61 襲撃
翌日、朝一でお養父様に会いに行く。
勿論会いに行っていいかの確認は取ってからね。
内容は、夜中のエストレヤの言葉を伝えにいくために。
お養父様に話しても言いという事だったので先に伝えに行く。
お養父様の執務室に着くとノックをし「アリシアです」と伝えると「どうぞ」と返事があったので、モニカに開けて貰い中に入る。
お養父様は既にお仕事をされていたけれど、私の姿を確認したら、ぱっと此方に寄ってきた。
「おはようございます、お養父様。朝早くにすみません」
「おはよう、シア。何かあったのか?」
流石に朝から会いたいと言うと何かあったのかとそう問うてきた。
私達はソファに座り、昨夜エストレヤから聞いた話をお養父様に伝える。
勿論私が感じている事も一緒に。
私の話を聞き終わると、お養父様は少し考える。
「シア、一人で行動しないように。必ずクラースと訓練場ではサムエルの側から離れないようにしなさい」
「分かりました。ですが、私だけではダメですよ。レオンお兄様やアレク、お養母様、もしかしたらお養父様かもしれませんし⋯⋯」
「おや、私やオリーの心配もしてくれるのかい?」
「勿論ですわ。お二人がお強いとは聞いておりますが、心配は致します」
「嬉しいね。だけど大丈夫、警戒は怠らないよ。⋯⋯シア、今も感じるかい?」
「はい。ずっとざわざわしています。とても嫌な感じです。だけど、此処では何処からか分からないです」
この邸内からは何も感じない。
此処ではない。
「今日のシアの予定は確か数学と帝王学だったな」
「そうです。ですので離宮へは行きますが、邸の外へ出ることはありません」
「レオンも確か語学と数学だったな。今日は皆邸にいるなら外を固めておこう」
「はい、よろしくお願いします」
お養父様は何かを考えている様子で、ふと顔を上げ私と視線を合わす。
「シア、安全の為彼方に泊まるか?」
その提案に驚いたけれど、流石に泊まることはしない。
「流石に過保護ですわ。こちらに戻ってきます。それに私だけが安全な所にいるわけにはいきません」
「そうか。わかった」
話が終わり、私は朝食を頂いた後、今日の授業へ向かう。
数学は彼方でも得意だったので、難なくこなす。
帝王学は離宮で行うので、昼食後に転移陣の部屋へ向かった。
部屋にはいつも通りクレーメンスが居たので、挨拶をしてあちらに連れていって貰う。
今回の事もきちんとお祖父様にも報告しなきゃいけないわよね。
既にご存知かもしれないけれど。
部屋に着き、クレーメンスが声をかけると直ぐに部屋に通された。
「ごきげんよう、お祖父様」
「ごきげんよう、ステラ。そこに座りなさい」
「はい。失礼致します」
私はソファに座った。
「お祖父様、授業の前にお話ししてもよろしいですか?」
「あぁ、勿論だ」
「昨夜、エストレヤ、精霊と会いまして、注意を促されました。瘴気の気配がすると。流石に離宮に来ると全然分かりませんが、彼方にいるとざわざわと気配を感じるのです。勿論今朝伯父様にも伝えました」
「そうか、まぁアルノルドなら難なく対処するだろう。だがステラは気を付けろ」
「はい。警戒は怠りません」
「ならよい。では授業を始めようか」
あっさりと話が終わり、お祖父様の授業を受ける。
お祖父様なら泊まっていけとか言うかなと思ったのだけれど、この日は何も言われず、授業が終わったら「また来週だな」と挨拶をして私はシベリウスに戻ってきた。
私は何故か心に引っ掛かりを覚えた⋯⋯。
食後の団欒の時、お養父様からの話を聞いていた。
今日は何事もなかったみたいなので安心をした。
だけど明日は訓練の日なので騎士団へ向かうので、その時は周りに気を付けなさいと注意をするよう、お兄様と一緒にエドガーやクラースから離れないよう、よくよく言われた。
明日の心配を今から心配しても仕方ないので、私はいつも通りの夜を過ごす。
この日は特に起きることもなく、よく寝れた。
翌日の訓練日。
お兄様と一緒に騎士団の訓練場でへ向かう。
何事もなく訓練場に着き、午前の魔法訓練を終えた。
その後、お兄様と昼食を頂き、午後の訓練に備える。
私達は訓練場へと赴き、皆と挨拶をする。
和やかに話をしていると、先生方がいらっしゃった。
そういえば、今日はラルフがいない。
先生も気付いたようだが、連絡はないみたいなので、無断欠席なのかもしれない。
駄目でしょう。
休むなら連絡しなきゃ。
気にしていても仕方ないので、サムエルの訓練をエミーリオとお兄様と一緒に受ける。
訓練も終盤に差し掛かり、疲れが見え始めた頃、私は急に背筋がぞわっと、言い知れぬ気持ち悪さに襲われた。
――何これ⋯⋯、何か、こっちに来る!
そう直感で思った。
だけど、顔にはおくびにも出さす、然り気無くサムエルの所へ行く。
お兄様がちらっと此方を見る。お兄様も何かを感じているのかもしれない。
サムエルも何かを感じ取っているようだ。
「サムエル、何か来るわ。とても、嫌な感じがするの。私が毒で襲われたときと同じ⋯⋯」
「アリシア様、私から離れないように。私も感じていますが、アリシア様程ではありませんし、多分漏れないよう阻害されているのかと。騎士団の中にも何か感じているものが数人いるようですが、違和感程度でしょう。周囲をさりげに注意しているようですが⋯⋯細かい方角等分かれば教えていただけますか?」
「分かったわ」
私はサムエルの近くで気配を探る。
ただ、ぶわっと全体に広がっていて、此処っていう場所がまだ分からない。
私は一度深呼吸をし、先ず自分を整える。
目を閉じて気配を探る。
そうすると、一点に凄く渦巻く憎悪の塊が見えた!
「サムエル、訓練場の入口からこちらに向かって来るわ。憎悪が凄くて、気持ち悪い⋯⋯」
「訓練は中止だ! 訓練生は各教官の指示に従え! レオナルド様、エミーリオはアリシア様の側に。 騎士は訓練場の入口付近に注意しろ!」
「シア! 顔色が悪い、大丈夫?」
「大丈夫ですわ。瘴気に当てられてるだけなので」
――来る!!
「サムエル、注意を! 入口方面から勢いでこちらに来ます!」
「魔物だ!! 殲滅せよ!」
「何故魔物がこんな場所に!?」
入口付近にいてた騎士団の人達も視認したのか、叫んだ!
だけど、急に増えた、というか、その憎悪の塊から何匹もの魔物が出てきたせいか、塞き止めることができず、何匹かすり抜けて此方に迫ってくる!
サムエル達先生方が前に出て応戦する。
私達訓練生は邪魔にならないよう全員一ヶ所に集まっていた。
初めて魔物を見る者もいるようで、固唾を飲んでいたり、震えていたり様々だ。
お兄様は厳しい目で見ていた。
私は憎悪の塊から塊が何なのかを見極めるためにそちらを見ていた。
だけど、急に上からぞわっと何かの気配を感じ、上を見ると魔物が迫っていた。
私は咄嗟に防護魔法を訓練生達を包むように展開する。
私が張った魔法と魔物がぶつかり、バチッと魔物を弾く。
その音で魔物の存在に気付いた訓練生が悲鳴を上げる。
私は防護魔法を張りながら炎の矢を想造し魔力に乗せそのまま躊躇なく放った。
隣にいたお兄様も同じタイミングで攻撃を仕掛けていた。
私が放った矢と、お兄様の攻撃は魔物に直撃し、魔物は切り裂かれ、炎に包まれたが、その魔物をユーグ先生が止めを刺す。
「アリシア様、そのまま防護魔法を張り続けておいてください!」
「分かりましたわ!」
サムエルの指示で私は魔法防護を維持する。
が、憎悪の塊の存在感が増した!
私はふと、そちらを目を凝らして見る。
「あれは⋯⋯」
「シア?」
お兄様に呼ばれたけれど、私はその塊を凝視した。
――あれは、ラルフだわ!
「サムエル! あれはラルフです!」
「は?」
「見間違えではありませんわ! この暗い感情、憎悪、全て彼の感情です。それに、何か⋯⋯」
私が言葉を言いかけた一瞬、ラルフが消えた!
と思ったら目の前に現れ、私が張った防護を破ろうとしている。
だけど、私も破られまいと強化する。
何かぶつぶつと呟いている。
正気はない。
近くで見ると焦点もあっていなくて、生気がなく、瘴気に飲まれている。
ただ、彼の心の闇が噴出しているだけ。
私はふと、彼の首もとを見ると、そこには黒く煌めく宝石みたいなのが付いた首飾りがかかっていた。
それをよく見ると、魔道具のようで瘴気はそこから漏れ出ている。
そこから、というより、心臓に近い位置にあるのが気になり、もしかしたら彼の命を糧に彼の心の闇を増長させているのかもしれない⋯⋯。
そんなことしてラルフの命は大丈夫なの!?
私は考えながらも彼が気になる言葉をぶつぶつと呟いているのが聞こえてきた。
だが、次の瞬間サムエルが彼に斬りかかる! が、瘴気の濃さが増して剣が届かない。
私は一瞬サムエルが斬りかかったとき、あの首飾りの黒光りが増した気がした。
あれが一番の原因かも!
あれさえ取り除ければ⋯⋯。
そう思っていると、また魔物が出てきた!
「サムエル!」
私はサムエルに首もとを指し示す。
私の考えが分かったようで頷くと、ラルフの隙をつき、そこに狙いを定めるが中々瘴気と魔物にはばまれ届かない。
――どうにか隙を作れないかしら。
彼が抱くのは貴族に対しての怒り。
私は、自身が張った防護魔法の外に出た。
「シア!? なにを!」
「アリシア様いけません!!」
ラルフが気付いて此方に向かってくるが、私は私にだけに防護を張った。
そして彼の目の前で強烈な光を弾けさせる!
その一瞬の隙でサムエルが首飾りを切り落とすと、瘴気が霧散して消えた⋯⋯。
――はぁ⋯⋯良かった。
「サムエル、彼は生きていますか?」
「心臓はかろうじて動いておりますが、正気が戻るか⋯⋯難しいかと思われます」
「そう。何とか彼の意識が戻れば良いですが⋯⋯」
「アリシア様、彼に慈悲を与えるのですか?」
「彼のしたことは子供といえど許される事ではありません。ですが、彼を唆した者が分かればとは思います。何より、彼の意識が戻ったとしても、裁くのは私ではありませんわ。そのような権限はありません」
失われていい命はない。
けれど、彼のしたことは許されない。
どんな理由があれど⋯⋯。
ただ、まだ子供なのでやり直せる機会があればとは思う。
難しいかもしれないけれど。
「シア!」
「お兄様?」
「僕は怒っているからね、何故か分かってる?」
「はぁ。因みに、私も怒っていますよ」
レオンお兄様は顔色が蒼白なのと、目が座っていてちょっと怖い。
サムエルは、無表情に近い⋯⋯。
「勝手をし、心配をお掛けして申し訳ありませんでした」
私が悪いのは分かっているので、素直を謝った。
「ほんとだよ! どれだけ心配したと思ってるの! シアはもっと自分を大事にして!」
「アリシア様、貴女の護衛を勤めるものとしては、あの行動は心臓に悪いですよ。そして、貴女は自ら囮になってはいけません。わかりますよね?」
「はい。お兄様、サムエル、ごめんなさい」
私も流石に自分の行動が軽率なのが分かっているので、素直に謝る。
きっとあちこちから説教の嵐が来るだろうけど。
「サムエル達は怪我はありませんか?」
「あれぐらいの相手ならそう怪我はありませんよ」
良かった。
ラルフが現れてから長く感じた時間はそう経っていないが、取りあえず終わったことにほっとした。
他の教官達は訓練生達のフォローに回っていた。
誰も怪我することなくて良かった⋯⋯。
私はほっとすると、急に酔ったような気持ち悪さに襲われて、足元が揺れたと思ったら、何故か地面が近づいていた。
「アリシア様!」「シア!?」
名を呼ばれたけど、返事ができず、そのまま転けると思ったけれど、力強い腕に支えられた。
ちらりと目を向けると、お養父様が側にいた。
「お⋯⋯と、さ」
「シア話さなくて良い。あまり無茶をしてくれるな。少し休みなさい」
私はその言葉を聞いて、安堵から瞳を閉じた⋯⋯。
「シア!?」
「瘴気に当てられただけだ。シアは繊細だからね。イクセル、シアを邸へ。オリーが邸で待機している。訓練生達は一度騎士団の医務室へ移動させ精神状態の確認を。騎士団はバルトの指示に従え。ラルフに関しては厳重に監視を。正気が戻れば良し、戻らねば仕方ない。今回の詳細を聞きたい。順次報告を⋯⋯」
私がお養父様の声を聞き取ったのはここまでで、その後は意識を失い、ただ、気持ち悪さと頭がとても重かった⋯⋯。
目を覚ますと、そこは邸の部屋だった。
辺りは真っ暗で誰もいない。
まだ少し頭が重いし、気持ち悪い。
水差しが置いてあったので、水を飲むと少しスッキリとした。
ベッドから降りて窓辺による。
外を見ると満天の星がとても綺麗に輝いている。
あれからどれくらい眠っていたのかしら。
あの後どうなったのか、とても気になる。
後もう一つ気になる事が⋯⋯。
「サムエル、そこにいますね」
私は暗闇にそう静かに声をかけた。
「よくお分かりになりましたね」
普通部屋の中に、子供とは言え女性の部屋に、それも男性の護衛騎士が中にいるはずはない。
だが、サムエルは側にいた。
窓に映るのは騎士服ではなく、もっと違う姿で跪いている。
「貴方は影ですね。お祖父様の指示ですか? それとも、お父様?」
「先代国王陛下の指示です」
「そう。私はお祖父様に試験をされていたのね。今回の件は、不合格かしら」
私は立場的に動いてはいけないところで動いた。
王女としては失格だろう。
「今回の試験ですが、合格とも不合格とも言えません。そして、今回の試験に関しては、別の目的があるからです。そちらに関しては合格です」
「私の行動や言動を試験していたのではないのですか?」
「そちらはイェルハルド様の試験です。もう一つは私の目的で見させていただいていました。勿論許可を頂いてのことですが⋯⋯」
「貴方の目的?」
「はい。私が貴女様を命を懸けてお守りするに値するか、我が主として足る人物かをです」
私が主として足る人物か?
どういうことかしら。
あの時お祖父様は⋯⋯、いえ、違うわ。
あれはそういうことね。
「私に影が付くのは早くて学園に入学する時だろうと言っていましたが、あれは、今回の件に関しての伏線ですか」
「左様です」
「テオドルも同じね。そして、彼は貴方の兄弟、ですか?」
「仰る通りです。テオドルは私の一つ下の弟。同じく影を勤めております。弟は貴女様と関わったあの二日間に満たない間に貴女様を主と迷わず決めました。ですが、私はもう少しお近くで見ておきたいと、イェルハルド様にお願いをして、今に至ります」
「そう。私はお祖父様というより貴方に見られていたのね。それで、合格ということですけど、貴方のお眼鏡に適ったということかしら?」
「!! 主となられる貴女様を試すような真似を致しましたこと、誠に申し訳ございません。如何様にも処罰をお受け致します」
「別に怒っていないわ。それと、今は私と貴方の二だけなのだからそこまで畏まる必要はないわ。それに、貴方にとっては大事なことでしょう。自身の主が命を懸けるに値するか、自分の命が掛かっていますもの。当たり前の事だわ」
私にそんな価値はない。
そこまで仕えられるような事が出来てないもの。
私よりもヴィンスお兄様を護ってほしい。
ここにいる間というより、王宮に戻らない限りは要らないと思う。
「話が終わりなら下がりなさい」
「終わりではありません! 殿下、私は貴女様にお仕えしたく存じます。お許しいただけないでしょうか?」
「何故そこまで私に拘るのですか? 私よりもヴィンスお兄様を護ってほしいです。それにお兄様の方が主としては良いでしょう?」
「我々影は王の下で動きます。ですが、殿下方専属の影は、その中から数人選ばれ、最終、殿下にお仕えするかは影本人の意志と殿下方の意志が尊重されるのです。ヴィンセント殿下には既に命を捧げた数人の影が付いておりますのでご安心を。私は貴女様に、エステル王女殿下にこの命を捧げることを望みます」
サムエルの真剣な声を聞いて、私は外へ向けていた身体を彼の方へ向けた。
彼は今までに見たこともない真っ直ぐ決意の固い目を私に向けていた。
――本気、なのね。
「⋯⋯理由を聞いても?」
「殿下はきちんとご自分の立場をご理解していらっしゃいます。決断を下さないといけない時、厳しい決断も下せる事が出来るでしょう。ですが人を思い遣る心、厳しい中にも優しさがあります。私はそんな優しさある貴女様の心を守りたく思います。その為に、殿下の手足となり命を捧げます」
私はそんなに想って貰えるような出来た人間ではないのだけれど。
だけど、サムエルが私をそこまで思ってくれるのなら、その期待に応えたいとは思う。
人の命を預かると言うことはとても重い。
重いけれども、背負わなければならない。
サムエルは目を反らすこと無く、私を見ている。
私も反らすこと無くサムエルを見る。
暫くそうしていたが、私は一呼吸ついた。
「分かりました。貴方を、私の影としてその命、預かります」
「有り難く、誠心誠意お仕えさせて頂きます。このまま契約を交わしたく存じますが、契約の事はイェルハルド様にお聞きしていますか?」
「えぇ、聞いています」
そう、この間の授業の時にお祖父様に教えていただいた。
もしかしたら、こうなる事が分かっていたからだろうか。
どちらにしても学ぶ事には変わらない。
サムエルは私に近づき再度跪くと自身の双剣を私に差し出す。
私は私の力が漏れないよう、結界を張る。
その後、私の力を、色を抑えている魔道具を外す。
私は本来の私に戻る。
サムエルは驚いたようだけど、私としては契約を交わすのに、仮の姿ではなく本来の色で臨みたい。
私は少しの緊張をもってサムエルに近づくと、双剣に触れる。
そして一度呼吸を整える。
「私に仕えるものに名を。“アステール”を与える」
「我が名はアステール。我が剣を、我が命を、エステル・ヴィルヘルミーナ・グランフェルト王女殿下に捧げ、永遠の忠誠を誓います」
「私、エステル・ヴィルヘルミーナ・グランフェルトは、アステールの剣を、命を、我がものとし、その命尽きるまで尽くすことを許します」
契約の言葉に魔力を乗せて行う儀式。
言葉を言い終えると、私は彼の剣で指を少し切る。
その血を彼に与えると契約は終了となる。
契約の義
これで、サムエル、改めアステールは私の正式な影となった。
私は万全ではない中行ったので、目眩を起こしたが、彼が私を支えてくれる。
そして私に魔道具を着け、ベッドに運んでくれた。
「アステール⋯⋯」
「万全ではない中、契約を頂き感謝を。今はお休みください。我が主。後の事はお任せを」
「えぇ、任せ、ま⋯⋯」
「ゆっくりとお休みなさいませ」
私は疲れから直ぐに気を失うように眠りについた。
ご覧いただき、ありがとうございます。
次話もお読みいただければと思いますので、よろしくお願い致します。