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目覚めた世界が私の生きる場所  作者: 月陽
第1章  大切なもの
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48 一ヶ月前の企み


 なんとか面会が終わった翌日からはいつもの日常に戻った。

 私の授業再開は明日からだけど、今日は一日自習をする予定。

 まだまだ分からないことが沢山あるから、勉強はつきない。


 午前中は図書室でお勉強をし、部屋へ戻って昼食をいただく。

 その後、もう一度図書室へ行こうと思っていると、お養母様に呼び止められた。



「シア、どこへ行くの?」

「予習をするのに図書室へ行くのですが⋯⋯」

「図書室へ行くのは後にして、少しいらっしゃい。明日からの授業の事で話があるのよ」

「分かりましたわ」



 お養母様に付いていくと、そこはこの間お茶会をしたサロンだった。

 そこにはレオンお兄様もいらっしゃって、私達を待っていた。



「ごきげんよう、お兄様。午後からの授業はありませんの?」

「ごきげんよう、シア。今日は急遽休みとなったんだよ」



 私達は挨拶をして席へ座る。

 お兄様の授業は無くなったのね。

 お茶の準備がされ、侍女達は下がる。



「この三人だけでお茶をするのは初めてね」

「そうですね。けど急に集まってどうしたのですか、母上?」

「たまにはいいでしょう? 貴方の授業もお休みとなったのだから。それとも嫌なの?」

「勿論嫌ではないし、嬉しいですよ。だけど気になるじゃないですか」

「そう? シアはどう?」

「えっ、(わたくし)はお養母様達とこうしてお話し出来ることが嬉しいので、特に気になりませんよ」



 お養母様は何か企んでいるのでしょうか?

 お兄様が気にされているということは、前にも何かあったのかな?

 レオンお兄様はお養母様をじっと見つめている。

 私が不思議に思っているとお養母様が答えを教えてくれた。



「ふふ。レオンはよく分かっているわね」

「やはり何か企んでいらっしゃるのですね! 何となく想像できるけど!」

「母に対して失礼ね。貴方の想像通りで、もうすぐアルの誕生日でしょう? 今年は何をしようかしら」

「お養父様のお誕生日が近いのですか?」

「そうよ! 一ヶ月後にあるの。毎年こうやってレオンやマティと何をしようか一緒に考えているのよ。贈り物を渡すだけでは味気ないでしょう?」

「ちなみに、去年は何をされたのですか?」

「去年はアルに皆でケーキを作ったのよ」

「お養母様がお料理されるんですか!?」



 お養母様って、お父様の姉なので、結婚する前は王族だったのに、お料理することに驚いた。



「そんなに出来ないわよ。ただ、アルがね『オリーの作った物が食べてみたい』なんて言うからそれだったら皆で作ろうかなって思ったのよ」

「なるほど、それでケーキを作られたのですね。今年は何か言われたのですか?」

「何も言われていないわ。だから悩んでるのよ」



 難しいですわね⋯⋯。

 お養父様と過ごし始めたのはつい最近の事だし、何を好きかも知らないし、私の意見っているかしら?

 けど、沢山お世話になっているから、お礼がしたいな。



「お養父様って何がお好きなのでしょう?」

「そうねぇ⋯⋯特にこれが好きとかは無いのよ。お酒もさほど飲まないしね。だけど意外にケーキとかは好きみたいよ。甘過ぎないものが好みみたいだけど」

「なるほど⋯⋯」

「何か閃いたの?」

「少し⋯⋯モニカ、紙とペンを」

「畏まりました」

「シア?」

「彼方の知識なので⋯⋯」



 私は小声でお養母様に伝えた。

 モニカに用意して貰った紙に、内容を書き上げていく。

 見た目も楽しめて、此方に無さそうな物。

 男の人だし、甘すぎなきもの⋯⋯。

 これなら、自由だし、味を何種類か作っても良さそう。

 私が思い付いたのはクロカンブッシュ。

 シュークリームが此方であるのかが分からなかったので、絵で説明しようと紙に書いた。

 私は詳細を書いて、お養母様にはみせる。

 お養母様は私が書いた紙を見て、目をキラキラさせていた。



「お養母様、いかがですか?」

「良いわね! 面白いわ!」

「シア、僕にも見せて!」



 レオンお兄様もお義母様から受け取った用紙を見て目が輝いた。

 で、肝心のシュークリームが此方(この世界)にあるか何だけど⋯⋯。

 あれば話は簡単なんだけどね。

 シュークリームがあるかお養母様に確認するとあるらしい。

 今度はお菓子の本でも探してみようかな。

 知っていれば話が早いし。



「今年はこれに決定しましょう!」

「これ、僕も楽しみだよ」

「レオンも一緒に作るのよ」

「皆で作るのが楽しみですね」



 私達は一ヶ月後のお養父様のお誕生日に贈るケーキを作成することで決まった。

 ところで、私の明日からの授業の話はどうなったのでしょう?

 話がこれだけでは無い筈なんだけれど。

 一つの話が終わったところで、モニカ達が新しくお茶を淹れてくれたので、それを飲んでお養母様の話を待った。



「話は変わるけど、シアの明日からの授業なのだけれど⋯⋯」



 忘れられていなかったみたい。



「明日の午前中は歴史、現在史。午後からは(わたくし)の淑女教育よ。これを渡しておくわ。明日からの予定を書いているので目を通しておきなさい。こっちはレオンの分よ」

「あれ、僕の予定も変わるのですか?」

「シアの予定に合わせて少し変えたのよ」

「なるほど。わかりました」



 明日からようやく授業再会。

 色んな事があって、暫く勉強から遠ざかっていたから緊張するわ。

 だけど、知識を得ることは大事だものね。

 また明日から心機一転、頑張ろうと気合を入れた。

 

ご覧頂き、ありがとうございます。

ブクマや評価をありがとうございます。

とても嬉しく、励みになります

次話も楽しんでいただければと思いますので、

よろしくお願い致します。

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