30 魔力操作と私の問題
私達は今朝と同じ場所に向かった。
少し早く着いたので、お祖父様はまだいらっしゃらなかった。
勝手に始めるのも良くないと思い少し待っていると、お祖父様がいらっしゃった。
「ごきげんよう、お祖父様。よろしくお願い致します」
「ごきげんよう、ステラ。では始めようか。試してみなさい」
「はい!」
私は朝の続きで、同じ様に目を閉じて己の魔力の流れを視る。
性格に関係するって書いていたけれど⋯⋯、まだその部分が良く分からないので、とにかく魔力の流れを良く視てみることにする。
根気よく、根気よく視ていると、 何か、何だろう⋯⋯
言葉にするのは難しいけれど、何か掴めそうで⋯⋯もどかしい。
だけど⋯⋯。
「ステラ、一旦休憩だ! 戻れ!」
――はっ! あれ⋯⋯眩暈がする。
体がくらくらするのを感じながらそう思っていると前のめりに倒れた。
だけど、地面に伏せる前にお祖父様が抱き止めてくれたから助かった。
「あっ、お祖父様⋯⋯ありがとう、ございます」
「ステラ、集中するのは構わないが、焦りと無理は禁物だ。特に己の魔力と向き合うときはな」
「はい、気を付けます」
私はとても消耗したようで、まだ頭がはっきりしない。
これは、本当に気を付けないといけない。
「モニカにお茶の用意をさせたから、甘い物でも食べながら休憩にしよう」
「はい、ありがとうございます」
お礼を言うと抱き止めた所からの抱き上げられた。
モニカが用意してくれた席に下ろされて座った。
食後のデザートに食べれなかった種類のプチケーキが用意されて、カモミールティーを淹れてくれた。
「ありがとう、モニカ」
お礼を言って一口飲むと、安心感が広がる。
ほっとする。
プチケーキもいただく。
美味しい⋯⋯。
かなり消耗してたようで、身に染みる
「ステラは頑張り屋さんだな。それで、何か掴めたか?」
「そうですね⋯⋯。掴めそうで掴めないといった感じです」
「ほぉ。何か掴めそうか?」
「はい。休憩後にもう一度試してもよろしいですか?」
「あぁ、勿論だ。だが、無理はしすぎるなよ」
「気を付けます」
私はふとお祖父様に質問してみた。
「あの、お祖父様。お祖父様から見て私ってどんな風に見てるのでしょうか?」
「ん? 目に入れても痛くない程に可愛らしいぞ! ずっと愛でていたいな」
あれ、全く思ってもいない回答が返ってきてしまった⋯⋯。
「えと⋯⋯ありがとうございます。ですけど、そう言うことではなくて、性格とか⋯⋯」
「性格か、上げたらきりがないぞ」
「きりがないのですか?」
「悪いところなら少ないから直ぐ言えるがな。集中し過ぎて己に気を遣えないところだな」
「それは⋯⋯返す言葉もありません」
そう返すと笑われた。
だけど、心当たりがあるので何も言えません。
「さて、そろそろ再開するか。 いけるか?」
「はい!」
休憩を終え、私は再び集中した。
悪いところは、自分に気を遣えないところ⋯⋯。
じっくりと自身の魔力と向き合うと、魔力の流れが速いく感じる。
もしかしてら私は色々と急ぎすぎている⋯⋯?
確かに最初は此方に馴染むのに早く知識を深めたい、そう思っていたけれど、お養父様やお養母様に言われて自然に少しずつ此方に馴染み、少しは吹っ切れたと思っていたのだけれど⋯⋯、そうでなかったのかも。
心の奥底ではやっぱり焦っていたのかな⋯⋯。
だけど、色んな知識を増やしたい、学びたいのは本心で⋯⋯。
そう、考えていると少しの不安で心が揺れた。
揺れたと同時に魔力の流れの勢いが増した!
これって⋯⋯!?
私の心の流れ、焦り⋯⋯、このままだと自分の魔力に呑まれてしまう!
一度落ちつかなきゃ⋯⋯。
私は深く深呼吸をする。
落ち着いて⋯⋯大丈夫⋯⋯。
深く深呼吸をすると、流れも段々と落ち着いた。
ということは⋯⋯私の心の問題。
そう考えると、目を開けた。
お祖父様が私を心配そうに見ている。
「どうした?」
「お祖父様、今日の所は終了してもよろしいでしょうか?」
「あぁ構わんよ。休むことも大事だ」
「ありがとうございます」
お祖父様は何か探るような目で見ていたけれど。
今はまだ、何も解決はしていない。
「お祖父様、お願いがあるのですが⋯⋯」
「ん? 何だ?」
「今夜夕食の後に、お祖父様とお祖母様と一緒にお話ししたいです」
「勿論だとも! アクシィも喜ぶだろう」
「ありがとうございます。楽しみにしております!」
私は初めて自ら勉強以外のお願い事をした気がする。
まだ何をどうすれば良いかは分からないけれど。
私は変わらなければいけない気がする⋯⋯。
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