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目覚めた世界が私の生きる場所  作者: 月陽
第2章 学園生活の始まり
165/273

165 どこでも在る問題


 闇曜日の今日から学園は冬の休暇となり、今年も残すところ後僅かとなった。

 今日は朝から側近達が一週間ぶり、宮廷には初めて登城する日でもある。

 私は朝からお誕生日パーティーの件でお母様から詳細を確認し、何処か変更したい所や要望がないかの確認を行う。

 私としては急な事で自身の誕生日といえど、これといって要望はないし、お母様が準備して下さった会場も素敵で招待客も私の知っている方やお母様の懇意にしている方々なので安心して気負う事なくお誕生日を迎える事が出来そうなのでお母様にはとても感謝している。

 お母様とのお話が終わり余った時間でフレッドも交えて話に花を咲かせた。

 そしてそのまま昼食を共にいただき、その後私は宮廷へと赴く。

 執務室に着くとそこにいたのはアルネだけだった。

 まだ皆昼食から戻ってきていないみたい。

 話を聞くと、宮廷を案内がてら食堂に向かったそうだ。

 という事は向かった時間を考えると戻って来るのも時間がかかりそうね。

 暫く書類を確認していると、伯父様がいらっしゃったとの事で、部屋にお通しするようアルネに伝えた。



「お時間を頂きありがとうございます」

「伯父様ならいつでも歓迎致しますわ。それで、本日はどうされましたか?」

「お手紙を預かってきましたのでお持ちしました」



 手紙って、もしかしてフリュデン令嬢のかしら。

 だとしたら思ったよりも早かったわ。



「伯父様、そのお手紙は⋯⋯」

「フリュデン令嬢からステラ様宛のお手紙です」

「ありがとうございます」



 私は早速開けて手紙を読むと、そこには先ず謝罪が記されていた。

 そして事の顛末が綴られていた。

 何故そうなったか、内容としてはこうだった。


 フリュデン令嬢は男爵家というのもありかなり下に見られていた。

 特にニ年というと、同学年にノルドヴァル公爵家の二人がいるのでそれが起因して、周囲の人々は彼女達を怒らせないよう、関わらないようにかなり気を使っているという。

 だけど同じ学年、学園内では階級関係なく平等に学ぶ場とされているにも関わらず、そうではないのが実態で、二年はそれが顕著に出ている。

 だが、当時一年だったフリュデン令嬢がどうしても見逃せない出来事があったという。

 それは同クラスの平民の子がSクラスのノルドヴァル公爵家の双子に対してきつく当たられているのを目撃してしまい、それを見過ごせずに注意をしたそうだ。

 そこから目を付けられてしまい事ある毎に双子の取り巻き達に陰湿ないじめにあうようになったが、従姉であるヨハンナ嬢には迷惑を掛けたらいけないと相談はせず、一人で耐えていた。

 これが事の始まりで、今回(アリシア)を突き落したのはイーサク・ニルソンに言われての事。

 彼に命令したのはノルドヴァル公爵家寄りの者だと推測するが誰かまでは分からず、そして本来ならそのような人を傷つける行為は断るのだけれど、フリュデン令嬢はもう一年もの間耐え忍んでいたがそれも限界が来ていて、私を突き落せばそれらを止めると言われた為に人ができます私を突き落としたそうだ。

 肝心の何故(アリシア)を、という事だが、彼女の推測では、私が養女という立場でありながら、シベリウス辺境伯嫡男や次男だけに関わらず、名のある家のご子息達と仲が良い事に嫉妬をしての事でしょうと。

 女子の陰湿な苛めって結局のところただの勝手な嫉妬からよね。

 本当に女の世界は面倒臭いわ!

 理不尽な苛めにもとても嫌気がさす。

 彼女も相当苦労したのでしょうね。

 お手紙の最後には再度謝罪が綴られていたけれど、出来る事なら直接会って謝罪したいと、これに関しては直ぐには難しいでしょうね。

 だけど私も会ってお話がしてみたいと思うので、直ぐではなくても考えてみようと思う。

 お手紙を読み終わり伯父様に向き直ると、視界の端にはいつの間に執務室に戻ってきていたのか、側近達と侯爵の姿も見えた。



「伯父様はこのお手紙の内容はご存じ?」

「手紙に関しては改めていませんので分かりませんが、大体は想像がつきます。彼女が話していた時、私もその場におりましたので内容に関しては理解しております」

「今彼女はどうしていますか?」

「当初よりは落ち着いておりますよ。ご両親が側にいる事も大きいでしょう。あぁ、そのフリュデン男爵夫妻から言伝がございます。一度殿下にお会いしたいと願っておりますが、如何いたしますか?」



 私に対しての謝罪でしょうけれど、今は令嬢についていてあげて欲しいというのが私の願いだ。

 けれど会わなければ私が怒っていると捉えかねない。



「分かりました。お会いしましょう。日程は、そうね⋯⋯、明後日の午前中で如何かしら?」

「畏まりました。そのように男爵夫妻に伝えましょう」

「えぇ、お願いしますね」


 

 伯父様にお願いをし、私は少し溜息をついてしまった。

 考えたら考える程、悪質な事に嫌気がさす。



「殿下、お可愛らしいお顔が台無しですよ」



 見咎めた伯父様にそう指摘され表情を戻すけれど、不愉快さは薄れない。


 

「本当に面倒な事ですね」

「男性と女性では違いますからね」

「分かっています。それにしても悪質で陰険でやり方が嫌らしいですわ!」

「それは昔から変わりませんよ」

「その昔からある体制みたいに言わないで頂きたいですわ。不愉快です」

 


 私がそう口にすると伯父様は苦笑し「オリーも同じ事を常日頃口にしています」と、伯母様も私と同意見のようだ。

 どうして人ってこう人を苛めて優越感に浸りたいのかしら?

 ただの嫉妬にしてもやり方が卑怯なのよ。

 逆に自分で何もできないという臆病だと言っているようなものだわ。

 だからと言って人を苛める行為はしてはいけない。

 これはどの世界においても一生の課題よね。



「殿下、今お考えになっても答えは出ませんよ」

「分かっていますわ」

「今は来週のお誕生日会を楽しみにしていらしてください」

 


 お誕生日パーティー、オリー伯母様がいらっしゃるのは知っているけれど、伯父様は来てくださるのかしら。


 

「伯父様もいらっしゃいますか?」

「勿論ですよ」

「嬉しいですわ」

「ステラ様、それを陛下に言ってはなりませんよ」

「またお父様と喧嘩になりますものね」



 くすくすと笑ってそう言うと伯父様は何か企んでいるような笑みを見せ、私に挨拶をして退室していった。

 最後の笑みが気になるんですけど!

 侯爵は何か分かっているのか訳知り顔だったが、聞いても教えてくれないでしょうね。

 私はソファから自身の執務机に移動すると、私に挨拶をすべく側近達が側にやってきた。



「一週間振りですね」

「はい。学園が休みに入りましたので今日からお側に控えさせていただきますので改めてよろしくお願い致します」

「こちらこそお願いしますね」



 それから午前中の報告を受ける。

 主に何をしていたか、だけれど。

 今日はこの一週間で私が何をしていたか、今現在行っている内容の共有と侯爵による宮廷の案内で午前中は終わり、食堂で昼食をとってきたようだった。

 情報共有は大事よね。

 私が今行っている事を側近が知らないのは問題だもの。

 そこからは学園で私がどのように噂されているかの報告を受けた。

 一年の間ではやはりかなり衝撃となっているようで、セイデリア卿達の話によればクラス内では動揺が広がっているという。

 ただ、クランツ先生がそれを諫めはしたが、まだ落ち着かないようだった。

 私が二年から復学する事は伝えられているそうだけど、そわそわとしているのが実情で、一年の他のクラスは私とあまり接点が無かったのか、噂はしているけれどSクラス程ではないみたい。

 ただ、二年では主に例の双子だけれど、彼女達は面白可笑しく私の話を吹聴しているそうだ。

 (エステル)に実際会ったことあるのは、八年でお披露目に出席した者達だけなので、まだそれ程多くはなく、私を知らないものが大半を占めているからだ。

 内容は、もうどうでもいいような事ばかりなので気にしないけれどね。

 私はマティお従兄様にお願いをしていた件を確認したら、意外な答えが返ってきた。



「ステラ様からの指示でイーサク・二ルソンを調べましたら、陰湿な感じは見受けられませんでした。どちらかと言うとおっとりとした温厚な人物です。特に苛められているような様子もなく、ただ⋯⋯」

「ただ?」

「あの者の性格なのか、いい様に使われている、といった風ですね。話をする限り本人に自覚は無いようです」

「直言葉を交わしたの?」

「はい。図書館で良い具合に接触出来ましたので、直接話をした方がより分かるかと思いまして」



 そうお従兄様はにこっとあの伯父様そっくりの笑みを浮かべた。

 最近、本当に伯父様に似てきたわ。

 だけど、おっとりしている割には学園を抜けだしてフリュデン令嬢に会いに行くなんて。

 


「お従兄様、彼はただおっとりしているだけですか?」

「表面上は、です。話した感じもそのように見受けられますが、ステラ様が引っかかっているのは、おっとりしている彼が何故シアを突き落すようにフリュデン令嬢に話したか、という事でしょう?」

「その通りよ。話を聞いている限りではそのような人物が人を害するような事を言伝として言うかしら? ⋯⋯もしかしたら、口頭ではなく、指示を書いた用紙を渡す役目だけだとしたら? 後日彼女が私を突き落した事を知って彼女に会いに行ったのかしら⋯⋯」



 だけど彼女の手紙にはその部分が手紙からの指示だとは書いておらず、イーサク・ニルソンに言われたからだと言うことだった。

 その部分に関しては一応伯父様に確認して欲しいとマティお従兄様にお願いをする。

 ノルヴィニオも最初から話を聞いていたわけではなさそうだったし、本人から話を聞けたら一番いいのだけれど。



「ステラ様?」

「他に気になる事は?」

「交友関係に関しては浅く広く、といった感じです。申し訳ありません、詳しく調べる事が出来ませんでした」

「いいえ、時間が少ない中でしたから。ありがとう」



 学園が休暇に入ってしまったので、彼と接触するのは難しいわね。

 まだ未成年なのだし。

 彼、というり二ルソン家に関してはお父様達が別件で調べているという事だったので、また何か分かるかもしれないわね。

 教えてくれれば、だけど。

 一旦この件は置いといて⋯⋯。

 


「話は変わりますが、生徒会の反応はどうでしたか?」

「そちらは問題ありません。実際お披露目後にヴィンセント殿下の執務室で会長にお会いしているでしょう? 会長からお話しがありましたので心配はいりませんよ」



 話すって一体何を話したのかしら。

 ちょっと疑ってしまう。



「心配いりませんよ。真面目な話だけでした」

「それならいいわ。だけど皆さん驚いていたのではなくて?」

「そうでうね。衝撃は大きかったようですが、そこは成績優秀者の集まりですからね。問題ありませんよ」



 そこに成績は関係ない気がするけれど、マティお従兄様がそうおっしゃるならそうなのね。

 ざっと学園での報告も聞き終わったので、侯爵からの教育の続きをしてもらい、私は私で各報告書に目を通す。

 そうしているといつの間にか日が暮れ始めていたので、今日の執務は終了となる。

 側近達は明日休みで明後日に登城するので、私も明日は休日とし王宮でゆっくり過ごす事になっている。

 侯爵もずっと私に付いていてくれているので、休日はゆっくり休んで欲しい。

 そう皆に声を掛けていると、ヴィンスお兄様がいらっしゃったようなので中へ入っていただいた。

 側近の皆はお兄様に挨拶をするが、学園と宮廷での雰囲気が違うからか少し気後れしたようだった。

 お兄様の側近の方達も一緒にいらっしゃっていて、私の側近達と挨拶を交わす。

 エドフェルト卿とは学園でも接しているので緊張感なく話しているし、レオンお兄様もいらっしゃるので場がほんわかしている。

 私がまだ会った事のないお兄様の側近の方達がいらっしゃったので、お兄様が紹介してくださった。

 お兄様と同学年のヒューゴ・カルネウス、四年のエミール・アベニウス、六年のマルクス・セイデリアの三人で、マルクス卿とはアリシアの時に何度か会った事があるので知っているけれど、レグリス程ではない。

 カルネウス卿は学園長の孫に当たる。

 


「さて、紹介も終わったし、今日はここまで。皆よく休むように」

「「「はい」」」

「侯爵、陛下が呼んでいたので帰る前に執務室へ寄るように」

「畏まりました」

「ステラ、帰るよ」

「はい、お兄様。では皆さんまた来週お願いしますね」



 私とお兄様は皆に挨拶をし王宮へと帰ってきた。

 夕食の時間までお兄様とお兄様の宮でゆっくりお話しする事にして今私はお兄様のお部屋にいる。

 そういえばお兄様のお部屋に来るのは子供の頃以来だわ。



「どうしたの?」

「お兄様のお部屋、久し振りだからつい懐かしくて」

「そういえば、ステラがシベリウスに行く前までは良く部屋に来ていたね。懐かしいな。あの頃はよく私の後を付いて回っていて、とっても可愛らしかったよ」

「恥ずかしいからあまり小さい頃の話を蒸し返さないでください」



 何となく覚えているからか余計に恥ずかしく感じる。

 お兄様は楽しそうに笑っているけれどね。

 お兄様とゆっくりお茶って久しぶりに感じるわ。

 ここ最近ずっとバタバタとしていたから。



「どうしたの?」

「いえ、お兄様と一緒にお茶が出来て嬉しいのです。今日は少し嫌な事がありましたから」

「何があったの?」

「フリュデン男爵令嬢からお手紙の返事を頂いたのですが⋯⋯」



 私は手紙の内容、といっても話すのは苛めの実態の部分だけ。

 私が話し終わるとお兄様は嫌そうに顔を顰めていた。

 私も同じ気持ちだから顔を顰めていたら伯父様に注意されたのだけど。



「ステラが嫌な事、と言うのがよく分かるよ。全くどうしようもない連中だな。学園内が規模の小さい貴族社会を現しているようだ。残念な事だね」

(わたくし)はまだこちらに戻ったばかりですので何とも言えません。ただ、とても悲しいことだと思います」

「そうだね⋯⋯」



 苛めなんて誰にとってもいいことはないのに。

 誰かを苛める気持ちが分からない、分かりたくもないけれど。

 気分が重くなるが、落ち込んでいても始まらないし、何にもならない。

 私は気分を払拭するようにお兄様に別の質問をする。



「お兄様、(わたくし)のお誕生日パーティーにはお父様はいらっしゃるの?」

「いや、父上はお忙しいから来られないそうだ。だけど夜は私達だけでお祝いするからね。父上とフレッドを除け者にしたら後が怖いよ?」

「フレッドはまだ公に出れませんものね。確かにお二人を怒らせると後が怖いわ。ですが一日お祝いとなると⋯⋯」

「深く考えなくていいよ。昼間は王女を祝う会。夜は身内だけのお祝いだから」

「昼間は社交目的ですものね」

「そう。ステラの今後の為にも味方を沢山作っておかないとね」



 これも王女としての役割ね。

 私は私で私の今後の味方を作る場であり、貴族達にとっては私との繫がりを持つのにいい機会となるのだから。

 けど、私としては純粋に友人となってくれる方が良いなと思ってしまうのは欲張りかしら。



「ステラ?」

「何でもありませんわ。お兄様、そろそろ時間ですから食堂へ行きましょう」

「そうだな」



 私はお兄様と共に食堂へと向かった。

 この夜は全員揃って食事をいただき、一日の出来事を話し合う。

 お父様はお父様でお仕事が大変みたいで、だけど愚痴を私達の前で言うことなく、格好いいお父様でいたいみたい。

 私としてはこの間みたいなお父様を見たいのだけれど、ダメみたいね。

 また今度、口調が砕けているところを聞いてみたいなと、お父様の色んな表情を見てみたいなと、楽しみにしておきましょう。

 フレッドはお勉強を頑張っているみたいで今日はどこまで出来て何を覚えたかを話してくれる。

 必死なフレッドもとっても可愛くてずっと見ていられる。

 そんな私を呆れた表情でお兄様は見ていたけれど、気付かないふりをした。

 家族揃って食事を楽しんだ後、この一週間は色んな事があって疲れただろうと、よく休みなさいと言われて部屋に戻って来た。

 毎日よく寝ているのでそれ程疲れが溜まっている、という事も無いので、この日は直ぐには眠れなさそうだった。



『少し話しを聞いてもいい?』

『はい』



 私が話しかけると直ぐにアステールから返答があった。



「二ルソン家に関してはどう?」

「これといった動きはありません。彼の家に関しては陛下の影が調べておりますので、我々はイーサクを主に見ているのですが、こちらもこれといった動きが無く、学園でも普通に生活をしておりました」

「普通に生活するのは良い事だけど、お父様達が調べている事って何かしらね」

「それに関しては阻まれましたので、調べられておりません」



 それって、お父様達が何を探っているか調べようとしたの!?

 その言葉を聞いてびっくりしてしまい、アステールを凝視してしまった。

 彼は私のその視線に苦笑を漏らしただけだったけど「姫様が気になっているだろうと思いましたので」と。

 まぁ気になっているけれど、邪魔をしてはいけないと思っているのよ?

 


「今年中に解決できればと思ったけれど、難しいかも知れないわね」

「申し訳ありません」

「貴方達のせいではないわ。悪質な事をする人達が悪いのだから」

「左様ですね」



 進展なし、ね。

 ただ単に指示が記載された用紙を渡すように言われただけなら彼には誰から渡されたのか聞き出すだけでいいのだけれどね。

 もう一度大聖堂に、フリュデン令嬢の元へ行かないかしら。

 そうすればその場で伯父様とアンデル伯にお願いして誰から言われたか聞き出して貰えるのだけど。

 明後日、伯父様もいらっしゃるから相談してみよう。

 私の中で話を纏めたので、そろそろ休むとアステールに伝え眠りに就いた。


 翌日は一日のんびりと過ごす。

 雪は降っていたけれど、私は庭を散策したり、お兄様とフレッドと一緒に王宮を見て回った。

 住んでいる家を見て回るって変な感じだけれど、こちらに戻って来たばかりだし、記憶は幼い頃だけなので全部を知らないからね。

 勿論王宮の図書館にも足を踏み入れると、そこはとても素敵な場所だった。

 学園の図書館とは趣が違って、こちらは古書がびっしりと置いてあるといった雰囲気だった。

 今風ではなく、昔ながらの雰囲気が残っていて、この感じがとてもいい。

 今日は王宮内を見て回っているので、此処で本を読むのはまた今度だ。

 フレッドの宮やお父様、お母様のお部屋にもお邪魔して、最終、王宮の庭園で家族揃ってお茶を楽しむ。

 庭園と言っても温室の中でとても暖かく、だけどお外は雪が降っていてなんだかとても幻想的だ。



「王宮内の探検はどうだった?」

「とても楽しかったですわ。初めて全てを見て回りました」

「ステラが此処に住んでた頃はまだ自分の宮と私達の宮だけだったからね」

「今日はずっと姉上と一緒にいれてとても嬉しいです!」

「お兄様とフレッドと一緒に休日を過ごせて嬉しいわ。それにお父様達とやっと皆揃ってお茶が出来て、とても幸せです」

「約束だったからな。遅くなってしまったが⋯⋯」



 お父様達とお茶をしたいと言ってから、結局王宮に戻ってきて実現したので、遅くなったと言えばそうなのかもしれないけれど、私としては約束を覚えて下さっていたので、そちらの方が嬉しい。

 話は来週の私のお誕生日会の事へ移り、お父様は昼間のパーティーに参加できない事を悔やんでいたが、その夜は内々で盛大に祝うから! と意気込んでいた。

 私からしたら盛大にでなくても、お父様達に普通に祝って頂けるならそれだけでいいのだけれど、親としてはそうもいかないらしい。

 きちんと私達子供の事を思って下さっているので、そのような両親の子供に生まれてきたことはとても幸運な事だと思う。

 この幸せな時間に浸りながら、また明日から頑張ろうと思った。

 

ご覧頂きありがとうございます。

ブクマ、いいね、評価を頂き、とっても嬉しいです。

ありがとうございます!


次回は二十八日に更新いたしますので、楽しんでいただけたら嬉しいです。

よろしくお願い致します。



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