174 最終日
今日はお世話になった伯父様の側近の方々に挨拶をしに私達は今領主館に来ている。
それと同時に、お兄様はシベリウス領の領主館の見学も希望した為、挨拶の後に見て回る予定だ。
先ずは伯父様の執務室隣の応接間へと案内され、部屋に入るとそこにはとてもお世話になった二人がそこにいた。
「お久しぶりです。今はアリシア様とお呼びしますね。お元気そうで安堵いたしました」
「ご無沙汰をしております。アリシア様」
「お久しぶりですわ。お二人もお元気そうで良かったです」
久しぶりにイクセル卿とデニス卿にいつもと変わらず笑顔で私を迎えてくれる。
「昨年、アリシア様の事が此方まで噂が流れてきた時は急な事で本当に驚きましたよ。僭越ながら、心配も致しました」
「心配して下さってありがとう。何も言えずに戻ってしまったので、こうしてまた皆さんにお会いする事が出来て嬉しく思っております」
「アリシア様がこうして私達の事まで気にかけて下さって、こちらも嬉しく思います」
私はイクセル卿とお話をしていたが、お兄様の紹介が未だだったので、先にお兄様を紹介すると、イクセル様は宮廷でお兄様とお会いしたことがあるようだった。
「森と街へいかれたのですよね?」
「行ってきましたわ。森も静かで安心しました。街も変わらず、活気に溢れていましたね」
「あれ以降、領民達は頑張りましたからね」
「皆どうすればいいか分かっているから、私達が何かをせずとも自ら立て直す強さを持っているので、我々は少し手助けをするだけなのですよ」
「それも伯父上達の信頼があってこそで、領民達の意識が高い事に驚くばかりだ」
「伯父様達の領民からの信頼は凄いですものね」
「確かに。街を歩いて思ったが、冬野菜が沢山収穫できたから領主館へ持っていこうとか歩いていてもマティ達への気さくな態度や彼等の表情を見ているとそれがよく分かります」
確かにね、伯父様も伯母様も気軽に街へ行くから領民からの信頼は他の領に負けないと思う。
それはマティお従兄様やレオンお従兄様も同じで街の人達からも好かれていて、領主がマティお従兄様に変わったとしても安心だろうと思う。
「私達も憂いなく王都を歩けたらいいんですけどね」
「流石に王都と比べてはいけませんよ。住んでいる人数が違い過ぎます。人が集まればそれだけ活気に溢れていいですが、それだけ闇も存在しますからね。いくら警備を配置しているとはいえ、お二人に何かあれば一大事です」
「分かっていますよ。まぁ行くときはきちんと今みたいに変装するので」
「⋯⋯よく私の前で堂々とお忍び宣言をしましたね」
「伯父上は何も言えないでしょう? 伯母上とお忍びで王都デートをしていたことくらい、父上に聞いて知っていますよ」
「オリーは継承権を持っていませんでしたからね。それにオリーとデートをしていたのは私との婚約が決まってからですので、狙われる道理がありません。何かあったとしても私が一緒なら問題ありません。何より貴方方お二人とオリーでは立場が違います」
伯父様にきっぱりそう言われてお兄様は黙ってしまった。
伯父様ったら照れる事も無くそう言ってのけて何だか凄いと思ってしまう。
こっちが照れてしまいますよ。
話してることは惚気がはいっているし、何より何があっても自身で護るとそう言い切っているところが男らしいわ。
「お母様が仰っていた意味がよく分かりますわ」
「ティナ?」
「シベリウス辺境伯が当時とてもおモテになられていたと話していましたから」
「確かに、伯父様はとても格好いいですわよね」
「可愛い姪に褒めて頂いて嬉しい限りですね。義弟に自慢しましょう」
「伯父様! そうやってお父様を揶揄うのは止めてください」
「今のはシアが悪い。こうなるのが分かっていて伯父上を喜ばせているだろう?」
「私は純粋にそう思っているから話したのです。伯父様もお兄様も私で遊ばないでください」
純粋にそう思っているから言った言葉がこうなるなんて。
二人共意地悪です。
私達のやり取りを見ていたイクセル卿は口元を抑えてそっぽを向いて笑っていた。
相変わらずよく笑う人ですね。
「イクセル卿、笑い過ぎですわ」
「くくくっ、いえ、申し、訳⋯⋯アリシア様が相変わらずで安心致しました。はぁ、面白かった」
「貴方も相変わらずですね」
「まぁ、アルの側近をやっていれば、ですね」
「どういう意味だ?」
「私に凄んでも無駄だよ。アルに付き合っていたらこうなるさ」
二人のやり取りを見ていたデニス卿は呆れているし、何時もの光景だった。
だけど、本当にお父様を揶揄って遊ぶのはダメですからね!
一通り笑ったら、少しまじめな話をお兄様としていたのを私は側で聞いていて、お兄様はシベリウスの事をよく知ろうとしているみたい。
各領がどのような感じなのかって、報告を受けるのと実際行って見聞きするのとでは違うと思う。
私はセイデリアに行ってみたいなと思うけれど、実際は難しいてしょうね。
話が終わると伯父様に領主館内を案内して頂き、共に領主館で昼食をいただいてから馬車で街へと向かった。
向かった先はエーヴェのお店で、私達が注文していた商品を取りに向かった。
お店に着くと、エーヴェがお店の外に出てきて私達を出迎えてくれる。
「皆様、お待ちしておりました」
「急がせてしまってごめんなさいね」
「いえ、皆活き活きと制作しておりましたわ」
私達は個室へと案内され、注文の品を一つずつ確認をする。
「こちらがお嬢様のご注文されたお品です」
「ありがとう」
私が注文したのは色がお揃いの貴色である紫を使った紐だ。
紐といってもレースのひらひらとしたものではなく、お父様達とお母様達とでデザインは変えてある。
紐の先にはお父様へはお母様の瞳の色を、お母様にはお父様の瞳の色を使った宝飾が付いてある。
どんなものにも使用できるようなデザインにしてあるので、用途は様々だ。
お兄様と私の宝飾はお母様の瞳の色で、フレッドには私達の瞳の色で家族一体にしてある。
私が確認をしている間に、お兄様達も其々注文分を確認し、とても気に入ったようで喜んでいた。
私は側近達にもそれぞれに合うものを注文していたのでそちらの確認もし、とても満足だ。
買い物が終われば街を少し皆で歩く。
「そういえば、子供達が遊んでいるあの遊びは何だ?」
「雪合戦ですわ」
「雪合戦? 初めて聞くな」
「雪を丸めて相手にぶつけるのです」
「楽しそうだね」
「邸に帰ってやってみますか? 流石にここでは濡れてしまったら大変ですから」
私達は街歩きを中断して邸に帰り、其々動きやすい服に着替えて邸にある訓練場に集合した。
伯母様には「程々にね」と言われたけれど、これやり始めると夢中になっちゃうのよね。
先ず私達はお兄様班と私の班に分かれた。
「先ずは雪を丸く固めて、固め過ぎはダメですよ。当たったら痛いので。最初にいくつか作っておいて、無くなったら終了にしましょう。沢山当たったら負けですよ」
「分かった」
「手加減はなしですよ」
「分かっているよ」
「準備はいいですか?」
「アレク、いつでもいいわ」
「ちゃんと数えるんだぞ」
「はい! では、⋯⋯始め!」
アレクの号令で、私は思いっきりエドフェルト卿に雪玉を投げる。
雪に慣れていないから私の投げた雪玉はエドフェルト卿の顔面に見事直撃した。
昨日のお返しよ!
「⋯⋯なるほど、これは固め過ぎたら怪我をしますね」
「でしょう?」
私は慣れているので次はお兄様を狙う。
ティナも運動神経が抜群だから、早くも雪に慣れていた。
近衛の二人はやはり動きが違い、直ぐに雪に対応して応戦してくる。
そして手加減するのかと思いきや、結構本気で投げてくる。
私も最初は避けたけれど、段々と雪玉が当たるようになり、沢山作った雪玉が無くなった時点でアレクが「そこまで!」と終了させた。
「こ、れは⋯⋯はぁ、なかなかキツイ、な⋯⋯」
「た、確かに」
「エステル殿下、慣れすぎです」
近衛も流石に息が上がっていたがちゃんと立っていて、エドフェルト卿は雪の上に転がっている。
ティナも流石にきついのか膝に手をついていた。
「アレク、結果はどうだった?」
「はい、従姉上。結果は、従姉上班の勝利です! ヴィンス従兄上の班は二十一個当たっていましたが、従姉上の班は十三個でした。ちなみに、ヴィーお兄様が十七個、ヴィンス従兄上が七個、トーマスさんが二個です」
「アルヴィン⋯⋯当たり過ぎだろう」
「流石に無理です。私はどちらかというと文系ですから、そこは考慮してください⋯⋯って! 何をするのですか!」
お兄様はエドフェルト卿に雪をドサドサとかけて雪埋めにしようとしている。
それより、アレクはいつの間にエドフェルト卿の事をそんなに親しく呼ぶようになったのかしら。
「ステラ様、やりましたね!」
「勝ったわね! ティナとニリアン卿のお陰ね」
「雪上でこの雪合戦は訓練に良さそうですね」
「体力いるでしょう?」
「はい。いい運動になりますね」
「従姉上! 休憩したら今度は僕もやりたいですよ!」
「わかっているわ」
「エステル殿下、私が審判をします」
「逃げたな!」
エドフェルト卿は早々に審判に名乗りを上げてアレクと交代していた。
「今度は班を変えませんか?」
「いいね! どうやって決める?」
「そうですわね。⋯⋯アレクとお兄様の班に分かれるのはどうでしょう?」
「いいよ」
「アレクから指名してね」
「いいんですか?」
「勿論よ」
「では⋯⋯」
アレクとお兄様は交互に指名し、出来た班は、アレク、ニリアン卿、ティナ。
そしてお兄様、私とマイエル卿の班に決まり、早速雪玉を作り、エドフェルト卿の合図で始まると、一回戦で要領を得たのか全員動きが全然違う。
流石だわ。
雪国に慣れていないティナとニリアン卿には負けられない!
貴族達が揃って雪合戦なんて、中々シュールだと思う。
しかも皆本気だからこれが中々の運動量だ。
それにしても、アレクったら暫く会わない間に逞しくなった様に思う。
そして終了の合図で終わると、私もぐったりしてしまう。
「あーきっつ!」
「明日、筋肉痛に、なって、そうですわね⋯⋯」
「とてもいい運動になりましたよ」
近衛の二人は息が上がりながらも普通に話せるところがやっぱりすごいわ。
「ヴィーお兄様、どっちが勝ちましたか?」
「引き分けですね」
「えー! 絶対僕達の方が勝ったと思ったのに!」
「残念だったわね。だけどアレクがとっても腕を上げていて驚いたわ」
「本当ですか? 僕兄上達に負けないよう頑張ってるんです。それに強くなって従姉上を護りたいから!」
――アレクったら可愛い!
思わず駆け寄ってアレクをぎゅっと抱きしめた。
「嬉しいわ。大きくなったら護ってね」
「はい!」
そう無邪気に笑っていた。
だけど振り返ったら何故か微妙な顔をしたお兄様達が目に入り、首を傾げると、何でもないという風に手を振った。
陽が落ち始め、汗をかいて冷やされたのでそろそろ中へ入ってくださいとモニカに言われてしまったので、一旦部屋に戻り湯で身体を温める。
湯から上がり、モニカが身体を解してくれるのをされるがままになっているといつの間にか眠ってしまったみたいで、「そろそろ夕食の時間です」と起こされてしまった。
モニカに支度を整えて貰って食堂へ行くと、今日は立食パーティーのようで、イクセル卿を始め、主要な面々が揃っていた。
「よく眠れましたか?」
「はい。久々にはしゃぎ過ぎましたわ」
「楽しそうにしていらっしゃいましたので、少しでもお気が晴れたのなら良かったです」
「これは?」
「今夜こちらでお泊りになるのが最後ですから、ささやかなパーティーを開きましたので楽しんでいただけたらと」
「ありがとうございます、伯父様」
お兄様が未だのようで、私はお従兄様達と話をしながら待っていると、お兄様がエドフェルト卿と一緒にいらっしゃった。
私と同じ質問をしてたのを見てやっぱり私のお兄様だなぁって思う。
まぁこの状況なら同じ質問をしたと思うけれど、聞き方が同じだったからつい。
全員が揃ったので、早速食事会が始まった。
今夜はシベリウスでよく出される料理が沢山並んでいる。
パンは、あの美味しいパン屋で出されている種類が沢山あり、美味しそう!
中には見たことのないパンもあるから新作ね。
「ステラ様」
「お従兄様。どうされましたか?」
「私が戻るのは学園が始まる直前だから、次会うのは学園始まった週末になるよ」
「分かりましたわ」
「無理をしてはダメだからね。クリスティナ嬢、ステラ様をお願い。目を離したらすぐ無理をするから」
「お従兄様は私を信用しなさ過ぎですわ」
「だけど、心当たりあるだろう?」
「⋯⋯無理はしません。他に私を見張ってる方々もいらっしゃるでしょう?」
その一人が無理はできないと思う。
きっと直ぐに止められるわ。
「従姉上!」
「どうしたの?」
「今日は僕と沢山一緒にいて下さい! また暫く会えなくなるから⋯⋯」
「勿論よ」
「私達も後少し此処にいるからステラ様と会えないよ?」
「兄上達は王都に戻ったら従姉上と会えるでしょう。僕は後一年も待たなくてはいけないんですからね!」
アレクはそう言って可愛らしく怒っていた。
そっか、アレクが学園に入るのは来年なのね。
楽しみだわ。
「アレク、頑張って首席か次席取ってね。そうしたら生徒会で一緒になれるから」
「僕頑張るよ!」
「アレクまで首席取ったらシベリウスの兄弟皆生徒会か。優秀だな」
「皆頑張り屋さんね。私も鼻が高いわ」
「母上の圧が凄いだけでしょう」
「そんな事ないわよ。成績が全てではないわ。学園生活をどう過ごしたか、が大事よ」
伯母様はそういうけれど、ある程度は大事よね?
特に貴族社会においては、宮廷で働くにしても成績もある程度良くなければ難しいものね。
「ヴィーお兄様はもうすぐ卒業なのですよね?」
「そうだよ。長かった学園生活ももう終わりだね」
「卒業式って何をされるのですか?」
「そうだね、学園長の話を聞いたり、陛下がご臨席されたら陛下のお言葉を賜ったり、私も一応話す予定だよ。格式ばった事が終われば卒業パーティーだね。ダンスをしたりする」
「アルヴィンは誰かパートナーに誘っているのか?」
「いえ、誰も誘ったりしておりません」
「逆に女性からの誘いが多そうだよな」
「確かに、少々周囲が騒がしいですが、まぁ適当に誰かに頼むつもりです。断られたら一人で参加しますよ」
卒業生の中で一番モテそうなのに、一人でいいの?
それも生徒会長を務めた方なのに。
そう疑問に思っていると、ばっちりエドフェルト卿と目が合ってしまった。
「それか、エステル殿下がパートナーを務めてくださいますか?」
「お断りいたしますわ」
「アルヴィン! ステラは学園に復帰していない、それに何堂々と私の前で誘っているんだ!」
「でしたら、ヴィンス様がいらっしゃらない時にお誘いした方が良かったですか?」
「ダメに決まっているだろう!」
また始まった。
何だか伯父様とお父様を見ている気分だわ。
飽きないのかしら。
「学園に復帰していなくても、ステラ様が陛下と共に顔見せで出席する事も考えられるでしょうね」
「まだ何も決まっていないですよ、伯父上」
「けど、そこで顔見せしておいた方がステラも学園に復帰しやすいでしょう。特に先生方とは顔を合わせておいた方が良いと思うのよね。決めるのはアンセだけど」
「伯母上の仰っていることも分かりますが、違う意味で卒業式の場が騒がしくなりそうですね」
お披露目の時に何人か参加されていたけれど、それも少数だから、お兄様の仰った通り騒がしくなるでしょう。
それに、主役は卒業生だから、変に騒がれるのは遠慮したいわ。
「従姉上は学園に行かれないのですか?」
「そうね、行くのは二学年からよ」
「それまではお仕事をされるのですか?」
「えぇ。仕事だけではなくて、学園からの課題もあるから、そちらも仕上げないといけないの」
「休学中の課題はどれだけあるんだ?」
「そうですね⋯⋯」
各教科あるので、中々の量だ。
まぁ問題を解いたり調べて纏めたりとそう難しいものでもないので、合間を縫って片付けようと思う。
ただ、魔法に関してはまた免除されていた。
「ステラなら直ぐに終わらせられるだろうな」
「そうですね」
私達が学園の話をしていると、イクセル卿達は懐かしいなといった表情で私達の話を聞いていた。
「若いっていいですね」
「確かに。学園生活が懐かしいですよ」
皆十分に若いと思うわ。
「イクセル卿達もまだまだお若いでしょう?」
「いえいえ、私達なんてオジサンに片足突っ込んでますよ」
外見だけで言えば全然若いと思うけれどね。
確かイクセル卿は伯父様と同じ年だったはず。
全然若いよ。
「アルに扱き使われまくっていますからね」
「人聞きの悪い事を」
「本当の事だろう?」
「確かに、人使いは荒すぎる⋯⋯分かってはいたけど」
イクセル卿もデニス卿も仲良く「はぁ」と溜息をついた。
分かっていたのに伯父様に付いてシベリウスに来たんなら、自業自得?
「お二人共何故シベリウスで働こうと思ったの?」
「アルとは腐れ縁っていうのもあるけど、シベリウスやセイデリアは他の領と違って特殊だからね、私が手伝えることがあればと思ってアルに付いてきたのですよ」
「私も同じようなものです。話を聞いているだけでは普通の領を持っている貴族とは違い、領の運営に森の管理、魔物への対処、やる事があり過ぎるますからね。それを少しでも補う事が出来ればと、アルやユリウスの助けになろうと、私達はシベリウスへ来ましたが、他の友人達はセイデリアに行きました」
そうだったのね。
伯父様もセイデリア辺境伯もいい友人に恵まれて、皆で領を護っているのね。
そう考えると、やっぱり学園での生活って大事だと思うわ。
マティお従兄様もそういった友人がいらっしゃればいいけれど。
私に付いていて大丈夫かしら。
「私の心配はいらないよ」
「マティお従兄様⋯⋯」
「今顔に出ていたからね」
此処にいると力が抜けるみたい。
それだけ居心地がいいという事。
今だけなら大丈夫よね。
「ハルドはどうしてここに来たの?」
「私は元々オリーヴィア様の側近でしたので、こちらに嫁がれるという事でそのまま付いて来ました。そしてシベリウス騎士団に身を移して今に至ります」
「伯母様の側近だったの?」
「はい。当時自由奔放な殿下には手を焼きました」
「ハルド! バラさないで頂戴」
「事実ですから」
珍しく伯母様が狼狽えているわ。
行動力が溢れていたとは聞いた事あるけれど、自由奔放でしたのね。
今日は色んな話を聞けて楽しいわ。
それも今日で終わりで明日の朝にはあちらに戻るので、また気を引き締めないと。
「ステラ、たまには息抜きをしなさいね。力を入れすぎるのはダメよ」
「はい、伯母様。気を付けますわ」
「これからは私も宮廷に行く事がぐっと減りますので、あまり無理はしすぎませんように。何かありましたらエリオットを扱き使いなさい。二学年になるまでステラ様の臨時補佐を務めると聞いたので、遠慮はいらないですよ」
「伯父様ったら、心配性ですわね。ですが、ありがとうございます」
最近の事を伯父様に言うとまた言い争いが始まりそうだし、黙っておこう。
それこそ遠慮はいらないって言いそうだしね。
皆で食事をして沢山話をしていたら楽しい時間はあっという間に過ぎて、未成年である私達は皆さんにお休みの挨拶をして部屋に戻って来た。
大人組はまだこれからだというようにお酒を嗜んでいるから、そこにエドフェルト卿も混ざっている、というか、捕まっていた。
楽しんでいるならいいと思う。
明日は王宮に帰る日。
楽しい四日間だったわ。
シベリウス領で過ごした時間を思い出しながら眠りについた。
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