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目覚めた世界が私の生きる場所  作者: 月陽
第1章  大切なもの
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40 魔道具


 訓練終了後、邸に戻った私は訓練服から部屋着に着替えを済ませた。

 落ち着いてから座学の復習と課題をしようと思ったけれど、その前にお祖母様にお礼のお手紙を認める。

 私がお手紙を書いている間にお養母様の予定を聞いてもらう為、ミアへ指示を出した。

 お祖母様達にお手紙を出すときは、必ずお養母様に渡すことになっているからだ。

 ミアが確認をして戻って来てくると「今なら大丈夫だからいらっしゃい」との事なので、私はお養母様のお部屋に向かう。


  ノックをし返事を待って部屋へ入る。



「お養母様、急に訪れて申し訳ありません」

「いいのよ。お手紙かしら?」

「はい。お祖母様に訓練の為の衣装を仕立てて頂いてたみたいで、そのお礼のお手紙をお願いしたいのです」

「わかったわ。きちんと届けるよう手配するわね」

「はい。よろしくお願いします」



 私はお養母様にお手紙を託したのですが、何故かこちらをじっと見つめてきて⋯⋯ちょっと居心地が悪いです。



「あの、お養母様? (わたくし)の顔になにか付いていますか?」

「大丈夫よ。それよりも! (わたくし)も貴女の訓練用の衣装を仕立てたいわ!」

「⋯⋯えっ?」

「明日は休息日だし、予定無いし、エーヴェの所に行きましょう!」



 あれ!?

 もしかしてお祖母様に張り合ってらっしゃる⋯⋯?

 お養母様の目が何だか怖い。

 行きたくないけどそんなこと言えない。

 だけど、街には行きたい!


 

「明日を、楽しみにしております 」

「本当に楽しみね。さぁ、また夕食時に会いましょう」



 私はお養母様のお部屋から自室に戻り、ミアにお茶を淹れてもらって一息つく。

 少し夕食時まで時間があるので読書をする。

 読書をするとあっという間に時間が過ぎ、準備をして食堂へ向かう。

 今日は私が一番のり!

 皆が揃うのを待つと、お養父様の合図で夕食が始まる。

 夕食の後は団欒の間へ。

 私はこの時間が好きで毎日の楽しみでもある。



「シア、初めての騎士団での訓練はどうだった?」

「とっても楽しかったです!」

「初めてなのに出来が良すぎると報告を受けたよ。やり方を伝えただけで全ての属性を出せたと。リュシアンが落ち込んでいたな」

「リュシアン先生の教え方が分かりやすかったので出来ました」

「シアの想造の豊かさと器用さもあるだろうけどね。レオンも見てたんだろう? どうだった?」

「本当に凄かったですよ。楽しそうに魔法を駆使していたし、何だか不思議な光景でしたね」

「ふふっ、シアは凄い魔法の使い手になりそうね」

「もっと色んな事が出来るようになりたいので、頑張ります!」

「僕、すぐに追い越されそうな気がするよ⋯⋯」

「ですけど、お兄様は剣も凄いって聞きましたよ!」

「マティ兄上程じゃないけどね⋯⋯」

「レオンは突出したことはないけど、器用さでいえばマティより上だ。それに、魔法はマティより得意だろう? 誰かと比べる必要なんて無い。レオンはレオンの良さがある。それを伸ばせばいい」

「はい!」



 レオンお兄様は比べて卑下する訳でなく、きちんと自分を伸ばすことが出来る人のようだ。

 お兄様の目は前しか向いてない、力強い目をしていた。

 私も見習わないと⋯⋯。



「シア? どうしたの?」

「え?」

「ぼぅっとしてたから⋯⋯」

「いえ、お兄様は凄いなと思いまして」

「僕が?」



 お兄様は私の言うことが良く分からず首を傾げた。



「はい。凄いです。(わたくし)もお兄様を見習って頑張りますね」

「いや、シアは頑張りすぎなくていいと思う⋯⋯」

「ふふ。二人とも仲良しさんねぇ。シア、頑張るのは良いけれど、程ほどにね」

「はい」



 程ほどにが良く分からないけれど、頑張るのは良いのよね!



「あぁ、そうだ。肝心なことをつたえるのを忘れるところだった」



 唐突にお養父様が話しかけてきた。



「先日、シアの提案で試作品を今朝作るよう依頼したら、張り切った魔道具職人達が夕刻には試作品を仕上げてきたんだ。明日試してみようと思っている。オリーとシアは明日エーヴェの店に行くだろう? それに私も同行し、直接試作品の実験を行う。エーヴェにも通達済みだ。二人共そのつもりでいてほしい」

「それって、僕も行って良いですか?」

「構わないよ」

「では、皆で行きましょうか」

「明日が楽しみです」



 明日の楽しみが増えた。

 皆でお出掛け、アレクはまだ小さいから家でお留守番だけどね。

 明日の予定が決まった事でお開きとなった。


 翌日のお昼。

 楽しみにしていたお出掛け日和。

 私達は馬車に乗ってお店に向かう。

 今日もお外を堪能!

 街を歩いてみたいなぁ。

 お外を見ていると、レオンお兄様がくすくすと笑っていた。



「シアは街を歩いてみたいの?」

「えっ?」

「顔にかいてあるよ」

「そんなに分かりやすかったですか⋯⋯」



 ちょっと恥ずかしい。

 だけど街を歩いてみたいのは事実なので否定は出来ない。



「二人共、そろそろ着くわよ」

「「はい」」



 そうこうしている内にエーヴェの店に着いた。

 お養父様が下りてお養母様をエスコートする。

 お兄様が下りて私をエスコートしてくれた。

 馬車を下りると、結構な大きさのお店だった。

 そして、シベリウス辺境領(ここ)に在っても壮観を崩さない、趣のある建物だった。



「さぁ、行きましょう」



 私達はお店の中に入ると、エーヴェを始め、従業員が出迎えてくれた。



「いらっしゃいませ。シベリウス辺境伯様、並びに夫人。お子様方もようこそ」



 エーヴェが挨拶をし、後ろの従業員は一斉に頭を下げた。



「お邪魔するよ」

「エーヴェ、今日はよろしくね」

「失礼します」

「よろしくお願いします」



 私達はそれぞれ挨拶をする。

 先ずは魔道具の試用して、効果の有無を確かめる。

 私もそれは気になるので一緒に見ていても良いようで、応接間へ案内される。

 そこにはすでに色んな生地や宝石類と様々な物が並べられていた。

 先ずは産地や品質等の登録から行う。

 私は提案のみだったので、実際どのように登録するとかの管理は全く分かってはいないので、とても興味があって、それはレオンお兄様も同じのようで、二人揃ってまじまじと観察する。

 お養父様がエーヴェに魔道具の使い方を説明をし、エーヴェが試用する。


 登録も簡単なようで、すらすらと登録していく。

 ちなみに登録方法は、布の場合、小面積の布とその産地と品質が書かれた物を纏める。

 その纏めたものを一つの魔石にそのまま吸収させるという。

 そうすると、この布は何処の産地でどのような品質かが分かると言う。

 その布がほんとうにそこの物なのかは、魔道具を布に近づけると、二つ目の魔石が光る仕組みになっていて、光る色で判別出来る。

 純正なら“白”、紛い物なら“黒”、危険なものなら“赤”

 といった具合に魔石が光るようになっている。

 エーヴェがある程度登録を終わらせて、今度は合っているかを確かめていく。

 もちろん、紛い物や危険なものも交ぜてある。

 でなければ本当に魔道具が役割を果たしているか分からない、きちんと検証は必要なのだ。


 紛い物はお養父様が用意しているようで、次々と検証していく。

 初めはここで扱っている布を検証し、正しい判断が出来ているかを見る。

 光る色を見ると白。

 どうやらきちんと作動したいるよう。

 その後、お義父様が用意した物を検証すると、黒く光る。

 取引していない布をあたかもそこの布であると進めてくる悪徳商人も実際いるからだ。

 それらを何点か確認後、一つの布で赤く光った。

 危険なものも⋯⋯、って何を用意したのでしょう⁉

 皆一斉にお養父様を見ると、にっこり微笑んで「これにはこの布で身に纏うと腹を下す呪術を組み込んだんだ」と⋯⋯。

 中々えげつない呪術を組み込んだのですね。

 皆引いてしまった。

 だけど、きちんと作動しているようで安心する。

 だけど、問題点も沢山ある。

 これは、生産者が登録してこその物だと思う。

 取引先が魔道具を用意し、生産者に登録をしてもらうのが安心だとも思うのだけれど⋯⋯。

 それを、行うにしても色んな問題はありそうだ。

 ひとつずつ登録するとなると大量の魔道具が必要だし、ひとつの魔道具に入れるとなると、生産地なんて一ヶ所ではないだろうから暫く手元には戻らないだろうし⋯⋯、中々難しい。

 こういった物は信用問題なので、悪徳業者に引っ掛からないようの対策と考えれば、これでもいいのかな。

 うーん⋯⋯。



「シア!」

「すみません! 考え事をしていました」

「だろうな。帰ったら話を聞く。取り敢えず、検証は終わりだ。こらを実用化するのは他の食品や生活用品の検証を行ったも者達の結果次第だが、まぁありだな⋯⋯」

「検証は済んだのだし、シア、これからお洋服の仕立てへ移るわよ!」



 ころっと真面目な空気から和やかな空気に変わった。

 ここからは私は布地から色からデザインからとお養母様とエーヴェの二人で盛り上がっている。

 たまにお養父様とお兄様が加わっているのだけれど、私は取り敢えず静観する。

 全てお任せなのです。

 平和だわ⋯⋯。


 私の衣装のデザインが決まり、数着依頼してから邸への帰途についた。

 

ご覧いただき、ありがとうございます。

ブクマや評価もありがとうございます。

次話も楽しんでいただければと思いますので、よろしくお願い致します。

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