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目覚めた世界が私の生きる場所  作者: 月陽
第1章  大切なもの
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34 魔力の安定


 お父様達とお会いした翌日、私はお祖父様の修行を再開した。

 朝食をいただいた後、食休みを挟み、いつもの場所へ向かうとすでにお祖父様が待っていらっしゃった。



「おはようございます。お祖父様」

「おはよう、ステラ。よく休めたか?」

「はい。昨夜は夢も見ず、ぐっすり眠れました」

「よし、では一昨日の続きをしようか。先ずは魔力の流れを見てみなさい」

「はい」



 私はお祖父様に言われた通り、目を閉じて己の魔力を視る。


 あれ?  何だか魔力の流れが穏やかになってる⋯⋯?

 そういえば、ざわざわするのも少し収まってる気が⋯⋯。

 私は目を開けて、お祖父様を見ると、分かっているような顔をしていた。



「どうだった?」

「あの、この間より魔力の流れが穏やかになっている気がします」

「だろうな」

「お祖父様には分かっていたのですか?」

「なんとなくな。昨夜アンセ達と会って気持ちが落ち着いただろう? ステラはちょっと我慢のしすぎだな」



 お祖父様は私より私のことがよく分かっているみたいで、今は安心しているようにも見えた。

 

 

「お祖父様⋯⋯、本当にありがとうございます」

「あぁ、だがまだ完全には身体に馴染んでないからな、此処からは自力だぞ?」

「はい、頑張ります!」



 私はまた目を閉じて集中する。

 確かにお父様達と会って心が穏やかになった気がする。

 もやもやが少なくなった感じで、暖かい。

 魔力を視てすこし穏やかになった流れを感じ、一度その流れに身を委ねるようにする。

 そうすると、分かったことがある。



 私はお父様達に本当に会いたくて、家族として愛が在るのか、必要とされているのか、それが不安だった。

 その不安が膨大な魔力を不安定にさせた。

 完全に不安が払拭されたわけではないけれど⋯⋯、ただ、記憶の家族は仲が良かっただけに、急に死んでしまって、親孝行も出来ていないしとても悲しませたに違いない。

 そんな後悔を胸に秘めていたのもあり、今の家族との関係に不安で、会って確かめたくて⋯⋯けどきちんと愛されてるのが分かって、本当に嬉しかった。

 私もまたお父様達が好きで、家族が大切で、力になりたいと思った。

 不安は残っているけれど、この気持ちは私が今思う本当の気持ち⋯⋯。

 そう、心から想っている。




 魔力の流れに身を委ねながらそんな事を考えていると、今まで以上に暖かく、流がとてもゆったりと、優しい流れになった。

 身体が軽く、ざわざわもなくなり、自分自身もとても鮮明になった。

 これが、魔力の安定⋯⋯?


 目を開けると、とてもよくやったと言わんばかりのお祖父様の笑顔が目にはいった。



「ステラ、魔力が安定している。よく頑張ったな」

「とても鮮明で身体が軽いです。違和感もなくなりました」

「あぁ、昨日までよりもとても雰囲気がいい。今の感覚をよく覚えておきなさい。この先感情が乱れたとしても、今の状態を保てるように、しっかりと身に染み込ませるんだ。いいな」

「はい、ありがとうございます」

「三日間、その状態が保てれば、シベリウスに帰そう。オリー達も心配しているからな」

「分かりました!」



 それからの三日間は穏やかに過ごした。

 お父様達に頂いた手紙を何度も読み返したり、それを見たエメリは呆れていたけれど。

 お祖父様達とお茶をしたり、沢山お話しもした。

 そんな風に過ごしていると三日間なんてあっという間に過ぎ去った。


 シベリウスに帰る前日の夕方。

 モニカが私の元に戻ってきた。

 暫く見ない内にとてもキリッとしていて、頼もしさが倍増していたけれど⋯⋯何があったか聞くのが怖い。



「今日からまたよろしくお願い致します。姫様」

「よろしくね、モニカ。やっぱりモニカが側にいると嬉しいわ」

「誠心誠意お仕えさせていただきます」

「エメリもありがとう」

「勿体無いお言葉にございます。モニカも以前よりも逞しくなられたようで、お任せできますね」



 本当に何が行われていたのだろう?

 きっと私が想像しているようなことではないのでしょう。

 今度、機会があれば聞いてみよう。



「さて、姫様。本日の夕食の準備を始めましょう」



 そういうと、モニカとエメリは私を磨き上げてヘアセットし、ドレスを着せてもらい完成!


 やりきった感の在る2人だけれど、私は若干ぐったりです⋯⋯。

 二人の腕がいいから鏡の中の私は可愛らしかった。

 あっ、決してナルシスじゃないから!

 どちらかというと、他人事です。



「今日もありがとう、二人とも」

「「いえ、今日もとてもお可愛らしいですわ!」」

「二人の腕がいいからよ」

「「⋯⋯」」



 何その沈黙⋯⋯。

 なんだか、残念な子を見るような目で見られてる。

 うん、気にしないでおこう!



「ではそろそろ食堂へ向かいましょう」



 気を取り直したモニカがそう言ったので、私も椅子から立ち上がり、モニカとエメリを伴って部屋を後にした。


 今日は此処で過ごす最終日なので、いつもより豪華な食事にデザートが出てきた。

 どれもとっても美味しくて、食べすぎた感じはあるけれど、ほんとに美味しかった。


 いつも通り、夕食後は団欒の間に移動して、お祖父様達と楽しくお話しをした。



「時間が経つのは早いな。ステラあっちに戻らずまだ此処にいてもいいんだぞ」

「ふふ、また会いに来ます、お祖父様」

「ステラ、何時でも会いに来ていいのよ」

「ありがとうございます、お祖母様。必ず会いに来ますね」

シベリウス(あちら)でも今の魔力の感覚を忘れずにな。転移陣で移動する前に魔道具を着ける。今は魔力が安定しているから、魔道具を着けたとしても周りは何も感じまい。安心するといい」

「はい」



 名残惜しいけれど、そろそろお開き。

 私達は就寝の挨拶をしてお部屋へ戻っていった。


 部屋へ戻るとり就寝の準備をする。

 その夜はベッドの中で、此処で過ごした事を思い返していた。

 お祖父様に魔力の事を習い、お祖母様とお茶をして、お父様達に会って、とても濃い時間を過ごしたけれど、とても楽しい時間だった。

 私にとってはとても大切な時間。


 うん、此れからも皆との時間を大切に、頑張ろう。


 そう思いながら、眠りについた。

 

ご覧いただき、ありがとうございます。


ブクマや評価を頂き、嬉しいです。

ありがとうございます。


次話もよろしくお願い致します

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