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目覚めた世界が私の生きる場所  作者: 月陽
第1章  大切なもの
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50  魔力操作の基本と応用


 今日はお兄様と一緒に騎士団へと向かった。

 勿論鍛えるためだ。

 この日はエーヴェに仕立てて貰った訓練服を早速着てみたら、レオンお兄様にとても好評だった。



「シア! 今日の服も素敵だね。シアによく似合っているよ」

「ありがとうございます。お兄様もとても格好良いですわ」

「シアに誉められると嬉しいな」



 レオンお兄様は本当に嬉しそうにニコニコしている。


 

「今日は久しぶりですので、緊張いたします」

「そんなに緊張しなくても、シアの休んでいた事情は知っているから大丈夫だよ」



 私の事情。

 勿論、精霊界に行っていた本来の事情とは違い、街中で襲われた時の事だ。

 魔力暴走を抑えて気を失ったと⋯⋯。

 それで暫く休みとなった事。



「リュシアン先生も心配してたよ」

「本当に⋯⋯?」



 私は胡乱げにそう聞いた。

 あの先生、私がぽんぽん術を発動するからか少し引かれているのは気づいていたけれど、あの先生が私を心配するのかな。

 雑談をしていると、騎士団に着いたので、そのまま訓練場へ向かうと、他の授業を受ける生徒達が既に待っていた。

 それだけでなく、騎士団長のベルンハルド様までそこにいたので驚きだ。

 こちらに気付くと近づいてきた。



「姫様、お元気になられたようで安堵致しました」

「今回はご迷惑をかけてごめんなさい」

「迷惑などと! 姫様は領民を助けただけですよ。誇れることです」

「だけど、抑えたとはいえ魔力暴走を引き起こしかけたのよ。叱られる事だわ」

「姫様はご自分に厳しいですね」

「普通だと思うけれど⋯⋯」

「普通の子供は自身に甘いですよ」

「レオナルド様といい姫様といい、ご自身に厳しすぎるのは時としてよくありません」

「えっ、なんで僕まで?」

「分からない振りはなしですよ」



 気まずそうに視線を泳がせるお兄様。

 何かあったのかしら?

 私は首をかしげると「シアは気にしなくていいよ」と言われてしまった。

 ハルド様を見ると、彼も「お気になさらず」と⋯⋯、とても気になるけど、まぁいいか。



「本日は一日こちらで魔法と剣術をお教えすることになりますが⋯⋯、姫様、本当に習うおつもりで?」

「勿論よ」

「意思は固そうですね」

「ハルド、シアは意見を曲げないよ」

「⋯⋯そのようですね」



 何故そこまで確認が必要なのかしら。

 それほど頼りないと思われてるのね。

 これは頑張って見返すしかない。

 私は密かに決意した。



「姫様、前回と同じくリュシアンと今日からクレールも加わって二人体制で魔力操作並びに魔法をお教え致します」

「よろしくお願いします」

「では、各々訓練開始だ!」

「「「はい!」」」



 前回はリュシアン先生だけだったけど、今回からクレール先生も一緒みたい。

 もう一つの班には別の先生が付いたようだ。

 私達の班は、二人の先生に付いて行き、早速始める。

 その前に、リュシアン先生が私に話しかけてきた。



「お身体は平気ですか?」

「はい、大丈夫です。ご心配をお掛けしてすみません」

「いえ、魔力暴走をご自身で抑えたと聞いた時は焦りましたよ。本来爆発しそうな熱量を抑えようと思ったらそれ以上の気力と魔力も必要となります。なので身体への負担も酷いのですよ。下手をすると命に関わりますから」



 ――えぇっ!? そんなに危ないことだったの!?


 

 リュシアン先生の言葉に驚き、そうとは知らずに抑え込んだ私って⋯⋯、よく生きてたわね。



「ですので、今後このような事がないよう、今日からは厳しくいきますよ」

「わかりました! よろしくお願いします」



 私は基本の魔力操作を徹底的行った。

 そして、あの時氷の矢を放ったのだが、それが平常の今も出来るか試してみる。

 私は想造し、魔力に乗せる。

 そうすると、手には氷の矢が出来た!

 それを見たお兄様が興味津々という風に見ていた。



「それが賊を倒した矢?」 

「はい、お兄様」

「よく咄嗟に思い付いたね、これ。しかも追尾まで付けたんだよね」

「あの時はそのまま放ったら避けられたり、あの子に当たってしまう可能性もあったから、あの者だけに当たるように一緒に想造しましたの」

「一瞬でそこまで考えて想造するなんて、恐れ入る」



 先生達も驚いていた。



「お嬢様も平常でそこまで想造出来るなら、二人一組になろうか! 組合せは、エリクとレオナルド様、ジルとアリシア様でやってみよう。今からやることは、魔力操作の一環だが、相手に想造してほしい事を伝える。それを聞いたら実行する。といった具合に進める。自分では思い付かない事を言われたら、それが更なる自分の糧になるからがんばれ! 勿論使えない属性を言うのは無しだ。エリク組には、クレールが、ジル組は俺が見る。さぁ始めよう」



 先生の号令でジルと組する。

 私は「よろしくお願いします」とジルに挨拶をする。

 ジルは緊張した面持ちで、「よろしくお願いします」と挨拶を返してくれた。



「まずは、お嬢様がジルに課題を出してみましょう。ジルの属性は水です。さぁどんな課題を出しますか?」

「そうですね⋯⋯では此くらいの水玉を三つでどうですか?」



 私は指で輪を作ってみせた。

 同じものをって難しそうよね。



「なるほど、同じ大きさとなると緻密な想造が必要だな。ジル、試してみよう」

「はい!」



 私はジルの手を見つめる。

 ジルは集中し、掌に同じ大きさの水玉を三つ出した。



「良くできたな。ジルは器用だから緻密なことは得意だな。さて、次はジルがお嬢様に課題を出す番だ。ちなみに、無属性だから何でもいいぞ」

「は、はい!」



 ジルは少し考えて、私に課題を出した。



「小さい風の渦をお願いします」

「分かりましたわ」



 私はジルの出した課題通りの想造をする。

 掌に渦巻く感じで魔力を乗せると、ぶわっと小さい風の渦を出した。



「これくらいでしょうか?」

「本当に渦巻いてる! しかも渦巻き具合が強い」

「いや、ほんとに凄いなこれ⋯⋯どっちかと言うと災害級だぞ」

「⋯⋯渦の強さが分からなかったので、渦だと分かるようにしてみたのですが、いけませんでしたか?」

「ダメではないが⋯⋯。いや、まぁ絶対放つなよ」

「そんなことしませんわ。流石にこれを放ったら危険なことくらい分かります」



 私は出していた風の渦を霧散させた。

 暫く、このように交互に課題を出し合い練習していく。

 途中、組を交代してエリクと組する。

 そして、同じように課題を出し合う。

 エリクは二つの属性を持っていた。

 地と水で、相性の良い属性だ。

 なので、私は地と水と交互に課題を出してみたら、エリクは想造するのが早くて上手だった。

 何度かしたら、今度はレオンお兄様とだった。

 お兄様の属性は火、風、水、光の四属性持ちだった。

 無属性意外の属性を二つ以上持つことは珍しいとのこと。

 お兄様にどんな課題を出そうかな⋯⋯。



「シアの考える課題って難しそうだよね」

「そうでしょうか? 簡単な方がよろしいかしら?」

「いや、難しいのでいいよ」



 お兄様がそう言ったので、私はこんな課題を出してみた。



「では、虹がみたいです!」

「いいよ! 見てて!」



 そう言うと少し強めの光を出し、それを背に水を霧雨のように降らす。

 すると、綺麗な虹が出来た!



「わぁ! お兄様凄いです! きれい⋯⋯」

「シアの課題をきちんと出来てよかったよ」

「待て待て、そんな大規模なものを作らなくていいです! 皆驚いてますよ!」

「「えっ?」」



 ほんとだ、皆こっち向いてる。

 私とお兄様は素直に謝った。



「「ごめんなさい」」

「では次はお兄様の番ですわね」



 気を取り直して、お兄様に課題をお願いした。

 どんな課題を出されるんだろう。

 楽しみ!



「シアは無属性だし⋯⋯あっ、そうだ! 闇の中に光って出せるかな? 勿論規模は小さくていいよ。両手くらいで闇を出して、その中央に光をだす」



 なるほど、彼方でいうとブラックホールの反対って感じかな。



「やってみますね」



 私はブラックホールの想造をしつつ、中心に光を造る。

 そのまま魔力に乗せて両掌へ出す。

 ちょっと不安だったけど、出来た!



「どうですか、お兄様?」

「きれいだね⋯⋯」

「これは⋯⋯ほんとにすごいな。幻想的だ」



 先生まで魅入ってる。

 えっと、何時までだしてればいいのかな?

 消していいかな?



「もうよろしいですか?」

「うん! ありがとう」

「ほんとにお二人には恐れ入る」



 楽しくて色々試してみたけれど、どれも上手くいって良かった。

 午前中の魔力操作の授業はこれで終わり、私達は先生にお礼をいって、昼食へ向かった。

 

ご覧いただき、ありがとうございます。

ブクマや評価もとても嬉しいです。

次話も楽しんでいただければと思いますので、よろしくお願い致します。

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