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目覚めた世界が私の生きる場所  作者: 月陽
第1章  大切なもの
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39 初めての訓練場


 今日の午前中は、セーデン先生の語学授業を受けた。

 少しの間休んでいたので、復習も兼ねて昨日初めて街に行った感想を話し合った。

 凄く楽しかったので、沢山お話しして分からなかった言葉を書き取りながら授業が進む。

 話をしているとあっという間に終わり時間となり、次回までの課題を確認し本日の授業は終了となった。


 昼食をとるために部屋へ戻る。

 昼食後は少し休憩を挟み、訓練場へ向かうための準備をする。

 つまり、動きやすい服に着替える。

 で、その服を見て驚いた。

 今まで運動していたときの服と違い、魔導師のような、だけど子供らしい可愛さを取り入れた衣装だった。


 

 ――これって⋯⋯お養母様が仕立てたのかな?

 

 

 うーん⋯⋯時間的にはお祖母様かな?

 何にしても、可愛いさと動きやすさが合わさった衣装で、かなり気分も上昇した。

 というか、訓練場へ行くのが楽しみで朝からテンションは高かったのだけれどね。

 後で確認とお礼言わないと⋯⋯と思ったけれど、衣装に関しては聞けば分かるよね。



「モニカ、この衣装はどうしたの?」

「これは、アクセリナ様がお仕立てになったのものですよ。これから魔力操作、並びに実技を訓練するならと、彼方に行っている時に仕立てられたものです」

「そうだったのね。訓練から戻ってきたら、お祖母様にお礼状を認めないと」

「きっとお喜びになられますよ」



 戻ってきてからお祖母様にお礼の手紙だそう、そう予定をたて玄関ホールに向かう。

 すでにお兄様が待っていらっしゃった。



「お待たせいたしました」

「そんなに待ってないよ。それにしても、その衣装可愛いね!ちっさい魔法師だ」

「お兄様も格好いいですわ」

「シアに誉められたから今日は頑張れるよ!」



 私達はお互いを誉めながら騎士団の訓練場に向かった。

 もちろん、邸の外なので、お兄様と私の護衛が付いてきている。

 騎士団までは少し距離があるけれど、これも体力作りのため、徒歩だ。

 お兄様と他愛ない話をしながらだったので、騎士団に着くまで思ったよりも早かった。

 一人だったら休憩を挟んでいると思う。

 お兄様と一緒に訓練場に行くと、そこでは多くの騎士達が剣を打ち合っていた。

 私はその光景に圧倒された。

 私がその光景に目を奪われているのを心配してか、レオンお兄様が顔を覗き込んできた。



「シア?」

「えっ? 大丈夫ですよ。ちょっと圧倒されてました」

「僕達はこっちだよ」



 そう言うと手を引いて誘導してくれた。

 お兄様に手を引かれて着いたのは、訓練場でも魔法の訓練を行う場で、更に端の方で新人の研修が行われていた。

 そこには色んな年齢層がいた。

 お兄様は今日は剣ではなく、魔力操作に加え、魔法の訓練を行うという。

 私に合わせての事。

 私は基本の魔力操作を習う。

 まだ教えてくれる先生がいらっしゃらなくて、私はお兄様達とお話ししていた。

 他の新人の方達はお兄様と面識があり、挨拶しているけれど、何故か私は遠巻きにされている⋯⋯。



 何故?

 一番小さいから?



「お嬢様、気になさる必要はありませんよ」

「クラース?」

「お嬢様がレオナルド様の妹君だと判断し、遠慮しているだけです」



 勿論、お兄様の方が早くに鍛練されているから此処の人達と打ち解けているのだろうけど、少し寂しく感じる。

 そう思っていると、先生がいらっしゃったみたい。



「待たせたな」

「皆揃っているかな?」

「おっ! クラースが側にいるってことは貴女が閣下のお嬢様ですね。俺はリュシアンで、隣がクレール。二人で魔力操作から魔法の訓練の指導に当たりますので、よろしくお願いします」

「クレールです。よろしくお願い致します」

「リュシアン先生とクレール先生ですね。アリシアです。よろしくお願いします」

「それにしても、よく団長が許しましたね」



 別にハルド様の許しは要らないのですけど⋯⋯。



「シアは気にしなくていいよ」

「はい、お兄様」



 頭をポンポンされながらお兄様に言われたので、とりあえず頷いておいた。



「さて、班に分かれて訓練を行うぞ!」

「「「はい!」」」



 私達はリュシアン先生とクレール先生とに分かれた。

 今日はお兄様も一緒にリュシアン先生に習うので嬉しい。

 後私達よりも年上の魔法組が一緒だ。

 一人は十五歳位、もう一人は十三歳位の、二人とも男の子。



「よし、今日はこの四人で訓練を行う! だが、お嬢様は初めての参加だから基礎からだな。っと、先ずはお互い自己紹介だな。年の順でいこう!」

「僕はエリク。十四歳で此処では半年前から訓練に参加してます。将来はこの騎士団で働くことです! よろしくお願いします」

「では次!」

「はい。ジルです。年は十二歳で、僕もこの騎士団で活躍することが目標です!」

「次!」

「僕もですか? レオナルドです。年は七歳。今の所はマティ兄上の補佐が目標です」

「では最後に」

「アリシアです。年は五歳で、今の所、目標は足手まといにならないよう強くなることです」

「皆目標があっていい事だな」



 私達は各々自己紹介をし、私以外は前回習っている復習からするみたい。

 私はと言うと、基本となる魔力操作とから習うので、一人別メニューとなる。

 リュシアン先生はお兄様達に復習と一つの課題を出して、私の所に戻ってきた。



「では、始めましょうか!  団長からはご自分の本質はご存じだと伺いましたが?」

「はい。私の本質は“無”です」

「それはまた⋯⋯珍しいですね」

「無属性は希少だと聞きました」

「他の属性に比べたら少ないですね。光や闇より更に希少です」



 私の近くにもう一人いますけどね。

 言えないけれど⋯⋯。

 


「本質が分かっているならば、早速基本操作を教えていきます。魔力を扱うには自身がどのように使いたいか、想造が大事です。簡潔にいえば、想い描いて造り出す事。例えば、俺の本質は火ですが、火と言ってもどの程度の火を出したいのか、火力はどうするか、それは用途によって変わりますが、今は“小さく暖かい炎を出したい”とする。ではそれを想い描いて魔力にそれを乗せる。それを指に灯すとこうなります」



 見ると先生の指には小さい炎が揺らめいていた。

 わぁ、すごい!

 私はついついキラキラした目で見つめていたら、先生が仰け反った。



「おーい、お嬢様? ちょっと落ち着こうな」

「あっ、ごめんなさい」

「無属性なら火も出せるので、お嬢様も出せますよ」

「本当ですか! やってみます!」

「えっはぁ!?」



 私は集中して揺らめく火を想い描いて指に意識する。

 そうするとぽっと指先で揺らめいた。

 少し温かい小さい炎がゆらゆらと指先に灯った。



「出来ました!」



 私は嬉しくて先生にぱっと顔を向けると、驚き固まっていた⋯⋯。

 あれ?



「先生?」

「あ、あぁ。えっと、上手く出来てます。これを出したのは初めてですか?」

「初めてです」

「はぁー⋯⋯。こんな直ぐに出来るなんて。やはりシベリウス家のお子さん方は規格外すぎる。その中でもお嬢様が断トツで規格外⋯⋯」

「⋯⋯?」



 先程から先生がぶつぶつと呟いているけれど、何か考えていらっしゃるんだろう?

 私は先生が戻ってくるのを待った。



「あー、次は、火と同じ要領で他の属性も出来るかどうか試してみましょう」

「はい!」



 私は水、風、地、光、闇と試していった。

 水はふよふよと水の塊を、風はそよ風のようなイメージ。

 地は土の塊を、光は小さい光を、闇が難しかったのだけど、ブラックホールのイメージで、うんと小さいものを⋯⋯それぞれ想造し、魔力に乗せると⋯⋯出来た!


 

 ――楽しい!

 

 

 そんな私を見ていた先生は、呆気にとられていた。

 そして、復習と課題をこなしていたお兄様達もそんな此方の事に気付いてやってきた。



「シア、凄いね! もう出来たの!?」

「はい! お兄様、とても楽しいですね」

「うわぁー。お嬢様凄い⋯⋯レオナルド様も凄いけど、更に凄い」

「僕、自信失くしそう」



 呆気にとられていた先生が現実に戻ってきて、また何やら呟いていたけれど⋯⋯。



「はいはい! 自信は失くさないように! シベリウス家の人間は別格なので比べないように! でなけれりゃ、俺も自信失くす⋯⋯ 」



 先生まで⋯⋯。

 その後は先生の言う通りに魔力を操れるかを試して、この日の訓練は終了した。


 私にはとっても楽しい訓練だったけど、先生はぐったりと疲れた様子だった。

 

 

ご覧いただき、ありがとうございます。

ブクマに評価、とても嬉しいです。

ありがとうございます。

次話もお読みいただければ嬉しいですので、よろしくお願い致します。

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