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目覚めた世界が私の生きる場所  作者: 月陽
第1章  大切なもの
13/262

13 部屋の外へ


 我慢していたお風呂です!

 毒を受けて一週間程目覚めなくて、その後一週間はベッドで安静に。

 計二週間程お風呂に入ってないって⋯⋯。

 考えるの止めよう。

 ようやくお風呂に入れるし!

 これ迄の事を考えていると、ミアから声をかけられた。


 

「湯の用意が整いました」

「やっと入れるのね!」

「あっ! シア様、ベッドからはゆっくり出てくださいね。歩くときも無理をせずに」



 嬉しさでベッドからすぐ降りて立とうとしたらモニカから注意がとんだ⋯⋯そしてふらついてモニカが慌てて私を支える。

 モニカの言うとおり、体力はかなり落ちてしまっているようで無理せずゆっくり歩いた。


 浴室にはマリーとミアがいた。

 体力が落ちているので、お風呂も長くは入っていられない。

 モニカとミアの二人でお風呂のお手伝いをしてもらい、身体と髪を優しく洗って、軽くマッサージをして体を解した。

 湯にはあまり浸かれなかったけど、久々のお風呂を堪能し、お風呂から出ると、マリーが着替えの仕度をして待っていた。

 髪を乾かしてセットをして貰い、身体に負担の無いふわっとしたシフォンワンピースに着替えた。

 そういえば、記憶が戻ってから鏡を見るの初めてかも⋯⋯。

 今は魔道具を付けているので、髪はハニーブロンドに瞳はペリドット、伯父様と同じ色になっていた。


 

 ――なるほど、これが今の私。


 

 これならお養父達ともちゃんと親子に見えるわね。

 鏡を見ながら納得していると、ノックがあり「どうぞ」と答えると、そのお養父様がやってきた。



「これは⋯⋯可愛いな。娘はやはりいいな! 娘をエスコートできて私は幸せだな」



 すごく優しい顔で誉められたけど、恥ずかしい。

 そこまで誉められるくらいなのかな。



「ありがとうございます、お養父様。変ではないでしょうか?」

「とても良く似合っているし、とても可愛らしいから外に出したくないな」

「誉めていただいて嬉しいですけど、お外には出たいです!」

「まぁ先ずは体力を戻すところからだね。さぁ、皆待ってるからそろそろ行こうか」

「はい!」



 そう言うと手を差し出してくれたので、私はお養父様と手を繋いでお部屋を後にした。

 思ったよりも歩くのが大変で、少し息を切らしたところで見兼ねたお養父様に抱っこされてしまったのがとても恥ずかしかった。

 現在まだ五歳児だけど、恥ずかしいものは恥ずかしい!

 整ったお養父様の顔が近すぎる!

 内心あわあわしていると、食堂の前で下ろされ、私は安堵の息をついた。



「さぁ、着いたよ」

「なんだか緊張します」

「はは、大丈夫だよ」



 そう言うと部屋の前で待っていた侍女さんが扉を開けてくれたので、お養父様と一緒にお部屋へ入った。

 そこには、お養母様とお兄様達がいらっしゃった。



「まぁ、とても可愛いわね! ここまで大丈夫だったかしら」

「お待たせしてしまいすみません。途中お養父様に抱っこされてしまいました」

「あらあら。まずは体力付けないとね」



 私もそう思う。

 体力付けるの大事だから頑張ろう!



「おはよう、シア。とっても可愛いね! 回復おめでとう」

「シア、おはよう! 可愛すぎるよ!」

「ありがとうございます。マティアスお兄様、レオナルドお兄様」



 マティアスお兄様は落ち着いてらっしゃるけど、レオナルドお兄様はやっぱりとてもお元気だった。

 元気が有り余ってる感じで、その元気を分けて貰いたいくらい。



「さぁ、先ずは食事にしよう」



 お養父様の言葉で席に着いた。

 食事は部屋で出されたものとは違い、私にもしっかりしたものが用意された。

 医師の言葉に従い、メニューは皆と少し違うけれどね。

 体力作りにはまずはしっかり食事を摂ることも大事だから。

 だけど、量が少し多くて申し訳なくも残してしまった。

 食後のデザートは別腹です!


 食事が済み、皆で団欒の間に移動し、食後のお茶をすることになった。

 そこに移動するまで両側にお兄様達が、お二人でエスコートしてくれた。

 部屋に着くと、各々ソファに座り侍女がお茶を用意してくれた。



「改めて、回復おめでとう」

「ありがとうございます」

「此処で暮らすにあたって、改めてこの二人を紹介しておこう」



 そのお養父様の言葉で、お養父様の執事と先程の年配の侍女が前に進み出た。



「娘として育てる事になったアリシアだ。シア、二人は信頼できるので事情を話してある。だから安心しなさい」



 驚いた私を安心させるようにそう話してくれた。



「アルヴァーは会ったことあるな、ここの筆頭執事だ。隣が侍女長のロニア。この邸の事で分からなければ二人を頼るといい」

「アルヴァーです。よろしくお願い致します。アリシア様」

「ロニアと申します。快適に過ごしていただけるよう尽力いたします。よろしくお願い致します」

「こちらこそ、よろしくお願いしますね」



 紹介が終わり、お茶を楽しむことになった。

 こんなに楽しいお茶は久しぶりでいっぱいお話をした。

 話をしすぎて私が少し疲れたのを見て取ったお養父様がお開きを言い渡し、部屋までまた抱っこで連れていかれた。

 部屋に着き、お養父様に「少し休みなさい」と言われ私は言われた通りに少しお昼寝をした。


 目を覚ましてからは、モニカに便箋を用意してもらって王宮にいるお父様達へ手紙を書いた。

 色々と迷ったけれど、気持ちを素直に書くことにした。

 手紙を書いていると、すごく会いたくなった。

 お忙しいのは分かってるけど、返事があると嬉しいな。


 お手紙を書き終わって、お養母様にお願いするにあたって、マリーにお養母様の都合を確認しに行って貰った。

 と思ったら、お養母様がお部屋にいらっしゃったので驚いてしまった。

 フットワーク軽すぎですよ。

 だけど、手紙の相手が相手だけに気軽に預けることも出来ないからね。

 特にマリーとミアは知らないのだし。



「お手紙が書けたのですって?」

「はい、お養母様。こちらです。よろしくお願います」

「確かに預かったわ。思ったより沢山書いたのね」



 素直に言いたいことを書いていたら便箋の枚数が増えてしまい、書きすぎたかな、とちょっと不安になっていると、「喜んで間違いなく泣くわよ。三人とも」と、そうかなぁと思いながらも手紙をお願いした。


 お手紙を書いた後、夕食時までテラスに出てお外を見たり、本を読んで過ごした。

 夕食はまた皆でいただき、とても楽しく過ごした。

 久しぶりにベッドから出て、部屋の外へ出て、皆とご飯を食べたので思ったよりも気分が高揚し過ぎていたのか、この日は疲れて早くに寝てしまった。

 

 この日の夜は夢を見た。

 とても、怖い夢。

 前世の記憶を思い出しただけの事、そう思っていたのだけど⋯⋯。

 その夢は前世の“私”が此処の“私”エステルを乗っ取ったのだと。

 起きている時、楽しくて頭の片隅に追いやっていた事や良くない方に考えていた事。

 ただ単に記憶を持っていただけなのか⋯⋯。

 もしくは、彼女を乗っ取ってしまったのか⋯⋯。


 そんな、不安を思い出させる夢を見てしまった。

 

ご覧いただき、ありがとうございます。

また、ブクマもありがとうございます。

次話もよろしくお願い致します。

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