とか言いながらそんなあっさり暴露していいのですか!?

 大丈夫なのかな。

 まだ子供だよね?

 あぁ違った、私も子供だったわ。

 視線を二人に戻すと固まってしまっていた。

 脳内を言葉怪しく突っ込みを入れていると、マティアスお兄様からも疑問が上がった。



「えっと⋯⋯それは、私達に話てしまって大丈夫なのでしょうか?」



 ごもっとも!

 即座に心の中でつっこんだ。



「大丈夫だ。それにステラ様とはどちらにしてもお前達の従妹だよ。それとも二人は私達の期待を裏切って他に漏らすような事をするのかな?」



 それはとてもいい笑顔で、それでいてとてもヒヤッとする空気を醸し出し二人に言った。



「「絶対に漏らしません!!」」



 これはまた見事にハモりましたよ。というか、お養父様怖い⋯⋯。

 優しい顔してとても怖い。

 そして寒い⋯⋯。

 気を取り直した二人は私に声をかけてきた。



「シア、これからよろしく。可愛い妹が出来て嬉しいよ」

「僕も! 一緒にお勉強頑張ろうね!」

「「そして、護るから!」」



 またハモるなんて仲良しさんなのね。



 こんな感じで私達の対面は終わった。

 

お読みいただき、ブクマもありがとうございます。

次話もよろしくお願い致します。

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