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目覚めた世界が私の生きる場所  作者: 月陽
第1章  大切なもの
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69 面倒なお二人


 私は半刻後に起こして貰い、まだ若干眠たさが残ってるけれど、いつまでも寝ているわけにはいかない。

 晩餐までまだ時間があるし、眠気覚ましと気分転換に庭園に行くことにした。

 勿論確認して了承を得てからだ。

 モニカと一緒に庭園に行く。

 今日も綺麗に花が咲き誇っていて、良い香りがする。

 一際強く花の香りがしたと思ったら、ふわりとエストレヤが現れた。

 本当に神出鬼没ね。

 そういえば、昼間に会うのって久しぶりかも。



「エストレヤ、久しぶりね」

「シアも久しぶりー! そういえば、ヴァレンが来てるね」

「殿下をご存じなの?」

「勿論!」

「殿下に会いに来たの?」

「まさか違うよ! 僕はシアの様子を見に来たんだよ」

(わたくし)の?」



 エストレヤは私に近付きじっと目を覗き込んでくる。

 何かしら?



「うん! 今は無理してないね」

「無理をするようなことはしてないわ⋯⋯、あっ! エストレヤ、(わたくし)は別に無理はさせられてないからね」

「あの二人、何か言ったの?」



 一瞬いつものエストレヤではなくて少し冷たい感じがした。

 ただほんの一瞬だったから私の思い違いかもしれないけど。


 

「特に何も、ただあの時エストレヤ怒ってそうだったから気になっただけよ。だからあの二人に怒るのは止めてね。(わたくし)が決めたことだから」

「僕はシアが大事だから心配なだけだよ」

「エストレヤの気持ちは嬉しいわ。いつもありがとう」



 私がお礼を言うと、エストレヤは嬉しそうに「当たり前だよ!」といつもの調子で答えた。

 そしてこれもいつもの調子で「またねー!」と消えていった。

 ⋯⋯何しに来たのでしょう、自由すぎるわ。



 私が若干呆れていると、足音が聞こえたのでそちらを向くと、お養母様が殿下をここに案内してきたみたい。



「あら? 話し声がすると思ったらシアがここにいたのね」

「殿下、お養母様、ごきげんよう。エストレヤが来ていましたので、お話しをしていました」

「そうなのね。丁度良いわ。殿下を庭園に案内してきたのだけど、一緒にお茶をしましょう!」

「夫人、良い考えだな」



 お養母様がそう言うと、周りにきた侍女達が颯爽と準備をする。

 優秀で直ぐに準備が整い私も席に着く。

 この状況に少しばかり緊張する。

 それに、先程までではないにしろまたドキドキと心臓がなる。



「エストレヤは何故ここに来ていたのかしら?」

(わたくし)が心配だからと様子を見に来たようですが、直ぐにいなくなりましたわ」

「よっぽど、貴女の事が心配なのね」

「エストレヤはここにもよく姿を現すのか?」

「よくかどうかは分かりませんけれど、最近はよく姿を見ます」

「そうか」



 話をし始めると、意外にも普通に話ができている。

 あれは私が緊張しすぎてたのね、きっと。

 殿下の雰囲気もあの時のような事もなく、お養母様達と接するときと同じ雰囲気でちょっと安心した。


 それから殿下とお養母様のお話を聞きつつ、お茶を楽しんでいると、お養母様が私に話を振ってきた。



「そういえば、シアは動物が好きよね?」

「はい、好きですわ」



 ――何故急に動物の話に?



「晩餐まで少し時間はあるのだし、殿下に飛竜を見せていただいたら?」

「ですが、そんな急には⋯⋯申し訳ないです」

「かまわない。アーシェが見たいなら行こうか」

「殿下もアルと同じになってましてよ」

「かまわないだろう?」

「アルではありませんが、程々になさってくださいね」



 私にはよく分からない会話がなされている⋯⋯。

 ひとつ気になるのは、アーシェって私の事よね。

 呼ばれたことがない愛称だからびっくりしたわ。

 けど、お養父様達は私の事はシアと呼ぶのにどうしてと思わなくもないのだけれど。



「どうする? 行くか?」

「ですが、こちらにいらしたばかりですのに、殿下にお願いするなんてお養父様に叱られそうです」

「大丈夫よ、(わたくし)に任せなさい!」


 

 何だろう、すごく行ってきなさい感が出ているのだけど⋯⋯、お養母様、何か企んでます?

 気になる、けれど飛竜も気になる⋯⋯。

 ⋯⋯悩む!



「本当にお願いしてもよろしいのでしょうか?」

「勿論だ。では行こうか」

「では、お言葉に甘えて、よろしくお願い致します」



 私は結局飛竜見たさにお願いすることにした。



「ラインハルト、すぐ戻るからお前は此処にいろ」

「御意。いってらっしゃいませ」



 どうやっていくのかしら?

 不思議に思っていると、急に浮遊感に襲われたと思ったら、殿下に抱っこされていた!


 

 ――えぇー、なんで!?



「殿下、流石に抱っこは⋯⋯下ろしてくださいませ」

「危ないから捕まってろ」

「えっ?」



 危ない? そう思った瞬間、別邸の庭に着いていた。

 これって、転移したの!?



「大事ないか?」

「はい⋯⋯大丈夫ですわ。ありがとうございます」



 吃驚した。

 事前に一言欲しかったです⋯⋯。

 って、このまま下ろしてくださらないの!?

 どうしよう⋯⋯、心臓うるさい⋯⋯。

 なんでこんなにどきどきするの?

 抱っこされてるせいで殿下にとても近いからよね。

 落ち着かなきゃ。

 そんな私の内心を知らずに殿下は話し掛けてきた。



「アーシェ、あれが飛竜だ」

「え、あ、わぁ! とても大きいですね。それに思った通り格好いいですけど、よく見ると瞳がとても可愛いですわ」

「ふっ、アーシェは人族の女性なのに飛竜を怖がらないんだな」

「怖くないですわ。あの、殿下。飛竜に触ることは出来ますか?」

「あぁ、出来るぞ」



 抱っこされている事など忘れ、そのまま飛竜に近付き、私はそっと飛竜に手を伸ばしてみる。

 わぁ、ゴツゴツと凄く固いのかと思ったけれど、以外に柔らかい。

 私が首筋を撫でていると、飛竜は目を細めている。

 嫌がってはなさそうね。

 可愛い⋯⋯。

 私は夢中で撫でていて気付かなかったが、殿下はとても甘い表情で私を見ていた。

 一通り堪能したので、殿下に声をかける。


 

「殿下、連れてきてくださって、ありがとうございました」

「いや、アーシェの嬉しそうな顔が見れて良かった。あまり遅くなるとアルノルドが煩そうだからそろそろ戻るぞ」

「はい!」



 帰りも転移なので一瞬で先程の庭に戻ってきた。

 そこには側近の方がいらっしゃって、私達を迎えてくれた。



「お帰りなさいませ、殿下、アリシア様」

「あぁ、アーシェに紹介しておく、こいつはラインハルト・エーヴェルバイン。私の側近だ」

「アリシア様、ご挨拶が遅れて申し訳ありません。ラインハルト・エーヴェルバインです。以後お見知り置きを」

「アリシア・シベリウスです。こちらこそ挨拶が遅れて申し訳ありません。よろしくお願い致します」



 結構良い時間になっていたようで、モニカが「アリシア様のご準備がございますので⋯⋯」と声を掛けてきた。



「殿下、飛竜を見せてくださってありがとうございました。一度失礼致しますね」

「あぁ、後程会うのを楽しみにしている」



 私は殿下に挨拶をして部屋に戻り、急ぎ準備を整える。

 昼間のドレスと違うデザインのドレスを着用し、髪型も変更して完成!

 鏡を見るけれど、やっぱりモニカ達の腕は凄いわ。

 私でもこんなに可愛くなれるなんて!

 モニカ達の腕の再確認をしていると、お兄様がいらっしゃった。

 


「シア、準備は出来てる? ⋯⋯って昼間と違って何だか格好いいね! ちょっと大人っぽい色も取り入れて、雰囲気が全然違う!」

「お兄様もとても素敵ですわ」

「皆見たらびっくりするね! 今日は大ホールでの晩餐だからね、招待客が多いよ。けど、殆ど知ってる人ばかりだから安心してね」

「ありがとうございます、お兄様」

「じゃあ、行こうか!」

「はい!」



 私はお兄様のエスコートで会場に向かう。

 そこにはお兄様の言うとおりに、見知った人達が沢山いた。

 お養父様の側近や騎士団関係者は分かるけれど、ギルドマスターのクリス様に他に知らない方達が何名かいらっしゃる。

 ギルドの上役の人達かな?

 エーヴェの姿もあった。

 各関係者のご家族達もいるので、結構な人数だ。


 私達はお養父様の近くへ行く。



「来たか。シア、飛竜は怖くなかったか?」

「大丈夫でしたわ。とても賢かったし、撫でたら嬉しそうにしてました。お養父様、先にお養父様に言わずに会いに行ってしまい申し訳ありませんでした」



 いくらお養母様が良いと言っても、私の庇護者はお養父様だから、先に言うべきなのよね、本来は。



「いや、シアが楽しそうだったと聞いたから構わないよ。それより、昼間のドレスと違って少し大人っぽいな。よく似合っているよ」

「ありがとうございます。お養父様もとっても格好いいです!」

「ありがとう」



 私達が話し終えた頃合いに殿下がいらっしゃった。

 昼間の軽装とは違い、軍服に近い感じだけれど、殿下の雰囲気によく合っていて、片方だけマントがかかっているのも凄く様になっている。

 背が高くていらっしゃるからとても素敵で、思わず見惚れてしまった。


 お養父様とお兄様はそんな私を見て、殿下を冷ややかな表情で見ていたようだけど、勿論私は気付かず、ただ、お養母様はとても呆れてみていた。



「アルノルド、そんな冷ややかな目で見るな」

「いつも通りですが何か?」

「お前な⋯⋯。夫人、アルをどうにかしろ」

「困った人ですわね。アル、シアはまだ全く何の自覚もなくて大丈夫だから安心しなさい。殿下を見ていたのは、クリスを見ていた時と同じようなものでしょう」

「はぁ。分かってはいるが、それでも心配だ」

「全く、シアの周りの男共は厄介ね」

「夫人、それは私も入れているだろう?」

「えぇ、入っていますわね」



 一体何のお話かよく分からなかったけれど、お養母様が強いことだけは分かりました。

 私がお養母様が最強説を立てていた時に殿下から話し掛けられた。



「昼間のドレスは可愛かったが、今のドレスは色合いも少し大人っぽさが加わり、アーシェによく似合っている」

「お褒めいただき、ありがとうございます。殿下もとても格好良くていらっしゃいます」

「ありがとう、アーシェ」



 殿下と会話する私を見て、お養父様は大きなため息を吐かれ、気を取り直してパーティを始めようと進行する。



「話が逸れたが始めよう」



 お養父様が歓迎パーティの挨拶をする。

 その後に殿下が少し話されて、本格的にパーティが開始された。

 皆様が殿下やお養父様に挨拶をしに来る。私はお兄様と一緒に食事を楽しみつつ、たまに話し掛けられるので、お話しして過ごした。

 大体はお兄様と一緒にいたけれど、エーヴェが此方に来た時はほんとに大変だった⋯⋯。

 デザインするのは好きだけど、あの勢いには付いて行けません。

 私とお兄様はその時ばかりはぐったりとしてしまった。

 ただ、私もお兄様もまだお子様だから、ある程度で部屋に下がる。

 下がる前にきちんとお養父様、お養母様を始め、殿下にもご挨拶をしてお兄様に部屋まで送って貰い、就寝の挨拶をして部屋に入る。

 部屋に戻ると安心出来る。

 モニカ達が湯の準備をして待っていてくれたので、私は直ぐに湯に浸かる。

 はぁ、落ち着く⋯⋯。

 今日はとても長い一日だった気がする。

 湯から上がると、カモミールティにはちみつを入れて飲む。

 ほっとする。

 モニカ達も疲れただろうから、早く休むように伝え部屋を下がらせる。

  私は少し身体を伸ばして一息ついたところで、アステールを呼ぶ。

 直ぐに前に現れた。



「いかがされましたか?」

「明日の試合には出るの?」

「出るように言われましたので、参加致します」

「頑張ってね」

「あまり目立つのもよくないので、程々にしておきます」

「そうね⋯⋯」

「何か気になることでも?」

「今は大丈夫よ、特にないわ」

「何かありましたら遠慮なくお申し付けください」

「ありがとう。私より貴方の方が大変でしょう? ゆっくり休んでね」

「ご心配、痛み入ります」



 アステールはそれだけ言うと、姿を隠した。

 気になることはないのだけれど、いや、⋯⋯あると言えばあるかな。

 初めてお会いしたのに、殿下はどうして私にあのように接するのかな。

 それと、お養父様達は誉めてくださるけど、常套句ではと思ってしまう。

 身内だから見る目も甘くなっているのかな。


 考えても埒が明かないわ。

 明日も早いのだし、そろそろ寝なきゃ⋯⋯。


 私は疲れていたのか、目を閉じると直ぐに寝てしまった。


 翌日の騎士団での交流試合日。

 私やレオンお兄様も一緒に見る事となっているので、朝から準備を整える。

 今日は観戦だけなので、服も訓練に行くときみたいではなく、きちんと貴族としてドレスを着ていく。

 いつの間にか仕上がっていた日焼け防止の魔道具も忘れず着ける。

 後、お外はとても良いお天気なので、ボンネットも忘れずに。

 今日も今日とて可愛く仕上げて貰う。

 時間より少し早く玄関ホールに行くと、お養父様がいらっしゃった。



「おはようございます。お養父様」

「おはよう、楽しそうだな」

「今日の皆様の試合を見るのが楽しみなのです。勉強にもなりますし」

「勉強熱心だな。だが、よく見ておくと良いよ」

「はい!」



 お養父様とお話をしていると、お養母様とお兄様も揃い、その少し後に殿下もいらっしゃった。



「おはようございます、殿下。ゆるりとお休み頂けましたか?」

「おはよう。あぁ、よく休めた。それより今日は楽しみだな」

「では参りましょう」

 


 私達は外へ出て、馬車へと向かった。

 シベリウス家と殿下達と分かれて乗るはずだったのだけれど⋯⋯。



「アーシェは私の元へ、こちらにおいで」

「えっ? あの⋯⋯」



 そんな話聞いてない!

 どう言うこと⋯⋯?



「お待ち下さい、何を仰っているのですか! シアが何故殿下と同じ馬車に乗ることになるのです!? ダメに決まっています!」

「今決めた。それに、明日の件も話しておきたいからな。そんなに目くじらを立てるな」

「明日の件なら後程私から話しますので⋯⋯シアはこちらの馬車に乗りなさい」

「アーシェ、私の馬車へ」



 二人の視線が私に突き刺さる⋯⋯。

 そんなこと言われましても⋯⋯それに、明日の件って何ですか?

 というか、何故そんなに対立なさってるのでしょう?

 私を巻き込まないで欲しいですし、私がどちらの馬車を乗るかで時間を費やしてよろしいのでしょうか⋯⋯。

 お養父様も殿下もどちらも譲る気なさそう。

 困ったわ⋯⋯。



「お養父様、帰りも一緒に邸に戻ることになるのでしょうか?」

「そうなるな」

「では、行き帰りで殿下とお養父様達、どちらかで同じ馬車に乗るのはいかがですか?」

「アーシェが決めたのならそれで良い」

「⋯⋯分かったよ、シア」

「アーシェ、帰りは私と一緒に乗って欲しい」

「畏まりました。では行きはお養父様達と、帰りは殿下とご一緒させていただきますね」

「あぁ」

「ではシア、行こうか」

「はい」



 決まったので、早々に馬車に乗る。

 馬車に乗り込むと、私は安堵の息を吐く。

 朝からとても、とても疲れた⋯⋯。



「シア、よくやったわ! アルは溺愛しすぎよ。一緒に住んでいるのだから、そこまで対立しなくても良いでしょう⋯⋯」

「だがな、何かあってからでは遅いだろう?」

「流石に相手はまだ子供よ。何もしないでしょう⋯⋯」



 最近は私の事でよく分からないお話をされているけれど、お養父様は一体何が心配なのでしょう。

 私は不思議に思いながら、二人の話を聞いていた。

 そうこうしている内に騎士団に着き、馬車から降りる。

 今日は殿下も一緒なので、出迎えるために団長のハルド様を筆頭に、副団長のヨルゲン様達が一同に並んでいた。



「閣下、おはようございます」

「おはよう。準備は整っているな?」

「抜かりなく」



 お養父様がハルド様に確認をとっていると、殿下がお着きになった。

 騎士団の皆様の表情が引き締まり、殿下を向かえる。

 馬車から降りてきた殿下に対し、挨拶を行う。



「ヴァレンティーン王太子殿下、お待ちしておりました」

「ご苦労、歓迎痛み入る。ベルンハルド、息災のようだな」

「はっ! 殿下もお変わりなく」



 殿下は団長との挨拶を終えると、お養父様とお養母様と一緒に騎士団の応接間へと移動した。

 私とお兄様はお話しの間は一緒には居られないので、騎士団の中庭でお茶をしながら待つことにした。

 側には私達の護衛騎士が一緒にいる。



「シア、今から楽しみだね」

「はい! とても楽しみです。クラースは試合に出るのかしら?」

「いえ、私はアリシア様の護衛がありますので、試合には出ません」

「試合に出る騎士ってここの全員が参加?」

「シア、それだと今日だけで終わらないよ。だから事前に誰が試合に出るかは決めてるんだよ。ここの騎士団とヴァレニウスの騎士との混合で組まれるんだよ」

「そうなのですね。ハルド様達も出るのでしょうか?」

「出るよ。試合内で最終勝利したものがハルドと試合する権利が得られる。副団長のヨルゲンは父上や母上の護衛があるから出ないけどね。ちなみに、その後に、父上と殿下の試合も見られるよ」

「お養父様達のですか?」

「だよね? エドガー」

「はい、団長の試合が終われば小休憩を挟み、殿下と閣下の試合となります」



 わぁ! それは観たいです!

 お養父様が戦う姿なんてなんだか想像できなかったけれど、強いって聞いているし、殿下もきっととてもお強いでしょうし⋯⋯、あっ、けど何だか面倒臭いことになりそうな気がする。

 今朝のやり取りを思い出して、ふとそう思った。

 あっ、何だか嫌な予感⋯⋯。



「ちなみにシアはどっちの応援するの?」

「どっちって⋯⋯、殿下とお養父様?」

「そうだよ。シアって殿下に気に入られてるでしょう? 父上はシアをとられたくなくて対抗してるから、試合の時何かある気がするんだよね」



 やめてください、お兄様!

 そんな予言じみたことを!

 ていうか、それフラグでしょ、駄目なやつ!

 本当にやめて欲しいです、そういうこと言うの⋯⋯。



「シア、どうしたの?」

「お養父様も殿下も、お二人共を応援します!」

「絶対どっちか一人! とか言いそうだよね」

「お兄様は誰の味方なのですか!?」

「勿論シアの味方だよ。だけど母上はちょっと楽しんでる風なんだよね。だからなんかやりそうな気がする⋯⋯」



 やっぱりフラグ立ててきた⋯⋯。

 ほんとに、私を挟んで対立するのは止めて欲しいです。

 楽しんで試合だけが見れますように!

 ほんとに⋯⋯。

 

ご覧いただき、ありがとうございます。

ブクマや評価もとても嬉しいです。

ありがとうございます。

次話も楽しんでいただければと思いますので、よろしくお願い致します

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