02 目覚め
目が覚めると、最初に目覚めた時に見た天井があった。
それでもここは知らない場所で視線を動かして見渡すが、やはりこの部屋は見たことがない。
ぼんやり考えていると控えめなノックが聞こえ、「失礼します」と小さく声がありドアの開く音がしたのでそちらを見ると、見知った侍女が入ってきた。
彼女の事はちゃんと覚えている。
こちらを見ると私が目を覚ましていることに驚き、目を潤ませながら私の側まで駆け寄ってきた。
「姫様! お目覚めになられましたか⁉ 私が判りますか? あぁ、それよりご気分はいかがですか? 苦しいところはありませんか?」
「だ⋯⋯い⋯⋯、あっ」
──大丈夫よ。
そう言いたかったが、掠れて思うように声が出なかった。
「姫様、申し訳ございません。お目覚めが嬉しくてつい⋯⋯。まずはお水を飲んでください。一週間も生死を彷徨っていらしたので、喉が渇いて声が出にくいのでございます」
そう言って私をベッドから起こし背中にクッションを置いて、お水を用意してくれた。
「お辛くはないですか?」
私はその問いにコクンと頷いて微笑んだ。
その様子にほっとした様子でお水のはいったコップを渡してくれた。
だけど⋯⋯私はそれを飲むのが怖かった。
それを察した彼女は「失礼します」と言って、注いだお水をもうひとつあったコップに一口移して、そのお水を飲んでみせた。
それを見た私は、自分の不甲斐なさで彼女に毒見をさせてしまった事への申し訳なさで泣きそうになった。
だけど、何事でもないようにこう言った。
「私が毒味することで、姫様が安心してお口に出来るのならば大したことではありません」
私を安心させるような優しい笑みを浮かべてそう言った。
その優しさでまた泣きそうになったけど、コップを受け取り、水を飲んだ。
「おいしいわ。ありがとう、モニカ」
お水を飲み喉が潤った事で漸く声が出る様になり、彼女にお礼を言うと、眩しい笑顔を浮かべて「はい! 姫様」とモニカはとても嬉しそうに返事をした。
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