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目覚めた世界が私の生きる場所  作者: 月陽
第1章  大切なもの
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20 楽しい授業


 次の日の少し早い時間に起きた。

 私は動きやすい服装に着替え、モニカと一緒に部屋を出て玄関ホールまで行くと、クラースが待っていた。



「おはよう、クラース。朝からありがとう」

「おはようございます。では早速行きましょうか」



 そう言って、初日と同じく邸裏の庭に行き歩いていく。

 直ぐに体力が付くわけでもないけれど、半周より少し長く歩けた。

 だけどほんのちょっぴりだけなので、まだまだ先は長い。

 一旦そこで休憩し、また再開。

 残りの距離を歩いていく。

 それを二周続けて終了した。


 朝から運動をするってとっても気持ちいい!

 今日がとても良い感じで始まり、清々しい気分で一日過ごせそう。



「クラース、朝からありがとう。毎日続けてもいいかしら?」

「構いませんが、疲れが見えたら直ぐに中止ですよ」

「はい! 今日はお昼からもよろしくお願いします」



 そう言って部屋まで送ってもらった。

 汗を流し、着替えて朝食をいただいた。

 今日の午前中は座学で、歴史と現代をするらしい。

 十分前に部屋へ行き、待っていると先生がやってきた。

 座学の先生は女性だった。

 今まで男性ばかりだったから、何だか新鮮だ。



「お初にお目にかかります。今日からお嬢様の講師を勤めさせていただく、マルグレットと申します。よろしくお願いします」

「はじめまして、アリシア・シベリウスです。よろしくお願いします」



 ちょっと堅そうな人だなぁと思いつつ、挨拶をすませて席に着く。

 どの授業でも同じだが、まずは私の学んだところの擦り合わせをしてから始まる。

 歴史も習い始めていたので、復習から始まった。

 歴史⋯⋯このグランフェルト王国の成り立ちからだ。


 この国は中々古い歴史がある。

 建国から言うと今年で五九九五年の歴史があり、まだ国と言えない頃、世界各地で魔物が現れ、瘴気に侵されていた。

 現グランフェルトの広大な土地にも現れ、瘴気に包まれるのを一人の青年台頭し、大勢の仲間を纏めあげて力を合わせて退けた。

 それだけでなく、ヴァレニウス竜王国の住人が「霧の森」に逃れて来たのを保護した事でその善意な行動が竜王の耳に入り、感謝され、世が平和を取り戻した際、建国を進め手助けしそこから友好国として長年良好な関係を結んでいる。

 自然が豊かで精霊に纏わる話があり、精霊は王家と関わりが深く、初代王となったエドヴァルドが精霊界に迷い混んだ際、瘴気に侵され危うかったのを助けた事で精霊王の恩恵を受けている、と伝えられている。

 この地から魔を退けられたのも、精霊が力を貸したとも云われている。



 ざっとお復習(おさらい)をしたところで、先生が私に質問をしてきた。


 

「その昔、魔の進行を抑える要と言われていたのが、此処、現シベリウス辺境伯領ですが、もう一ヶ所あるのはご存じですか?」

「現セイデリア辺境伯領です。此処シベリウス辺境伯領とは双璧と言われています。位置は王都を挟んで此処とは逆位置にあります」

「正解です。よく知っていましたね」

「本で読んだことがあります」



 王宮で習ったと言うわけにはいかないので、本で読んだということにしておく。

 先生は驚いたようで、さらに質問を重ねてきた。



「では、シベリウス辺境伯とセイデリア辺境伯の初代は初代エドヴァルド国王とどのような関係でしたか?」

「確か⋯⋯血の繋がりはないけれど、兄弟よりも堅い絆で結ばれた家族のような関係だったかと。エドヴァルド王が一番年下であったけれど、その類い希なる力と人を引き付ける魅力、純粋な心を持っていたから二人もエドヴァルド王を主に戴き、双璧と云われるお二人がそれを支えたと云われています」

「⋯⋯正解です。関係性だけをお答えになるかと思いましたので、驚いております」



 誉められてしまったけれど、一応王族なので一番始めに習う事のひとつ。

 これで答えられなかったら私、確実にお父様に叱られる、というか、王族失格かも⋯⋯。



「⋯⋯では、十五分休憩を挟んで現代史に移ります」

「分かりました、ありがとうございます」



 休憩中、マリーにお茶を淹れてもらい一息ついた。

 歴史を掘り下げるととても面白い。

 今日お昼の授業が終わったら図書室に行ってみよう。

 頭の中で今日の予定を組んでいると、休憩が終わり次の授業に移った。



「では、今から現代史に入ります。この世界ではどれだけの国が存在するかは覚えてらっしゃいますか?」

「はい、人族の国が五ヶ国、竜族の竜王国と、魔族の魔国、獣人族の獣王国。色んな種族が集まって住んでいる商業の盛んな共和国、エルフ族が治める森の十一ヵ国です」

「よく出来ました。現代史ではまずこの国の事から始めます⋯⋯」



 このグランフェルト王国は自然が豊かな分、食物や薬草等の質がよく、収穫量も安定しているので、高値で取引されている。

 なので、自ずと食文化が発達し、平民の間では料理人や薬師を目指す人が多いのだとか⋯⋯。


 

 ――ご飯が美味しいって良いことだよね!



 勿論それだけではなく、他にも盛んなものは沢山ある。

 今日の所はこの国の流通、盛んな産業等を習い、楽しい授業はあっという間に過ぎていった。



「⋯⋯では、課題を出しますので、次の授業までに仕上げてください」

「わかりました。ありがとうございました」



 部屋から出る先生を見送り、私も部屋へ戻り昼食をいただく。

 その間にモニカ達へクラースの授業が終わった後に図書室へ行きたい旨を伝える。

 少し休憩の後、着替えて今朝の庭へ。

 今朝ウォーキングしたので、この日は動きのある障害物がすでに用意されていて、途中休憩を挟みながら二周する。ただ、歩くだけでなく屈伸や飛び越したりと色んな動きをするのでとてもいい運動になる。

 二周終われば、今日は少し走ってみようという提案で、現時点でどのくらいの距離を走ることが出来るかを測る。

 クラースの合図で直線を走る。

 走るイメージが“記憶”の中の“私”のイメージだったので、同じように走れるわけでもなく、あっという間に息が切れてしまった。



 ――⋯⋯情けない。



 いや、まだ子供なのだし仕方がないと言えば仕方がない。

 クラースは違うことを思ったようで、少し驚いていた。



「お嬢様は走り方がきれいですね。それに思ったよりも遠くまで走れていましたよ」

「そうですか? 全く走れてないと思うのですけど⋯⋯」



 私は不満そうにそう言うと、笑われた⋯!?



「いやいや、暫くベッドの上で過ごしていて今までそんなに運動していなかったと話に聞いていたのですが、想像よりも動けているし、走り方は綺麗で無駄がなくて驚きですよ」



 クラースに誉められた!

 というか、ほんとに何故護衛を渋るのかな?

 まだ三日目だし、彼の事もそんなに知るわけではないので、長期戦になるわね。

 話が脱線してしまった。



「体力さえつければ、お嬢様は色々と出来そうですね」

「ほんとに!?」

「まぁ、お嬢様の努力次第ですがね」

「頑張るわ! 明日の朝も付きそいをお願いね!」



 私はそう念押しして、部屋に送ってもらった。

 さて、汗も流して着替えて一息ついたので今から図書室に行きます!

 お兄様達に邸の案内をしてもらって以来、まだ足を踏み入れてないのよね。

 本を選ぶのも楽しみ!

 

ご覧いただき、ありがとうございます。

ブクマもとても嬉しいです!

次話もよろしくお願い致します。

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