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目覚めた世界が私の生きる場所  作者: 月陽
第1章  大切なもの
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46 心の問題


「エストレヤ、確認したいのだが、瘴気は人に、主に心に深く影響を及ぼすだろう? それを無理に解こうとすると命が失われる。と言うのが私達の認識だが、命を脅かさず解く方法はあるかな?」



 そう、それが解決できればヴィヴィの呪術を解き、情報をえることが出来るかもしれない。

 今回の事だけでなく、これからもこう言うことがないとは言えない。

 分かっていれば対処も出来る。



「そうだねぇ。その認識で合ってるよ。⋯⋯その人の心にも因るけど。心を操られると言うことは、その人の心の弱さも原因だからね。大体そういった人は脆い。簡単には解けないだろうね」

「原因が分かれば可能?」

「原因?」

「そう。心の弱さに付け込まれたと言うことは、何かしら原因があると思うの。それが分かれば解決することも出来るかもしれないでしょう?」

「そこは人の心によるから何とも言えないなぁ。解決できるかもしれないし無理かもしれない。人間って複雑だからねぇ」



 まぁそうだよね。

 結局はその人の何が原因で、その原因の内容にもよるし、出来なくもないけれど、難しいところね。

 そういえば、此処には心の問題を解決するとかそういった概念はあるのかしら?

 そう言うのがあれば、少なからず付け込まれることも減ると思うのだけれど⋯⋯。

 そうそう出来ることでもないわよね。



「エステル?」



 ほっぺをぷにぷにされてるのに気付いて顔を上げると、三人ともこちらを見ていた。

 ちなみに、私のほっぺをつついてたのはエストレヤ。



「シアは何を考えていたのかな?」



 あっ、此処での呼び名に変わってる⋯⋯。



「心の問題という点について考えていました」



 皆揃って首を捻っていた。

 これだけで分かるはずもない。



「彼方の知識ですが、きっと何処の世界にも心に問題を抱えている人は少なくないはず。それが、家族の事だったり、仕事や人間関係。生きている中で何かしらあったりするでしょう? 心の強い人、前向きな人とかは自身で解決も出来るでしょうが、そうでない場合、第三者に守秘義務が守れて、相談に乗り、心の病を和らげてくれる機関が彼方にはあったのです。此処にもそう言ったものが出来れば少なからず辛い思いを一人で抱えること事なく、そういった隙を与えずに済むかなと思うのですが⋯⋯ただ、かなりいろんな問題が出てくるとは思います」

「確かに難しいな。一般向けには良いだろうが、相手が貴族ともなるとな⋯⋯。矜持が高い連中が多いから、相手にされないだろうな」

「そうね。発想はとても良いけれど、それを行うにしても、人選の問題、場所、どのように話を聞くか、守秘義務等の問題が盛りだくさんね」

「人って面倒だね⋯⋯。またそこが面白いんだけどね」



 エストレヤは見も蓋もないことをいう。



「だが、悪くないかもな」

「お養父様?」

「どうするおつもり?」

「今度、王都の会議でユリウスとエリオットの二人に話す機会があるからあいつらに話してみよう」

「何故セイデリア辺境伯とベリセリウス侯爵に?」

「こちらばかり提案し力を持つわけにはいかないからな。エリオットは事情を知っているし、ユリウスは何も知らないが、あいつに知らせない訳にもいかないだろう? シベリウス辺境領(ここ)とは双璧と言われ兄弟領とも言われているし。知らせたところで口は固いから漏れる心配はない」

「確かにそうね。ユリウスに何も言わないで、後から知られたらそれこそ面倒なことになるわね⋯⋯」



 なんだか、私の事を知る人間が増えていってる気がするんだけど、良いのかしら?



「エステル、大丈夫だよ。僕達が付いてるからね」

「エストレヤ? (わたくし)はこれから鍛えて強くなるつもりよ」

「あー⋯⋯、エステルが鍛えたら、それは強くなりそうだよねぇ」



 私たちの会話を聞いていたお養父様達は苦笑していた。



「この件に関しては取りあえずここまでにしよう」



 この件に関しては?

 他に何か話すことあったかしら?



「シア、貴女が襲われた時に助けた子の事だけれど、母親が貴女に会ってお礼が言いたいと言っているのだけど、会う?」

「どちらかというと(わたくし)のせいで巻き込まれたので、お礼を言われるのは違うと思うのですが⋯⋯」

「まぁそうだけど、あちらとしては娘を助けて貰ったのには違いないからな。私は会っても良いと思うよ」

「分かりましたわ。お会います」

「ではそのように手配しよう」



 取りあえず、真剣な話しは終わった。

 私はお茶を飲み、お菓子を摘まもうと思ったのだけれど⋯⋯、あれ⋯⋯、ない?

 まさかエストレヤ一人で食べちゃったの!?

 私はエストレヤを凝視したら、気まづそうに視線を反らした⋯⋯。

 一人で食べちゃったんだ⋯⋯。



「だから言ったろ? エストレヤは食いしん坊だって」

「まさかここまでとは思いませんでした⋯⋯」

「とっても美味しかったよ! ご馳走さま」



 精霊って一体⋯⋯。

 まぁ、エストレヤにはお世話になりっぱなしだし。

 私が作ったわけではないのだけれど、満足してるのならいいのかな。



 お養父様が呼び鈴を鳴らし、侍女達を招く。

 お茶とお菓子を少し持ってくるよう指示を出す。

 ちなみに、エストレヤの姿は彼女達には見えないみたい。

 直ぐに代わりのお菓子と温かいお茶が用意される。

 彼女達の仕事は凄い。


 今度はエストレヤに全部食べられないように、お菓子を摘まむ。

 沢山お話ししたのでお腹は空いていた。

 どれも美味しいけれど、今日のスコーンはベリーが入っていて甘酸っぱさもあり、美味しい。


 ぱくぱくと、けれどマナーを守って上品を心掛け食べていると、お養父様達に笑われた。



「よっぽどお腹空いていたんだな」

「シアはちゃんとマナーを守って食べれてるから構わないわ」



 淑女教育の先生でもある、お養母様に誉めて貰ったので一安心。

 あっ、私のお勉強が大分遅れてる気がする⋯⋯。


 

「何か気になることでもあるの?」

「いえ、色々とありましたので、(わたくし)のお勉強が大分遅れてるのではと⋯⋯」

「これくらいで丁度良いのでは? 貴女は人よりもとても物を知っているし、勉強は勿論大事だけれどね。語学もヴァレニウス語は殆ど完璧だとセーデンが話していましたよ。もう次の言語を勉強し始めようかと。歴史や現在史も覚えるのが早くて、何処まで教えれば良いか悩んでいると⋯⋯」

「でしたら、魔力操作や剣の稽古を増やしても良いでしょうか?」

「そうだなぁ。シアは⋯⋯ほんとに何があるか分からないからな。学んで損はないから増やそうか」



 私はそれを聞いて喜んだ。

 だけど、調整が必要なので、直ぐにとはいかない。

 勿論待ちます!


 気付けばエストレヤはいなかった。

 自由ね⋯⋯。

 お養父様は「そんなものだよ」と言っていた。


 こうして今日のお茶会はお開きとなった。

 

ご覧いただき、ありがとうございます。

ブクマもとても嬉しいです。

ありがとうございます。

次話も楽しんでいただければと思いますので、よろしくお願い致します。

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