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目覚めた世界が私の生きる場所  作者: 月陽
第2章 学園生活の始まり
106/264

106 前期終了

 

 あれから数日が過ぎて、お父様の影がお手紙を預かってきてくれたので、私はそのお手紙を早速読むと、この間の刑が確定したのでその報告だった。

 リネー伯爵は領地から一年間出ることを禁じられ、領地の経済を立て直す事を命じられた。

 サンドラ嬢は修道院に入る事が決定し、更生の様子により修道院から出ることも許されている、が身分は既に平民となっているので、修道院から出る事が出来たとしても伯爵邸には戻れず市井で暮らすこととなる。

 問題のデレシアだが、彼女は王家に対しての不敬罪並びに数々の不正並びに横領等の罪で服毒が命じられら、既に刑は執行済との事。

 これでこの件は終わりをみせた。


 ひとつの事が片付いて一先ずほっとするが、全て解決とはいかない。

 結局、私のあの噂を流して何をしたかったのかしら。

 背後に誰がいてるのか分からないので、警戒は解けないし、お父様からも気を付ける様にお手紙で念押しされた。

 警戒するのはもう日常の事なので、そこはとりあえず置いておいて、今は学園の前期の試験が目前に迫ってきていたので、勉強をすることが大事だ。

 異例の試験を受けているとはいえ、前期の試験を疎かにするわけにはいかないので、きちんと授業を受けたところの復習をする。


 試験は各教科五十分、二日間で今回は全て筆記試験で行われる。

 試験前は皆それぞれ一人で勉強したり、分からない事を教え合ったりと真面目に勉強する姿があちこちで見受けられた。

 かく言う私も沢山質問を受けたので、自分の復習にもなるので丁寧に教えたりとそれなりに休憩時間や放課後も忙しくしていた。

 そして前期の試験当日、教室内は静かでただ、試験用紙に書き込む筆の音だけが響いていた。

 一つの科目が終わるとそのまま終わりまで見直しをするもよし、教室を出て次の科目の勉強をするもよし、本人次第だった。

 私は気分転換もしたかったので、見直しが終われば教室を出て外の空気を吸う。

 そんな感じで二日間の試験を終わらせ、更に二日後に試験結果が公開される。

 結果はこの間の試験と同じような順位だったが、点数は全体的に前回より上のような気がする。

 やっぱり、前回の試験は相当難しかったのね。

 試験の結果が公開されたので、前期は今日でお終いとなる。

 明日から二週間の休暇に入るので、お兄様達と共に明日には領へと出発する。

 担任のクランツ先生からは休暇の時の注意事項と中期からの授業の予習もしておくようにと言われて解散となった。

 クラスの皆と挨拶をして、一度生徒会に顔を出さないといけないので、レグリスと共に向かう。

 ノックをして室内に入ると、まだ全員揃ってはいなかった。



「試験お疲れ様。二人共、結果は⋯⋯聞かずともこの間と同じかな」

「お疲れ様です。同じですわ」

「きちんと勉強してるようで何より。皆揃うまで待っててね」

「分かりました」



 私はレグリスと自分用にお茶を淹れて席につき、先輩方とお話をしていると、そんなに待たずに全員揃ったので早速会長から話し始めた。



「皆試験お疲れ様。明日から二週間の休暇に入るけど、中期の予定を先に配っておくね」



 会長はそう言うと、予定が記載されている用紙を配った。

 配り終わると説明が入る。



「中期は例年通り、会長と副会長の引き継ぎを行うので、私はラグナルに、クラエスはルイス嬢に教えるので、二人はそのつもりでいてね。まぁ近くで見てるから大体分かっているだろうけど、中期に入ってからは二人が中心に運営していくのでそのつもりで。皆も二人をサポートしてあげてね。そらから、十一月に二学年別交流会を執り行う。これも年間行事だから一年の二人も知っているだろうけど、アリシア嬢とレグリス君は初めてだからざっくりと説明するね。どの種目に出場するか決め、生徒全員が何かしら必ず出場するのが必須だ。ちなみにこの交流会も成績に反映するので頑張ってね。また詳しい内容は中期に入ってから後任の二人から説明があるからよく聞くように。後は、休暇明けは皆弛みがちだから周囲をよく見ていてね。私からは以上。何か質問はあるかな? 特に一年の二人は?」

「特にありませんわ」

「私もありません」

「では、今日はこれで終了する。皆も休みを楽しむのはいいけど、羽目を外しすぎないようにね」

「「「はい」」」



 会長の話が終わったので、お兄様達と共に皆様に挨拶をして邸へと戻ってきた。

 明日朝には領に戻るのだけれど、帰りは馬車で移動する事となる。

 モニカ達が既に準備を整えてくれてたので私は特にすることも無く、明日の為に早めに寝ることにした。


 翌日、私達は領に向けて出発した。

 二日程お兄様達と沢山話をしながら領へと向かう。

 途中よる街や宿泊する宿などが密かな楽しみにしていた。

 色んなお料理を楽しんだり、その街特有のお菓子等もとても楽しみで、迷いすぎてお兄様達には呆れられる程。

 だけど、王宮に戻るとこんな事出来るか分からないからね。

 道中を楽しんでいたらシベリウスまで戻るのもあっという間で、目の前には見慣れた風景が広がっていた。

 学園に行く前はあんなに多くの魔物と戦っていたのが嘘みたいにいつもの日常が広がっていた。

 お養父様達の手紙で領はいつもの日常を取り戻したから安心しなさいと書いてあったけれど、やはり自分の目で見るともっとそう実感できる。

 お兄様達も思うところがあるのか、外を見て考えに耽っているように思う。

 そうこうしていると、領主館を超えて領主邸の門に着き、そこからゆっくりと邸の玄関に着いた。

 先にお兄様が降りて私に手を差し伸べてくれたので、お兄様の手に自分の手を添えて馬車を降りた。

 玄関前にはお養父様、お養母様達が勢揃いで出迎えてくれた。



「お帰り、マティ、レオン、シア」

「ただいま帰りました。父上、母上」

「積もる話は部屋でしよう」



 挨拶もそこそこに、私達は邸に入る。

 このシベリウスの風景、邸もとても暖かくてほっこりとする。

 思ったより学園では力が入っていたのかもしれない。

 いつもの部屋で私達はソファに座り一息付く。



「前期も変わらず頑張ったみたいだな。シアは⋯⋯色々とお疲れ様。早々に問題が片付いて良かったよ」

「本当よね。入学早々に問題が起こるだなんて⋯⋯話を聞いた時は驚いたわ」

「あれに関してはシアはただ巻き込まれたといった感じだね。全部あの元令嬢の自己中心的な考えと嫉妬と自分が一番だという変な自信からきた行動と言動だから⋯⋯あれにはヴィンセント殿下もうんざりされてましたよ」

「シアはよく怒らなかったね。シアの噂には殿下はとてもお怒りになったのに」

「⋯⋯怒りましたけれど、お祖父様に窘められました」

「シアは事の顛末を聞いたんだね」

「はい」



 お養父様もご存知なのね。

 だけどお兄様達は知らないから詳しくは話せないけれど。



「話は変わるが、今後についてだが⋯⋯」



 お養父様はそう言うと人払いをした。

 何か重要なお話かしら。



「シアが学園に無事入学したので、シアがここで、というかシベリウスの一人として暮らすのも後二年と少しだ」



 あ⋯⋯そうだわ、私ここで暮らすのに慣れて帰ってきた時はほっとしたけれど、ここで過ごすのも後少しなのね。

 王宮で過ごした年月と同じ位ここで過ごしているが、シベリウスで過ごした時間の方が長く感じる。

 勿論王宮に、お父様達のいる場所に戻りたい気持ちは強いけれど、だけどここで過ごした日々も大切で、楽しくて、寂しく思う。



「そこで、シアなら大丈夫だと思うが、徐々に王宮で暮らす感覚を取り戻して欲しくて、学園の休暇は離宮で過ごすよう、陛下からの指示だ。学園に戻るのは此処から馬車での移動は変わらないので、明日から八日間は離宮で過ごしなさい」

「分かりましたわ」

「分かっていた事とはいえ、寂しくなるわね」

「そうだな⋯⋯」

「マティ達は学園で一緒に過ごす時間が長いからそうでもないでしょうけど」



 寂しいと感じているのが私だけでない事に少し嬉しくなった。



「さて、三人に提案だが、部屋に戻り着替えたら庭でお茶会でもしようか」

「賛成です」

「すぐに着替えてまいります!」



 そうお兄様達は言い、部屋を後にした。

 素早い⋯⋯。



「シア、貴女も着替えてらっしゃい」

「はい」



 お養母様に言われて、私も部屋を後にする。

 自室に戻り、モニカ達に支度を手伝って貰い、用意を整えてサロンに向かうと既にお兄様達も揃っていた。



「遅くなり申し訳ありません」

「そんなに待っていないわ」

「マティ達が早すぎるだけだ」

「私達は男ですからね。シア、とても可愛いよ」

「ありがとうございます。お兄様」



 私も席に付き、家族のお茶会が始まる。

 こうやって過ごせるのもあと僅かになるのね。

 二年と少しあるといっても、学園で過ごす時間や休暇中を離宮で過ごすならこのように過ごせるのも限られる。



「シア、何を考えているんだい?」

「え?」

「心ここにあらず、といった感じだったからね」

「すみません」

「謝ることはないよ。寂しく感じているのはシアだけじゃないからね」

「お養父様⋯⋯」

「皆同じ気持ちだよ。だけど、こうやって家族として触れ合いができるうちは楽しく笑って過ごしたいな。シアはどうだい?」

(わたくし)も笑って過ごしたいです。お養父様達の笑顔が好きです」

「ありがとう。では今から楽しい話をしようか」



 お養父様はそういうと、私達に普段の学園生活をどのよに過ごしているのか聞いてきた。

 そして私が図書室通いをしているのをあっさりとお兄様達は暴露され、それを聞いたお養父達はやっぱり呆れていたけれど、私らしいと学園でも変わらずに過ごしている事に安堵したようだった。

 クラスではレグリスやシャーロット様と一緒だけれど、他にも誰が居て、友達が出来たかなどを話す。

 レグリスは普通に話すけれど、シャーロット様はあれが普通と言われたけれど、少しずつ話すようにはなったけれどまだ距離がある感じがするけれど、ティアお姉様には良くしていただいているので、ベリセリウス侯爵家でお茶会をした事や、逆にシベリウスの邸に招いてお茶会を開いた事など、学園生活を楽しんでいる事を伝えた。



「そういえば、中期には学年別交流会があるわよね? 今年も例年通りの種目かしら?」

「種目は発表されていませんよ。主要な所は変わらないと思いますが」

「お兄様、交流会って何をするのでしょうか?」

「知りたい?」

「気にはなりますわ。会長は二学年別と仰っておりましたが?」

「そうだよ。一年生は二年生と、三年生は四年生と、このように分かれて種目別で対決をし、個人成績と学年成績が決まる。この交流会の目的としては、一つの学年で三クラスあるが、中々交流する機会が無いからね。成績別になっている事もあって交流しづらい所があるのでそれを解消させるのが目的になっているのだよ」

「確かに、他のクラスの方々とは中々話をする機会もありませんものね」

「ちなみに、この交流会は五日間で行われるので、自身の出番がない時は他の学年の種目を観に行ってもいいんだよ。それも楽しみに一つでもあるね」

「それはとても勉強になりそうですわね」

「楽しみかい?」

「はい、とても楽しみですわ!」



 中期の楽しみが増えたわ!

 授業も実技が入るのと、学園の交流会。

 二週間の休暇はあっという間に終わるかも。



「そういえば、次の生徒会長は誰がなるんだ?」

「ラグナル・フェストランド侯爵令息です。副会長はルイス嬢ですよ」

「フェストランド家の息子か⋯⋯」

「何かあるのですか?」

「いや、今のフェストランド侯爵は私の二つ上でな、とても真面目な方だよ。学園時代にはとてもお世話になったんだ。それで、ルイス嬢はどんな子なんだ? 名前からして平民だろう?」

「はい。ルイス嬢は文官を目指しているので所作も貴族と何ら差異はないほど綺麗です。それにとても頭が良くて気が利いて、優しいですね」

「なるほど、将来は文官か」

「シアも仲良いよね」

「はい。とても良くしていただいてます」

「そうか。最近は平民の子もとてもよく勉強していて、学園でも成績優秀者が多いくと聞く」

「そうですね。二学年の首席と四学年の次席も平民ですからね。とても勤勉ですよ」

「いい事だな」

「そうね。貴族ばかりだと考え方が偏るし良く無いのよね。気にするのは体裁ばかりで⋯⋯」



 確かに。

 私の周囲の方々はとても気さくでそういった方ばかりでは無いけれど、そういった方ばかりではないのは分かる。

 王宮に戻ればそういった人達を相手にしないといけないのよね。

 今から弱音は吐いていられないわ。

 王宮に戻る日も近付いているのだから。



「そんな親に育てられた者達には気を付けなさい。皆がそうとは限らないが、あの元令嬢の一件もあるからな」

「はい」



 お養父様からの注意を聞き、この後はお養母様からの子供達だけのお茶会でどのような話をしたのか質問攻めにあい、お兄様達からは呆れた一件があるとお養母様達に話をして、お養父様と仲良くため息をついてらっしゃったけど、私にはなんの事だかさっぱりで、恋愛部分だけは全く成長していないと嘆かれた。

 そんなに嘆くのなら事細かに教えて頂きたいです!

 それが顔に出たのか「そこは自分で考えなさい」と言われてしまった。

 別に構わないわ。

 恋愛する必要は無いと思うし。

 それから他愛もない話をしてお茶会はお開きとなった。


ご覧頂き、ありがとうございます。

ブクマをありがとうございます。

とても嬉しいです。

次話も楽しんで頂けたら嬉しいです。

次回更新は火曜日ですので、よろしくお願い致します。


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