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目覚めた世界が私の生きる場所  作者: 月陽
第1章  大切なもの
24/273

24 お見送り


 二週間なんてあっという間だった。

 毎日早朝の運動から始まり勉強をして、読書してまた勉強。

 時間が経つのは早く、気が付けばお兄様が王都へ出発する前日になっていた。


 この日も日中は勉強と読書を楽しんでいた。

 夕食時は勿論皆揃って頂いた。

 明日以降、暫く皆揃うこと無いのよね。

 寂しくも思いながら、夕食が終了して団欒の間へ移動した。

 皆が席に着くと侍女達が手早くお茶の準備をする。


 

「明日から暫く留守にするが、レオン、シア、留守を頼むよ」

「「はい」」

「アレクの事も良く見てあげてね」

「はい! もちろんです」



 アレクと初めてあった後、ちょくちょく時間を見つけて一緒に遊んでたりするのです。

 弟ってほんと可愛い!



「とうとうマティも学生か。早いもんだな」

「本当にね、学生の内にしか出来ない事を楽しみなさい。但し、勉学を疎かにしたり羽目を外しすぎたら⋯⋯分かっているわね?」



 ――うわぁ⋯⋯お養母様の笑顔がとても怖い!



「勿論、承知しています。シベリウスの名に恥じぬ行動をします」

「分かっているのならいいのよ」

「兄上、学園ではずっと首席で頑張ってくださいね!」

「私に頑張れと言うからには、レオン、お前も後三年後の学園入学の際はもちろん首席だよな?」

「えっと、僕は⋯⋯できるだけ頑張ります⋯⋯」

「お兄様、学園で頑張ってくださいね。(わたくし)もお兄様みたく首席で入れるよう頑張ります! なので、レオンお兄様も一緒に頑張りましょうね」



 私は励ましたのだけれど⋯⋯、お養父様が見事にそれを粉々に砕いた。



「あぁ、レオンに首席は無理じゃないかな。レオンはヴィンセント殿下と同じ年齢だからなぁ。取れても次席だね」



 あっ! そっか。

 ヴィンスお兄様とレオンお兄様は同じ年齢だったわ。

 それだと、レオンお兄様には悪いけど、ヴィンスお兄様を応援しちゃうかも⋯⋯

 というか、お二人で首席と次席を取れば嬉しいな。



「っ⋯⋯レオンお兄様、頑張ってくださいね」



 危なかったわ。もう少しで「ヴィンスお兄様」と言いそうになったから咄嗟に誤魔化しながら、励ましの言葉をお兄様にかけた。



「ありがとう。どっちにしても殿下は文武両道で秀才と言われているから。けど、シアに格好の悪いとこ見せられないから、次席を目指してが張るよ」



 お兄様は私の誤魔化しを知ってか知らずか、そう答えてくれた。

 私としてはお兄様がやる気を見せてくれたので、嬉しくなった。



「あっ! マティお兄様、お手紙書きますね。お手が空いたらお返事をいただけたら嬉しいです」

「勿論だよ、約束だからね。楽しみにしているし、シアも返事を楽しみにしててね」

「ありがとうございます!」



 お手紙の約束もしたし、結構お話ししてたみたいで、お養父様がお開きを言い渡し、部屋へ戻っていった。


 次の日の朝。

 皆で朝食をいただき、その後お兄様達が王都へ出発する。

 今回は急を要することではないので、普通に馬車での移動となる。

 この日はお見送りがあるので、クラースが護衛を勤め、私も外へと出た。

 玄関ホールから外へ出ると、既に馬車が停まっていた。

 まだお兄様達はいらっしゃってなかったが、側近のイクセル様と騎士団長のハルド様がいらしてて、私はお二人の近くまで歩いていった。



「おはようございます。イクセル様、ハルド様」

「おはようございます。お嬢様。大分体力が付きましたね」

「おはようございます、姫君。変わらず可愛らしいですね」



 お二人が各々挨拶をしてくれたのだけれど⋯⋯イクセル様はの言葉はまぁ分かるけれど、ハルド様のお言葉が、なんて返事をして良いのか⋯⋯。



「毎日早朝歩いたり、きちんと運動をしていますので、大分体力も付きましたので嬉しいです。ハルド様、お褒めのお言葉、ありがとうございます」



 お礼は大事だものね。

 挨拶をし終えた位で、マティお兄様とレオンお兄様がやってきた。



「シア、早いね」

「お見送りですもの、(わたくし)が遅れるわけにはいきませんわ」

「可愛いね、シアは。行く前に補充させて?」



 そう言って、マティお兄様は私をぎゅうっと抱き締めた。



「お兄様、お身体に気を付けてくださいね」

「シアもね、色々気を付けて」

「はい、気を付けます」



 そう耳許で囁きあって、お兄様は私を離した。

 そこへ、お養父様達がいらっしゃった。


 見送りに来た邸の者達も後ろに控え、イクセル様とハルド様はお養父様達と少し会話をしていた。

 その後は私達の所へ来て、声をかけてきた。



「レオン、暫く留守にするからシアやアレクを頼むよ」

「お任せください!」

「シア、おいで」

「はい、お養父様」



 何故近くに呼ばれたのか分からなかったが、お養父様の側に寄ると「暫く可愛いシアに会えないからね」と言われたと思ったら、抱き上げられたので吃驚した。



「お養父様?」

「シア、本当に気を付けなさい。何かあれば直ぐにイクセルやハルド、アルヴァーに伝えるように」

「分かりました。十分に気を付けます。お養父様達も道中お気を付けて」



 その言葉に満足したのか、直ぐに下ろしてくれた。

 そこへ、お養母様がきて、にっこり微笑みながら「行ってくるわね」と、私は「お気を付けて」と挨拶をした。



「さぁ、そろそろ出発しようか。皆、後はよろしく頼む」



 お養父様がそう言うと、控えていた者達が一斉に「いってらっしゃいませ」と一礼をした。



 そう言ってお養父様はお養母様をエスコートし、順番に馬車の乗り込んだ。


 私とレオンお兄様はお養父様達に「お気を付けて」と手を降ってお見送りをした。


 お兄様達を乗せた馬車の後には荷物を積んだ馬車も後に続いた。勿論、お養父様達の護衛も一緒に出発した。

 馬車が見えなくなったところで、私達は邸に戻った。

 イクセル様達はそのままお仕事へお戻りになるのかと思ったけれど、私達と一緒に邸へと来て応接間に移動した。

 何かあるのかな?

 私は不思議に思ったけれど、レオンお兄様は心得ているようで、普段通りだった。


 応接間のソファに私とレオンお兄様、イクセル様とハルド様が座り、ロニアがお茶の準備をして壁際まで下がり、アルヴァーはお兄様の後ろに立っていた。



「今日から領主である父上が王都へ出発されたので、暫くの間、領の事をよろしくお願い致します」



 レオンお兄様がイクセル様とハルド様へ声をかけた。



「勿論です。閣下がおられない間、レオナルド様、アリシア様に負担が掛からぬよう、努めます」

「邸内で何事かあれば速やかに我々に連絡下さいますよう」



 イクセル様とハルド様はそう仰って、邸を後にした。

 私とお兄様は、休息日と言うこともあり、そのままアレクの部屋へ行き、一緒に邸へ遊んだり、昼食をお部屋で一緒に頂いた。



 アレクがお昼寝をしたのを見届けて、私とレオンお兄様は部屋へ戻った。


 部屋に戻った私は、とても不思議な感覚に包まれていた。

 お養父様やお養母様達がいないだけで、何となくひっそりした感じに包まれているような、不思議な感じ。

 だけど、とても似た感じを体感しているような⋯⋯。

 


 ――あっ! 王宮の雰囲気に似ているのだわ!

 


 王宮では王女宮に住んでいたので、今みたいな感じと似ている。

 お父様達との宮が少し離れていたし、王宮はそのせいね。

 ただ、此処ではお養父様やお養母様の居る安心感が無くなったので、ひっそりとした感じになったのかも。

 もちろん、ハルド様達がいるので、大丈夫だとは思うけれど。



 久しぶりの感覚にちょっぴり不安が過ったけれど、モニカ達も側にいてくれるので大丈夫。


 私は日課となった読書をするため、モニカ達と図書室へ。

 そのまま図書室で読もうと思ったけれど、モニカから「旦那様達が戻られるまでは、読書はお部屋にてお願いします」と言われてしまい、何冊かお部屋に借りてきた。


 私は部屋で本を読み、夕食はレオンお兄様と一緒にいただき、食事が終わった頃にイクセル様がやってきた。



「ごきげんよう、イクセル様」

「ご機嫌麗しく、お嬢様」

「お疲れ様です。ソファへお掛けください」

「失礼致します」



 侍女にお茶をいれて貰い、私たちは各々報告をした。



「本日は恙無く過ごせましたか?」

「はい、いつも通り過ごせました」

(わたくし)もです」

「それは良かったです」

「一応明日の予定を聞いておいてもよろしいですか?」

「僕は課題があるので、部屋で過ごす予定です」

(わたくし)は図書室で本を借りたので、部屋で読みます」

「なるほど、分かりました」



 各々の予定をイクセル様にお伝えして、少し世間話をしてからお開きとなった。



 私は部屋へ戻り、いつも通り寝支度をしてから読書に没頭した。

 

ご覧いただき、ありがとうございます。

次話もよろしくお願い致します。

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