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目覚めた世界が私の生きる場所  作者: 月陽
第1章  大切なもの
4/270

04 確認

 

 ブルーノ医師とシベリウス辺境伯が部屋を出た後、残っているのは伯母である、オリーヴィア・ヴィルヘルミーナ・シベリウス辺境伯夫人で、私の父である国王の姉だ。



「ステラ、先ずは目が覚めてほっとしたわ。本当に皆貴女を心配していたのよ」

「ご心配をおかけして申し訳ございません、オリー伯母様」

「詳しい話はアルが戻ってきてからにしましょう。それよりも、本当に苦しいところはないかしら? 辛かったら遠慮せずに言いなさい」

「はい。ありがとうございます」



 ささやかなやり取りをしていると、シベリウス辺境伯である、アルノルド・シベリウスが戻ってきた。



「ステラ様、ご体調はいかがですか?」

「大丈夫です。今どのような状況なのか知りたので教えていただけますか?」



 そう問うと、アル伯父様は何故か考え込むような素振りを見せた。

 その間にモニカは三人分の飲み物を用意し、壁際まで退いていた。



「そうですね、その前にステラ様にお伺いしたいのですが⋯⋯」



 と何故か反対に質問をしてきた。



「何でしょう?」



 不思議に思っていると、全く予想しなかった質問が返ってきた。



「御年おいくつになられましたか?」

「五歳になりました」

「ふむ、ステラ様は年齢より聡明でしたが⋯⋯毒を受ける以前よりも更に落ち着き過ぎているのですよ。あぁ、悪い意味ではありませんよ。五歳とは思えない受け答えですので、どちらかというと大人の女性と話をしているような感覚なので驚いたのです」



 伯父様の言葉を聞いて私ははっとさせられた。

 そうだった、私はまだ五歳の子供。

 よくよく考えたら大人が会話するように話していた事に全く気づいてなかった。

 夢で前世の記憶が甦り、そちらに引きずられている。

 五歳の子供が大人と同じような受け答えをしても気味悪がられるだけ。

 その事実が私を暗雲な気持ちへと流れていく⋯⋯。



「そんなに落ち込まずとも大丈夫ですよ。これは確認ですが、ステラ様は前世の記憶がおありですね? それも成人した人のもの」



 そう確信している言葉をアル伯父様は話した。

 私は驚いて伯父様の顔をまじまじと凝視してしまった。



「そんなに見つめられると照れてしまいますね」

「あっ! すみません⋯⋯」



 少し砕けた口調での話し方と優しげな表情に照れた大人の男性の色気に恥ずかしくなって俯いてしまった。

 なんだか物凄く恥ずかしい⋯⋯。

 前世で全く色恋沙汰に縁が無かったので余計に恥ずかしい。

 私がわたわたしていると伯母様が伯父様を止めてくれた。



「アル! ステラを揶揄うのはお止めなさい。困っているでしょう」



 オリー伯母様の一喝には助かった⋯⋯。

 「ごめんごめん」と伯母様に軽く謝る伯父様。

 尻に敷かれてる? と思考を斜め上にしていると「和んだことだし話を進めよう」とアル伯父様は笑いを引っ込めて、けど最初の真面目過ぎる雰囲気より幾分和らいで話しを進めてきた。



「ステラ様、前世の記憶があったとしてもそれは忌避されるべきものではありませんよ。そんなに多くの事例はありませんが、前世の記憶を持つものは少なからず存在します。ただし、あまり公にするとその知識を得て悪巧みする者達もいますので、皆その事自体を心内に留め公言しないだけですから」

「そうなのですね。それを聞いて安心しました」

「貴女が前世の記憶を持つ事実は勿論私達は漏らしませんのでご安心下さい」



 私は伯父様の言葉で安堵の息をついた。



「一旦、記憶の事は置いておくとして、現状とこれからの事をお話しましょう」

 

お読みいただきありがとうございます。

ブクマもほんとにありがとうございます!

励みになります。

次話もよろしくお願い致します。

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