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目覚めた世界が私の生きる場所  作者: 月陽
第1章  大切なもの
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18 勉強の始まり


 今日の午前中、お養母様のお勉強を受ける事になっているので、朝から準備万端で時間前にはお勉強を受ける部屋へ移動した。



 少し待つとお養母様が来られた。

 私は席を立ちカーテシーをし挨拶をした。



「おはようございます、お養母様。どうぞよろしくお願い致します」

「おはようございます。こちらこそよろしくお願いしますね」



 気合いの入った挨拶をして私達は席に着いた。

 今日は初授業とあって、まずは王宮で何処まで習ったのかをお養母様に説明した。

 私が王宮で習っていたこと、マナーや所作、ダンスはもちろん、学力や語学、芸術と多岐にわたる。

 私は細かく何を何処まで習ったのかを話ていく。

 一通り話し終えると、お養母様が教えてくださる所と、家庭教師に教えていただく分を分けて今後の予定を教えて貰った。



「マナーや所作、王女としての教育は(わたくし)が行います。その他の科目については、各家庭教師が付きます。ダンスや芸術はマティとレオンと一緒に習うといいわ」

「わかりました」



 詳細が決まったので、今日は復習からとお養母様の指示通りに確認する。



「やっぱり体力が大分落ちているのもあって、重心がぶれているわね。そこは体力が戻れば自ずと直るでしょう。所作は問題ないわ。とてもきれいよ」

「ありがとうございます」

「今日は此処までにして、明日からの本格的に進めましょう」

「はい! よろしくお願い致します」



 午後からは邸裏手にある庭へ、動いても問題ない格好で向かった。

 そこにはお養父様とクラースが待っていた。



「その装いもいいね、よく似合っているよ」

「ありがとうございます、お養父様」



 ちなみに今日の装いは、襟元に可愛らしくフリルの付いたシャツに下はズボンにショートブーツ。とてもシンプルな仕上がりになっている。

 運動するのにスカートでは無理だし、欲を言えば“記憶”の中みたいに、スニーカーとか在ればいいんだけれどね。



「アリシア様、改めまして本日から仮護衛を勤めさせていただくクラースです。よろしくお願い致します」

「こちらこそよろしくお願いしますね」



 クラースとの挨拶も終わり、お養父様は私に「あまり無理はしないように」と言い、彼には何事かを囁いて執務に戻っていった。

 若干顔色が悪いようにも見えるのだけど?



「一ヶ月間邸で運動をすると言う事で、体力作りが主だと伺っておりますが⋯⋯」

「合っています。暫くベッドの上だったので、体力が落ちていて、それで体力作りなの」

「なるほど、わかりました」



 先日嫌そうに見えたけど、今は特段そんな素振りもなく、子供が嫌だとか言う事も無さそう。



「身体を動かす前に準備運動は必要ですよ。私がお手本を見せますので、真似してください」



 そう言ってクラースは身体を伸ばしたり、上体の前後屈、手首をぷらぷらとほぐしているのを見て、記憶の運動とあまり変わらない事で、私は直ぐに出来た。



「お嬢様は筋がいいですね」



 と言われたけれど、なんだかずるをしているみたいで気が引ける。



「次に長く歩いてみましょうか。歩くだけでも体力はつきますが歩き方に注意してください。その前に先ずはお嬢様の今の体力を知りたいので、この庭を壁沿いにぐるっと一周してみましょう」

「分かりました」



 私は壁沿いに歩いていき半周したくらいで息があがってしまった。

 思ったりよ広くて長い。

 クラースがこちらに来て水の入ったコップを渡してくれた。

 私はそれを受取り、ちらっとクラースを見た。

 大丈夫そう?

 私はその水を飲んだ⋯⋯。

 なんとも無さそうかな。



「お嬢様、大体この広さを半分歩けているので、先ずはここを一周できるのを目標にしましょう。少し休憩したら次の課題に移りますよ」

「はい⋯⋯」



 一休憩している最中、彼は次の準備なのか障害物的なものを置いていた。

 それを眺めていると、マティお兄様が様子を見に来た。



「シア、頑張ってる? 無理はしていない?」

「マティお兄様、無理はしていませんよ。今は休憩中です」

「見学してもいいかい?」

「はい!」



 マティお兄様が見物することになり、私は次の運動を教えて貰った。

 次は先程用意していた障害物を避けて行くこと。

 地面に置いてあるものを飛び越したり、避けたり、木々の間に張られたロープをしゃがんで避けたり⋯⋯、ちょっと楽しそう。



「では、始めてください」

「はい!」



 私は大体先程歩いた半周より少し短めの距離の障害物を避けながら歩いていった。

 今度は障害物がある分、息があがるのも早かった。

 だけど、ちょっぴり負けず嫌いが出てしまって、最後まで頑張って歩ききった。

 はぁはぁと息が整わない上体で地面にぺしゃりと座り込んでしまった所にお兄様が来て「大丈夫?」とタオルとお水をくれた。

 全然体力がなくてへこむ。

 けど、まだ初日だからこれからだよね!


 息が整ったところで「ありがとうございます」とお礼を言い、手を貸してくれたので、立ち上がるとクラースが障害物を回収しながらやってきた。



「無理は禁物だと閣下からも言われているので、今日はこのくらいにしましょう。今日のお嬢様を見て大体の予定を考えたのですが、一ヶ月でこの庭を障害物をつけて五から七周出来る位になりましょう。そこまで出来たら今のお年では十分すぎるほどですよ」

「分かりました。ありがとうございます」



 今日のお礼を言って、部屋までお兄様と一緒に戻った。

 部屋につくと、汗を流すのにお風呂を用意されていて、私はお風呂に入り足元をマッサージされてゆっくりした。

 出てからはお茶を飲んでいたのだけれど、クラースが来たようで、私は彼に入室許可を出すと、彼は胸に手を当てて一礼した。



「護衛場所の説明をしに参りました。邸内を付き従う事はありませんが、外に、庭先に出るときには必ず付き従いますので、必ず予定をお伝えください。何か不安要素があるなら、時間関係なく遠慮せずに仰ってください」



 私はちょっと安心した。王宮では部屋の外には護衛がいて、何処に行くのにも必ず付き添ってきたけれど、此処は王宮ではないので、同じだとちょっと嫌だなぁと思っていたのでほっとした。



「分かりました。今日からお願いしますね。お外に出るときは必ず侍女を通して伝えますね」



 そういうと「よろしくお願い致します」と言って部屋を後にした。

 思ったよりも話し方も丁寧だし、今の所嫌な感じはしない。

 まだ初日だし、色々とこれからだよね!



 お養母様からの課題を仕上げ、明日からの授業が楽しみで、だけど思ったりよも疲れたのか、この日は早めの就寝となった。


ご覧いただき、ありがとうございます。

次話もよろしくお願い致します。

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