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目覚めた世界が私の生きる場所  作者: 月陽
第1章  大切なもの
75/264

75 恋愛って難しい


 殿下達が王都へ出立される日の朝。

 殿下のお願いで、私は少し早い時間に殿下と、一度お兄様に案内していただいた、庭園の奥にあるガゼボでお茶をしていた。

 本来は二人っきりになることは良しとされていないが、昨日の今日だし、私はまだ子供なので、モニカ達はお茶の準備を終えると庭園入口まで下がっている。



「朝早くからすまない。暫く会えないからアルノルドに無理を言ったのだが、エスターには無理をさせたか?」

「いえ、そんなことありませんわ」

「昨日はかなり頑張ったからな、疲れてはないか?」

「大丈夫です。お気遣い、ありがとうございます」



 今日はお会いした時から、とても優しい眼差しと甘い雰囲気で緊張する。

 そしてモニカ達が下がった後は、お膝の上に横抱きで、昨日の今日だから私も平静ではいられなくて⋯⋯。

 頭上から近く聞こえる殿下のお声に心臓をうるさくさせる。



「まだ眠いか?」

「いえ、そんなことはありませんわ」

「それならいいが、昨日の元気がないように思える」

「元気がないのではなく⋯⋯その、緊張しているだけです」

「何故? 昨日もずっと近かったろう。まだ緊張するのか?」

「⋯⋯殿下に触れられたり、お声が近いと緊張致します」

「エスター、今は私と二人きりだ。昨日何と話しをしたか覚えているか?」

「あっ、申し訳ありません。⋯⋯ヴァン様」



 私がそういうと、殿下⋯⋯ヴァン様は私を抱く左手で更に抱き寄せ、耳元で「私を意識してくれて嬉しいよ」と囁いた。

 それだけで私は顔が真っ赤になったと思う。

 くすぐったいし、ヴァン様のお声が響くし、顔を見られたくなくて、ヴァン様の胸元に顔を埋めると、少し笑いを含みながら、頭を撫でられた。

 からかわれてるのか子供扱いなのか⋯⋯。

 どちらにしても恥ずかしくて泣きたい!


 

「エスターはそう言うところも可愛いな。次に会うときはもっと成長しているだろう。美しい女性になっているだろうな。成長を見守ることが出来ないのは残念でならない」



 ヴァン様の言葉を聞いてはっとした。

 そうだ。

 ヴァン様はヴァレニウスの王太子殿下で、私はグランフェルトの者。

 気軽に会えることはない。

 とても当たり前の事なのに忘れていたわ。

 暫く会えない。

 その暫くは何年になるのだろう⋯⋯。

 寂しい⋯⋯寂しい?



「どうした?」

「本当だったらこんな風に気軽にヴァン様に会えることはないのに、そんな簡単な事が抜け落ちていました⋯⋯」

「エスターは寂しく思ってくれるのか? 私は寂しいぞ」

(わたくし)は⋯⋯、(わたくし)も寂しく思います」



 私は素直にそう言葉をこぼした。

 初めてお会いしてほんの少しの間しか一緒に過ごしていないのに、こんなにも寂しく思うなんて⋯⋯。

 私はどうしたのかしら。

 とても離れがたく思う。

 次はいつお会いできるのだろうか。

 少し気分が沈むと、ヴァン様は私の左手をとり、手の甲に口付ける。



「エスター、我々は魂の繋がりがある。寂しいが必ず会えるし、私が必ず迎えに行く。だからそんな顔をするな。離せなくなる」



 そんな顔?

 私はどんな顔をしているの?

 寂しいとは思うけれど、何故そんな事を言ってくるの?

 不思議に思い、ヴァン様を見上げる。

 ヴァン様も私を見ていて、暫く見つめ合ってしまった。

 私が耐えきれなくて視線を反らす。

 話題を変えないと⋯⋯。



「あの、ひとつお聞きしてもよろしいでしょうか?」

「どうした?」

「ヴァン様は何を貰ったら嬉しいですか? 昨日のお礼をしたいのですが、思い浮かばなくて⋯⋯」

「⋯⋯何でもいいのか?」

(わたくし)に出来ることならになりますが、何がよろしいでしょうか?」

「そうだな。エスター否は聞かないぞ」



 えっと、何か私間違えたかしら⋯⋯。

 殿下の言葉が何だか怖い。

 何を要求されるのか。



「目を瞑れ」

「あの⋯⋯」

「エスター」

「はい⋯⋯」



 私は有無を言わさぬ言葉に目を瞑る。

 何だか怖い⋯⋯

 そう思っていたら、顔を上に向かされ、頬というか口元近くに柔らかい何かが触れた⋯⋯。

 軽く触れただけで、直ぐに離れていった。

 私は何が起こったか分からず、目を開けると、とても甘い顔をしたヴァン様と目があった。

 とても近い⋯⋯。

 ヴァン様の瞳に私が写っているほどに。

 今のは⋯⋯。



「贈り物ならこれでよい」



 贈り物⋯⋯顔が近くて、柔らかくて⋯⋯

 えっ、まって⋯⋯、もしかして頬にキス、された⋯⋯!?



「で、殿下!?」

「ふっ、顔が真っ赤で愛らしいな。この間のお返しだ」

「お返しって⋯⋯」



 私は思わず頬に手を当てた。

 お返しって、試合後のあれよね!?

 こんなのありなの!?

 というか、頬なの!?  口に近かったけど!

 分からない、どうしていいか分からなくて悶える⋯⋯。

 殿下も何で五歳の子供に⋯⋯完全に頬ならまだしも、場所が際どいのよ!

 あぁ、本当にどうしたらいいの⋯⋯。

 殿下ってロリコンなの!?

 違ったわ、昨日番だって言われたのだったわ。

 だからと言って、色々と問題よ。



「エスター、今何か失礼なことを考えたろう」

「っ! そんなことは⋯⋯ありせんけど、殿下、(わたくし)はまだ子供ですわ! こんな⋯⋯」

「昨日も言ったが子供だろうが関係ない。それに、記憶を、成人した女性の記憶があるのだろう? それよりエスター、今度二人の時に殿下と呼んだら⋯⋯次は確実に唇を奪うぞ」



 それを聞いて咄嗟に両手で口を覆う。

 意地悪だわ!

 大人の記憶はあるけれど、それとこれとは別よ!

 今の私はまだ子供なの。

 こんな事⋯⋯心臓が痛い程うるさく跳ねている。

 私、おかしくなったわ⋯⋯。

 こんなにも心臓がうるさいなんて、こんなに取り乱すなんて⋯⋯。

 殿下は意地悪です!



「⋯⋯ヴァン様とは婚約者同士ではありませんのに」

「まだ、な。だが、私はお前を離すつもりはない。必ず私が迎えに行く。手放すつもなど一切ない。だから、私を待っていろ」



 あまりに真剣な表情で言われたので、無意識に頷いていた。

 否と言う返答は出てこなかった⋯⋯。



 こうして私とヴァン様の朝のお茶会は終わり、私はヴァン様に抱っこされたまま、食堂に連れていかれた。

 心の中では平常心、平常心と無表情で呟きながら⋯⋯。

 でないと、顔が赤くなってしまう。

 食堂に着いたようだけれど、私は気付かず、無表情を貫いていた。



「シア、シア!」



 えっ⋯⋯あれ?

 お養父様達が心配そうに私を覗いている。



「お養父様、おはようございます」

「あぁ、おはよう。殿下に何かされたのか?」

「おい、朝から失礼だな」

「シアの様子がおかしいから聞いているのでしょう」

「お養父様、何もありません」

「本当か? 殿下の事なら気にしなくていいから何かされたら遠慮せずに話しなさい」



 そう言われても、素直に言えるはずもない⋯⋯。

 だからと言って、お養父様は疑いの目をもってこっちを見てるし。



「殿下、ここまでありがとうございます。ですがそろそろ離して頂けると⋯⋯お養父様のところへ行きたいです」

「⋯⋯仕方ないな」

「ありがとうございます」



 殿下は私をお養父様へ渡す。

 まぁ、そのまま抱っこが殿下からお養父様へ変わっただけなのだけれど、でもお養父様の腕の中は安心し力を抜いた。



「シア、本当になにもされてないのか?」

「あの⋯⋯その話はまた後程でもいいでしょうか?」



 その場から逃れるためにそう目で訴えてみる。

 殿下を待たせ過ぎるのもよくないので、お養父様は折れてくれた。

 だけど「後で必ず話すように」という怖いお言葉をいただいて、席に着いた。

 憂鬱である⋯⋯。



 朝食が終わり、今後の予定を話し終えたら別邸まで私達も一緒にお見送りのために移動する。

 別邸には、イクセル様やハルド様達も揃っていた。

 殿下が馬車から降りると、ヴァレニウスの方々は一斉に頭を下げ迎える。



「ご苦労。準備は終わっているか?」

「滞りなく」



 側近の方々とのやり取りを見ていると、今朝の事が嘘のように感じる。

 出立の準備は既に終わっているらしく、少しのやり取りで、此方に向き直った。



「数日世話になったな。楽しかったぞ。騎士達も腕をあげているので、また次が楽しみだな」

「いえ、殿下にご滞在頂いたことは、我が領にとって誉れです。領民達も喜んでおりました。次お越しの時までにはまた腕を上げてお待ちしております」

「アルノルド、王都で待っているぞ」

「はい。王都までお気をつけください」



 お養父様達と挨拶をして殿下は飛竜へ。

 それに続き、側近の方々も飛竜へと騎乗する。



「では、出立する!」

「「「はっ!」」」



 殿下の号令で大空へと飛竜は舞い上がる

 殿下は私にちらりと柔らかい笑みを一瞬見せた気がしたけれど、もう殿下の姿は見えず、飛竜を下から見上げているだけだ。

 大空へ舞い上がった後は王都へと後ろ姿を見送る。

 姿も小さくなったところで、お養父様は別邸の使用人達を労い、指示を出した後、私達も邸へと戻ってきた。

 ここ数日とても濃い日々だったので、とても不思議な感じがする。

 ただ、私に待ち受けているのはお養父様達の追求なのだけれど、逃げだしたい⋯⋯。

 邸に戻ると、お養父様から昼からお茶会をしようという、お茶会と言う名の追求会になりそうな、嬉しくないお誘いを受けたけれど、否は言えない⋯⋯。

 昼食まで少し時間があるので、部屋へ戻る。

 朝から疲れたわ。



「シア様、お疲れのご様子、少し休まれますか?」

「そうね⋯⋯昼食前に起こしてくれる?」

「畏まりました。ゆっくりお休みなさいませ」



 私は部屋に一人にり、お養父様に何て言うか考える。

 というか、言いたくないのだけれど。

 どうしよう⋯⋯。

 そう思っていたら、休むと伝えたはずなのに、控えめのノックがされた。



「シア、起きているかしら?」

「お養母様? どうぞ」



 何かしら?

 もしかして、今朝の事を先に聞きにきたとか!

 あり得るわ⋯⋯。

 寝たフリをすればよかった。

 

 

「休んでいるところごめんなさいね。疲れているの?」

「気疲れはしましたけれど、大丈夫です」

「そう?」



 お養母様は私の体調を心配しながらも、お話しする気満々のようだ。

 私の隣に座って、ご自分でお茶を入れていた。



「アルに直接話しをする前に、(わたくし)が先に聞いておいた方がいいかと思って、今朝の事を聞きにきたのよ」



 やっぱり⋯⋯。

 あんな恥ずかしい事言いたくはないのだけれど、言わない訳にはいかないのかな。



「話したくない?」

「話したくないと言ったら話さなくてもいいですか?」

「貴女はまだ子供で、それに相手は友好国の王太子殿下。何があったか把握しておかないと後々困るのよ。勿論正式に婚約して、成人を迎えているならば事細かく聞いたりはしない、と思うわ」



 お養母様、今詰まりましたよね。

 それって、絶対聞いてきますよね!



「話さないといけないですか⋯⋯」

「あらあら、お顔が真っ赤ね」



 私は恥ずかしいながらも、殿下との今朝の出来事を話した。

 もうほんとに恥ずかしくて、途中お養母様には宥めるように頭を撫でられたけれど⋯⋯。

 思い返しても心臓がうるさいほどにどきどきする。

 話し終えると、お養母様は「殿下は思ったより手が早いわね⋯⋯」と呟いた。

 手が早いというか、子供に一体何をしているのと言いたいわ。

 落ち着くために冷めた紅茶を一口飲む。

 ふぅ⋯⋯。



「今の話からしたら、やはりステラは殿下から逃れられないわね。貴女も殿下が気になっているのでしょう?」

(わたくし)は、別に⋯⋯」

「ステラ、貴女は自分の気持ちに気付いてないのね。(わたくし)から見ると、貴女は殿下を想っているわ。だけど、自覚するのは貴女自身。時間もあるのだし、ゆっくり考えるといいわ」



 第三者から見ると、私は殿下を想っているように見えるのかしら。

 今はまだよく分からないので、考えるのを止める。

 お養母様とは少し長く話していたようで、モニカが「そろそろ昼食のお時間です」と呼びにきたので、私とお養母様は揃って食堂へ向かった。


 昼食時には特になにも聞かれずに穏やかに過ぎていき、お養父様達とのお茶会まで少し部屋で休む。

 今度こそ⋯⋯。



 そしてお養父様達とのお茶会兼追求会? の時間となったので、モニカ達に用意を整えて貰ってサロンへ向かう。

 既にお養父様とお養母様が待ち構えていた⋯⋯。

 入りたくない⋯⋯。

 とてもとても逃げ出したい。

 お養父様はいい笑顔だし⋯⋯私の話を聞いたのね。

 恥ずかしい⋯⋯。

 やっぱり逃げ出すのはありかしら。



「お待たせいたしました」

「時間通りだよ。座りなさい」



 声は穏やかだけど何だか色々と怖い。

 私は「失礼します」と一言かけて座るけれども。

 気持ちは逃げ出したいまま。

 お茶を淹れたらそそくさと侍女達は部屋から下がり、お養父様は防音の魔法をかける。



「今朝の事をオリーからお話しを聞きました⋯⋯」

「⋯⋯はい」

「ステラ様、私は別に怒ってはいませんよ。ただ、前にもお話ししましたが、少々、男性に対して隙を見せすぎです。もう少し警戒をしていただきたい」

「あの、伯父様。隙を見せすぎと言われましても、どういった事なのでしょう? (わたくし)は特に何もしておりません」

「ステラ様はまずはご自分の容姿が整っている事をご自覚してください」



 ――⋯⋯何それ?



 私は何を言われたか直ぐに理解できなかった。

 隙が多いからの容姿を自覚しろなんて、意味わかりません⋯⋯。

 どういうこと?



「ステラ様、よくお聞きください。ステラ様は可愛らしいです。今のシアとしての姿も勿論ステラ様のお姿も。今の内にご自覚頂かないと後々面倒臭いことにもなります。特に五年後、学園に入学した後ですね。今のところ変更はありませんので、十三の社交界デビュー迄はアリシア・シベリウスとして過ごして頂きますので、学園に入学後、辺境伯令嬢として男共から狙われるのは必須です。そして、令嬢達の嫉妬の対象にもなるでしょう」



 そこまで⋯⋯?

 それって伯父様の身贔屓では?



「全く信じてませんね⋯⋯」



 伯父様がため息をつく。

 伯母様も若干呆れている。

 私がおかしいの?



「貴女が恋愛事に疎いのも、自分の容姿に自信無いのも、きっと記憶の愚か者のせいでしょう。けれどね、貴女はとても整った容姿をしているの。あのお二人が親ですから。勿論外見だけでなく中身もね。(わたくし)がそう言ってもきっと身内の目だからと信じないでしょう?」

「伯母様、そんな事は⋯⋯」

「殿下には何て言われたの?」

「殿下には⋯⋯、アーシェは可愛いけれど、エスターは綺麗だと言われました」

「その通りだと思うわよ。別に自分が可愛いと公言しなさいと言っているわけではないのよ。ただ、貴女自身が自身の事を自覚して、異性に隙を見せないで欲しいだけ。勘違いさせないようにと言うことよ。特に殿下には番だと言われているのだから、他の男達に狙われてみなさい。血の海を見るわよ」



 そこまで!?

 流石にそれはないのでは?

 大袈裟だと思います⋯⋯。

 勉強をしている方が簡単でいいわ。

 恋愛とか⋯⋯面倒臭い。



「ステラは頑なになりすぎているわね」

「そんなことは無いと思いますが⋯⋯」

「いや、オリーの言う通り。心配で仕方ないですね」



 そんなに心配されているの?

 何だかダメ人間になったような感じがするわ⋯⋯。



(わたくし)達が貴女を可愛いと思うのは信用できない?」

「いえ! そんなことはありません。伯母様達が(わたくし)を可愛がって下さっているのはとても嬉しいです。信用していないなんて事はありません」

「では、何故自信がないのかしら?」

(わたくし)は⋯⋯」



 私は目を閉じた。

 何故と言われても⋯⋯、自分自身を肯定することが何故か出来ない。

 今世は、嬉しいことにずっと可愛いと言われてるわ。

 けど、伯母様が言うように、記憶に引きずられているとしたら⋯⋯?

 記憶では、普通だったとは思う。

 だけど、可愛いとは言われていた時分あった。

 学生時代の事。

 だがそれは、私を持ち上げるためのものだと分かったのは、陰でこそこそと私の悪口を言っていたのだ。

 それも男女関係なく⋯⋯。

 そこからね、人を信じられなくなったのは。

 大学生の頃、付き合った彼が、騒動の彼なのだが⋯⋯、彼から受けた暴言も相まって、人を信用しなくなったように思う。

 それからは仕事だけに打ち込んで⋯⋯、今に至る。

 あの時の事を思うと、心が荒む。

 やはり、伯母様の言う通り、記憶に引きずられている。

 折角生まれ変わったのに、こんなにも私の心深くに影響があるなんて⋯⋯。



(わたくし)は、伯母様の仰った通り、記憶で受けた傷が、今の(わたくし)にも残っているのだと思います。きっと怖いのです。また同じことが繰り返されたらと⋯⋯。(わたくし)自身は特に思うことはないのですけど、深層心理で拒否しているのだと思います」

「それはまた難しいですね。ステラ様自身に影響は?」

(わたくし)は特に何を言われても気にしませんわ。キリがありませんもの」

「ステラ自身は大丈夫そうね。だけど、恋愛面が壊滅的⋯⋯もうそこは(わたくし)達がいかに貴女が可愛いくて、私が一緒に連れ歩きたいかを強制的に分からせていけば、その内治るかしらね。勉強や運動神経は抜群なのに、そこは残念ね」



 それは⋯⋯、遠慮したいですよ、伯母様。

 若干ひきつりそうになるのを我慢した。



「ひとつ分かっていることは、陛下次第とは言え、貴女はヴァレニウスの ヴァレンティーン殿下に嫁ぐことが決定したに等しいのです。だからこそ、周囲にはお気をつけください。理由は、お分かりですね?」

「⋯⋯はい」



 やっぱり決まってしまったに等しいのね。

 全く実感も気持ちもついていかないのだけれど。

 けど、伯父様や伯母様がそこまで注意してくると言うなら、注意しましょう。

 ただ、どう注意すればいいかは分からないのだけれど。



「これからは淑女教育の中にその辺りの事も教育していきます。そして、少しずつ奥深くの傷も癒していきましょう」

「よろしくお願いします」

「貴女なら大丈夫よ。後、エーヴェの所にも行きましょうね!」

「お手柔らかにお願い致します⋯⋯」



 一難去ってまた一難⋯⋯。

 頑張りましょう。

 

ご覧いただき、ありがとうございます。

ブクマもとても嬉しく、励みになります。

また次話も楽しんでいただければ楽しんでいただければと嬉しいです。

よろしくお願い致します。

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